ホワイトハウスが落ちた日――
採用されなかった男が、大統領を守る最後の砦になった。
ホワイトハウスを武装集団が占拠する。大統領は孤立し、シークレットサービスは壊滅状態。
そんな極限状況で大統領を守ることになったのは、その日の朝にシークレットサービスの採用面接で不合格を言い渡された男だった。
ローランド・エメリッヒ監督らしい豪快な破壊、銃撃戦、カーチェイス、ミサイル攻撃。
そこに父と娘の物語、政治的陰謀、大統領との軽妙な掛け合いまで詰め込んだ、王道の娯楽アクションである。
◆作品情報
| 作品名 | ホワイトハウス・ダウン |
|---|---|
| 原題 | White House Down |
| 監督 | ローランド・エメリッヒ |
| 脚本 | ジェームズ・ヴァンダービルト |
| 出演 | チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、 マギー・ギレンホール、ジェイソン・クラーク、 ジェームズ・ウッズほか |
| 日本配給 | ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
| 日本公開 | 2013年8月16日 |
| 上映時間 | 131分 |
| 製作国 | アメリカ合衆国 |
| ジャンル | アクション/スリラー |
| 視聴環境 | U-NEXT、吹替、IRIS OHYAMAモニター、nwmヘッドホン |
◆登場人物・キャスト
ジョン・ケイル/チャニング・テイタム
元軍人で、現在は議会警察官として働く主人公。
娘エミリーとの関係は少しぎこちなく、彼女を喜ばせようとシークレットサービスへの転職を目指している。
しかし面接では不採用。
その直後にホワイトハウス襲撃事件へ巻き込まれ、本来なら警護する資格を与えられなかった男が、大統領を守ることになる。
チャニング・テイタムは『マジック・マイク』『21ジャンプストリート』などでも知られる。
ジェームズ・ソイヤー大統領/ジェイミー・フォックス
中東からの米軍撤退と和平を進めようとしているアメリカ大統領。
突然ホワイトハウスを占拠され、ケイルと行動を共にすることになる。
単なる「守られる大統領」ではなく、自ら銃を取り戦うところが本作の面白さでもある。
ジェイミー・フォックスは『Ray/レイ』『ジャンゴ 繋がれざる者』などで知られる。
エミリー・ケイル/ジョーイ・キング
ジョンの娘で、大統領や政治に強い関心を持つ少女。
父親に対しては素直になれないが、ホワイトハウス襲撃事件の中で思わぬ勇気を発揮する。
テロリストたちを撮影して映像を外部へ送信するなど、子どもながら事件解決に重要な役割を果たす。
キャロル・フィナティ/マギー・ギレンホール
シークレットサービスの次席特別警護官。
ケイルとは大学時代からの知り合いであり、彼の過去や性格を知っていたため採用面接では不合格を言い渡す。
事件発生後は外部から大統領救出作戦を支える。
マーティン・ウォーカー/ジェームズ・ウッズ
大統領警護を統括するシークレットサービスの責任者。
引退を目前にしているベテランだが、その正体こそホワイトハウス襲撃計画の中心人物である。
息子を軍事作戦で失った過去を持ち、大統領への激しい憎悪を抱えている。
エミール・ステンツ/ジェイソン・クラーク
武装集団を率いる実戦部隊のリーダー。
元特殊部隊員らしい戦闘能力を持ち、冷酷にホワイトハウスを制圧していく。
ケイルにとって最大の肉体的脅威となる男である。
◆あらすじ
元軍人のジョン・ケイルは現在、議会警察官として働いていた。
彼には政治好きの娘エミリーがいるが、父娘の関係は決して良好とは言えない。
エミリーを喜ばせたいジョンは、彼女をホワイトハウス見学へ連れて行く。
そして同じ日、ジョン自身もシークレットサービスの採用面接を受けることになっていた。
しかし結果は不採用。
過去の経歴や勤務態度などから「大統領を守る人間としては不適格」と判断されてしまう。
