【映画】『ソルト』(2010年)ネタバレ感想|結末まで解説。彼女はCIAかロシアのスパイか

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◆【映画】『ソルト』(2010年)の作品情報

【原題】Salt

【監督】フィリップ・ノイス

【脚本】カート・ウィマー

【出演】アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバーほか

【配給】コロンビア ピクチャーズ、S.P.E

【公開】2010年

【上映時間】100分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】スパイアクション、サスペンス

【視聴ツール】U-NEXT、吹替、自室モニター、nwmヘッドフォン

◆主なキャスト

  • イヴリン・ソルト:アンジェリーナ・ジョリー 代表作『トゥームレイダー』(2001年)
  • テッド・ウィンター:リーヴ・シュレイバー 代表作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)
  • ウィリアム・ピーボディ:キウェテル・イジョフォー 代表作『それでも夜は明ける』(2013年)
  • オルグ・ワシリエヴィッチ・オルロフ:ダニエル・オルブリフスキー 代表作『ブリキの太鼓』(1979年)
  • マイク・クラウス:アウグスト・ディール 代表作『イングロリアス・バスターズ』(2009年)

◆『ソルト』のあらすじ

イヴリン・ソルトは、CIAに所属する優秀な女性諜報員です。かつて北朝鮮で任務中に拘束され、激しい尋問を受けた過去を持っていましたが、彼女を救おうと尽力したクモ研究者のマイクと結婚し、現在は表向き平穏な生活を送っていました。そんなある日、CIAにロシアからの亡命者オルロフが現れます。彼は、旧ソ連時代に幼い頃から訓練されたスパイたちが、今もアメリカ国内に潜伏していると語ります。そして近く、ロシア大統領暗殺をきっかけに大規模な陰謀が動き出すと告げるのです。

オルロフの証言によって、CIA諜報員ソルトに二重スパイ疑惑が向けられます。
CIA諜報員ソルトに二重スパイ疑惑が向けられる場面

さらにオルロフは、その暗殺者の名前が「イヴリン・ソルト」だと言い放ちます。突然、自分自身に二重スパイ疑惑が向けられたソルトは、身の潔白を訴えますが、同時に夫マイクと連絡が取れなくなってしまいます。夫の身に危険が迫っていると感じた彼女は、CIAの監視を振り切って逃走します。ソルトは本当に裏切り者なのか、それとも誰かに陥れられているのか。彼女の逃亡劇が始まります。

ここからネタバレありです。

ネタバレあらすじを読む

CIAから逃走したソルトは、副大統領の葬儀に潜入し、ロシア大統領を銃撃します。これにより、彼女はオルロフが語った通り、本当にロシア側のスパイだったかのように見えます。しかし実際には、ソルトは大統領を殺したのではなく、クモの毒を利用して一時的な仮死状態にしただけでした。その後、彼女はオルロフの元へ向かい、そこで拉致されていた夫マイクと再会します。ところが、オルロフはソルトの忠誠心を試すため、彼女の目の前でマイクを殺害します。

夫マイクを失ったソルトは、悲しみを表に出さず、静かな怒りを抱えたまま行動を続け捕まります。
夫マイクを失い静かな怒りを抱えるソルト

ソルトは怒りを表に出さず耐えますが、その直後にオルロフと仲間のスパイたちを皆殺しにします。やがて彼女は、ホワイトハウスに潜入し、さらなる陰謀の黒幕が上司のテッド・ウィンターだったことを知ります。テッドもまた、旧ソ連のスパイとしてアメリカに潜伏していた人物でした。彼は核攻撃を引き起こし、世界を混乱に陥れようとしていました。ソルトはテッドを阻止し、核攻撃を止めます。事件後、彼女はピーボディに真相を語り、アメリカ国内に残るロシアの潜伏スパイたちを追う決意を示します。ピーボディは彼女を信じ、ソルトはヘリから逃亡し、闇の中へ消えていきます。

◆考察と感想

『ソルト』は、アンジェリーナ・ジョリーのために作られたと言っていいスパイアクションである。
物語そのものは、CIA、ロシアの潜伏スパイ、核攻撃計画、二重スパイ疑惑という、かなり大きな題材を扱っている。
だが、俺がこの映画で一番強く残ったのは、国家同士の陰謀よりも、イヴリン・ソルトという女が最後に何を選んだのかという部分だった。

序盤のソルトは、観客から見ても本当に味方なのか敵なのか分からない。
ロシアから来た亡命者オルロフが、彼女こそロシアのスパイだと告げる。
普通なら、主人公が罠にはめられた話だと思う。
ところが、ソルトはCIAから逃げる。
夫マイクと連絡が取れないからだ。
ここで面白いのは、彼女が自分の無実を証明するために動くのではなく、夫の安全を確かめるために動くところである。
国家への忠誠でも、組織への説明責任でもない。
まず守りたい人がいる。
この時点で、ソルトという人物の本音が見えている。