ところがその直後、アメリカ議会議事堂で爆発が発生。
さらにホワイトハウス内部へ潜入していた武装集団が一斉に行動を開始する。
警備員やシークレットサービスは次々と倒され、世界でもっとも厳重に守られているはずのホワイトハウスが、わずかな時間で占拠されてしまう。
混乱の中、ジョンはエミリーとはぐれてしまう。
娘を救うために単独で建物内部を進んでいたジョンは、そこでテロリストに追われていたソイヤー大統領と遭遇する。

ジョンとソイヤー大統領が武装集団の追跡から逃れる場面。
シークレットサービスになる資格がないと判断された男が、皮肉にもアメリカ大統領を守る唯一の人間となるのだった。
◆ネタバレあらすじ・結末
⚠ ネタバレあり|結末まで読む
ホワイトハウス内部から始まった反乱
武装集団による襲撃は、外部から侵入してきた単純なテロではなかった。
大統領警護責任者マーティン・ウォーカー自身が計画に加担していたのである。
ウォーカーはソイヤー大統領の軍事作戦によって息子を失っていた。
その恨みから大統領への復讐を決意し、元特殊部隊員や犯罪者、ハッカーなどを集めてホワイトハウスを占拠したのだった。
ソイヤーを確保しようとするウォーカーだったが、偶然現れたジョンによって失敗。
ジョンとソイヤーは二人でホワイトハウス内部を逃げ回ることになる。
大統領とケイルの脱出作戦
外部ではキャロル・フィナティがジョンと連絡を取り、地下通路から脱出するよう指示する。
しかし通路には爆弾が仕掛けられており、脱出は失敗。
そこで二人は大統領専用車へ乗り込み、ホワイトハウスの敷地内を突破しようとする。

激しい追跡の末、大統領専用車はホワイトハウスのプールへ。
芝生の上を大統領専用車で爆走し、武装集団が追跡するという、本作屈指の派手なアクションが展開される。
だがエミリーが人質に取られていることが判明し、ジョンは動揺。
車は攻撃を受け、再びホワイトハウス内へ追い込まれる。
「大統領死亡」の誤報
爆発によってソイヤー大統領の生死が確認できなくなり、アメリカ政府は大統領が死亡したと判断する。
副大統領アルヴィン・ハモンドが大統領権限を引き継ぐが、テロリスト側のハッカーによってミサイルシステムが操作され、エアフォースワンが撃墜されてしまう。
副大統領まで死亡したことで、大統領権限は下院議長イーライ・ラフェルソンへ移る。
ラフェルソンは事態を終わらせるため、ホワイトハウスそのものへの空爆を決断する。
ウォーカーの本当の目的
ウォーカーの目的は金ではなかった。
ソイヤー大統領の認証を利用し、中東へ核ミサイルを発射することだった。
息子を死なせた戦争への復讐。
そのために世界規模の戦争を引き起こそうとしていたのである。
一方、ジョンはステンツとの激しい戦闘を制し、大統領執務室へ突入する。
核ミサイルの発射ボタンを押そうとしていたウォーカーをジョンが倒し、核攻撃は寸前で阻止される。
最後にホワイトハウスを救ったのはエミリー
テロリストは倒された。
しかしラフェルソンが命じたホワイトハウス空爆はすでに開始されていた。
戦闘機がホワイトハウスへ迫る。
その時、エミリーは建物の外へ飛び出し、大きな大統領旗を必死に振る。
「まだ生存者がいる」
その意思を読み取った爆撃部隊は攻撃を中止。
ホワイトハウスは破壊を免れる。
本当の黒幕
だが事件にはさらに裏があった。
ウォーカーの背後にいた人物こそ、大統領権限を引き継いでいたラフェルソン下院議長だったのである。
中東からの軍撤退を進めるソイヤーを排除しようとしたラフェルソンは、軍産複合体の利益を守るためウォーカーの計画を利用していた。
生きていたソイヤー大統領はラフェルソンの関与を見抜き、彼を反逆罪で逮捕する。
事件解決後、ソイヤーはジョンに声をかける。
その日の朝、シークレットサービスの採用面接で不合格になった男。
しかし実際の危機の中で、大統領を守り、娘を救い、国家規模のテロを止めた男。