この映画は、ソルトの正体を最後まで引っ張る作りになっている。
CIAの優秀な諜報員なのか。
ロシアの潜伏スパイなのか。
それとも、どちらでもない別の目的で動いているのか。
観ている側は何度も疑わされる。
ソルトがロシア大統領を撃つ場面では、やはり彼女は本当に敵だったのかと思わされる。
だが後から分かるのは、彼女は殺したように見せただけだったということだ。
このあたりの作りはかなり強引でもある。
それでも、強引さを押し切れるのは、アンジェリーナ・ジョリーの存在感があるからだと思う。
細かい整合性よりも、彼女が走り、飛び、変装し、敵を倒していく姿そのものに説得力がある。

ただし、物語としては分かりやすいようで、意外と複雑である。
ソルトは本当にロシアのスパイとして育てられた。
だが、完全に洗脳された人形ではなかった。
マイクと出会い、愛されたことで、彼女の中に別の自分が生まれていた。
ここが本作の中心だと思う。
人間は、生まれや教育や組織によって作られる。
だが、それだけで最後まで決まるわけではない。
誰に出会うか。
誰に信じられるか。
誰を守りたいと思うか。
それによって、人は自分の命令系統すら裏切ることがある。
ソルトの場合、それがマイクだった。

マイクは派手な人物ではない。
戦えるわけでもないし、スパイでもない。
だが、ソルトにとっては唯一、自分を任務や能力ではなく、一人の人間として見てくれた存在だった。
彼女がCIAでどれだけ有能でも、ロシアのスパイとしてどれだけ訓練されていても、心を預けられる場所がなければ人間としては孤独である。
マイクはその孤独を埋めた。
だからこそ、オルロフがマイクを殺した瞬間、ソルトの中で何かが完全に切れる。
しかし、その怒りをすぐに爆発させないところが、この映画のソルトらしさだ。
泣き叫ばない。
取り乱さない。
表面上は任務を続けるように見せる。
そして機を見て、オルロフと仲間を殺す。
この冷静な怒りが怖い。

復讐劇として見ると、『ソルト』はかなり乾いている。
夫を殺された女が敵を追う話ではあるが、感情を大きく見せる映画ではない。
ソルトの悲しみは、涙ではなく行動に変換される。
そこがアクション映画として気持ちいい部分でもあり、同時に少し寂しい部分でもある。
人間らしい悲しみを見せる暇すらない。
常に追われ、常に疑われ、常に次の敵を倒さなければならない。
ソルトは強い。
だが、その強さは幸福な強さではない。
失ったものが大きすぎるから、止まれなくなっている強さである。

終盤で明かされるテッドの正体も、この作品の大きな裏切りである。
上司であり、味方に見えていた男が、実は同じくロシア側の潜伏スパイだった。
しかも彼は、ソルトよりもはるかに冷酷に計画を遂行しようとする。
ここでソルトとテッドの違いがはっきりする。
二人とも同じように育てられた存在でありながら、テッドは任務のために世界を壊そうとし、ソルトは愛する人を奪われたことで任務から離れる。
つまり、同じ訓練を受けても、同じ人間にはならないということだ。
忠誠心だけで動く人間と、自分の意志で動く人間。
この対比がラストを支えている。

アクション面では、ソルトの逃走シーンがやはり強い。
高速道路で車の上を移動する場面や、即席の道具で追跡をかわす場面は、現実的かどうかよりも勢いで見せるタイプの面白さがある。
アンジェリーナ・ジョリーは、細身なのに弱く見えない。
力任せではなく、判断の速さと迷いのなさで戦う。
そこがこの映画の魅力である。
男勝りというより、最初から性別を超えて「危険なプロ」に見える。
この説得力は、誰でも出せるものではない。

一方で、細かく考えると粗も多い。
計画の規模は大きいが、展開はかなり都合よく進む。
CIAや警備の抜け方も、普通なら無理がある。
ソルトの変装や潜入も、映画的な勢いで押し切っている部分が多い。
だが、この作品に緻密なリアリティを求めすぎると、少し楽しみ方を間違える気もする。
これは現実的なスパイ映画というより、アンジェリーナ・ジョリーが国家レベルの陰謀を身体一つで突破していくアクション映画である。
そう割り切るとかなり面白い。

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momoko
「女性目線で言うと、ソルトはどっちつかずに観えて、実際は一途。言葉が足りないからそれが分からないんだわ。」

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yoribou
「怖いよ。しかも、男勝りの強さ。重戦車なみだね。」

ラストでソルトは、完全に自由になるわけではない。
むしろ、これからさらに孤独な戦いに向かっていく。
アメリカに潜むロシアのスパイたちを追い、自分からすべてを奪った者たちに復讐していく。
救われた終わり方ではない。
だが、彼女はもう誰かの命令で動いているのではない。
CIAのためでも、ロシアのためでもない。
夫を奪われた自分自身の意志で動いている。
ここが重要だ。
操られてきた女が、最後に自分の目的を持つ。
その意味では、これはスパイ映画であると同時に、奪われた人生を取り戻そうとする女の物語でもある。

俺はこの映画を、完璧な脚本の作品だとは思わない。
むしろ、話の整合性よりも勢いとスター性で見せる映画だと思う。
だが、その勢いはかなり強い。
アンジェリーナ・ジョリーの冷たい目、無駄のない動き、感情を押し殺した表情。
それだけで、ソルトという人物の危うさと哀しさが伝わってくる。
愛を知ったスパイが、愛を奪われたことで、今度は自分の意志で牙をむく。
『ソルト』の魅力は、そこにある。
彼女は正義の味方ではない。
完全な被害者でもない。
だが、自分の人生を他人に支配されることを最後に拒んだ。
その姿が、アクション映画としての爽快感以上に印象に残る作品だった。

彼女は国家の道具ではなく、自分の意志で戦う女になった。

『ソルト』で印象的だったのは、イヴリン・ソルトが最後まで「味方なのか、敵なのか」を簡単には見せないことです。

CIAの諜報員でありながら、ロシアの潜伏スパイだと告発されるソルト。
そこから彼女は、追う側ではなく追われる側になります。

しかし、彼女が逃げた理由は、自分の潔白を証明するためだけではありません。
夫マイクを守りたいという思いが、彼女を動かしていました。

国家に作られ、組織に利用されてきた女が、最後には自分の意志で戦う。
そこに、この映画の本当の熱さがあります。

もし本作のように、追われる主人公、二重スパイの緊張感、国家的陰謀が絡むアクション映画が好きなら、次の2作品もおすすめです。

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◆モテ男目線での考察

モテ男目線で見ると、マイクの存在が大きいです。
彼はソルトが普通の女性ではないと知っても、彼女を恐れず、利用せず、一人の人間として受け入れました。
強い男というのは、相手を支配する男ではありません。
相手の過去や危うさを知ったうえで、それでも信じる覚悟を持てる男です。
マイクは戦闘力ではソルトに及びません。
しかし、彼女の心を変えたのは彼でした。
男の魅力は腕力だけではなく、相手に「この人のためなら変わってもいい」と思わせる誠実さにあります。

◆教訓

人は過去や所属ではなく、最後に何を守るために動くかで本当の自分が決まります。

◆評価

ストーリー 19 / 20 CIA、ロシアの潜伏スパイ、国家的陰謀が絡み、
最後まで正体を疑わせる構成が面白い。
演技 19 / 20 アンジェリーナ・ジョリーの冷静で危険な
スパイ像が非常にハマっています。
映像・演出 20 / 20 逃走、変装、潜入、格闘をテンポよく見せて
います。
感情の揺さぶり 19 / 20 夫マイクを失ったソルトの静かな怒りが強く
残ります。
テーマ性 19 / 20 国家への忠誠と個人の愛のどちらを選ぶのかが
軸になっています。
合計 96 / 100 アンジェリーナ・ジョリーの存在感で押し切る、
完成度の高いスパイアクションです。

◆総括

『ソルト』は、アンジェリーナ・ジョリーの存在感で一気に駆け抜けるスパイアクションです。
CIA、ロシアの潜伏スパイ、国家的陰謀、核攻撃計画といった大きな題材を扱いながら、物語の中心にあるのは、イヴリン・ソルトという女が最後に何を信じ、何を守ろうとしたのかという部分です。

展開にはかなり強引なところもあります。
しかし、ソルトが追われ、逃げ、変装し、潜入し、敵を倒していく流れには勢いがあります。
細かい整合性よりも、アクションのスピード感と裏切りの連続で見せ切る作品です。

特に印象に残るのは、夫マイクを失ったソルトの静かな怒りです。
彼女は泣き叫ぶのではなく、感情を押し殺し、行動で復讐を始めます。
国家に作られたスパイでありながら、最後には国家ではなく自分の意志で動きます。
そこに本作の熱さがあります。

完璧なスパイ映画というより、アンジェリーナ・ジョリーの魅力を最大限に活かしたスター映画です。
それでも、裏切り、逃亡、復讐、愛を失った女の覚悟がテンポよく重なり、最後まで一気に楽しめる一本でした。

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