ソイヤーはジョンを正式にシークレットサービスへ勧誘する。
肩書きも学歴も過去の評価も関係ない。
ジョンは行動によって、自分がその仕事にふさわしい人間であることを証明したのである。
◆考察と感想
「不採用」から始まる物語だから面白い
俺がこの作品で一番好きなのは、ジョン・ケイルが最初から完成されたヒーローではないところだ。
映画の冒頭で彼はシークレットサービスの面接に落ちる。
過去の成績や勤務態度を見れば、採用側の判断も理解できる。
フィナティも意地悪で落としたわけではない。
「この男に大統領の命を預けられるか」と考えれば、不合格という結論になっただけだ。
ところが、その数時間後に本物の危機が起こる。
すると書類上では評価されなかった男が、誰よりも冷静に動き、誰よりも危険な場所へ入り、結果的に大統領を守り抜く。
ここが実に気持ちいい。
人間は履歴書だけでは分からない。
面接だけでも分からない。
普段の態度だけでも、本当の強さまでは分からない。
人間の本質が最もよく出るのは、逃げても誰にも責められない状況で「それでも何をするか」なのだと思う。
ジョンは娘を助けたい。
だから危険な場所へ戻る。
大統領を見捨てれば自分だけ助かる可能性もある。
それでも見捨てない。
彼が最後にシークレットサービスへ採用されるのは、ご都合主義にも見える。
だが、この作品の場合はそこまでの2時間が全部「ジョン・ケイルの実地採用試験」になっている。
面接では不合格。
実戦では満点。
そう考えると、本作のストーリーはかなり綺麗にできている。
大統領が「守られるだけの人」ではないのがいい
もう一つ好きなのが、ソイヤー大統領である。
この手の映画では大統領は重要人物である一方、主人公に守られて逃げ続ける存在になりがちだ。
しかしソイヤーは違う。
銃も撃つ。
ジョンと口論もする。
自分のスニーカーを気にする。
そして必要なら自分から危険な場所へ出ていく。
ジェイミー・フォックスが演じていることもあり、大統領という権威を必要以上に神格化していない。
ジョンとソイヤーが一緒に動き始めると、映画の空気は一気にバディムービーになる。
ここが同じ「ホワイトハウス占拠」を扱う作品の中でも、本作がかなり軽快に見られる理由だ。
世界の危機を描いているのに、二人の掛け合いには妙なユーモアがある。
だから131分という長さの割には、それほど重く感じない。
ローランド・エメリッヒはやっぱり壊し方が豪快だ
そしてローランド・エメリッヒ監督である。
この人にホワイトハウスを渡した時点で、無事に済むわけがない。
『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』などを見ても分かるが、とにかく巨大なものを派手に壊すことに関しては抜群に上手い。
本作も例外ではない。
議会議事堂は爆発する。
ホワイトハウス内部では銃弾が飛び交う。
ヘリコプターは撃墜され、大統領専用車は芝生の上を爆走し、最後はホワイトハウス自体が空爆寸前まで追い込まれる。
現実性を細かく考え始めれば、突っ込みどころはいくらでもある。
だが、この映画に求めているものはそこではない。
「そんなことあるか」と思いながらも、「でも面白い」と思わせる。
このバランスがエメリッヒ映画の強さだ。
悪役ウォーカーが単なる金目当てではない
物語に少し厚みを与えているのがウォーカーの存在だ。
彼は単なる金目当てのテロリストではない。
息子を戦争で失い、その原因を作ったと考える大統領を憎んでいる。
もちろん、その復讐のために核戦争まで起こそうとする行動は完全に狂っている。
ただ、彼の怒りの出発点には「国家の決定によって家族を失った父親」という個人的な悲しみがある。
ここが面白い。
ジョンもまた娘のために戦う父親である。
ウォーカーも息子を失った父親である。
つまり本作では、二人の父親がまったく逆の方向へ進んでいる。
ジョンは家族を守るために命を使う。
ウォーカーは家族を失った怒りによって他人の命を奪う。
同じ「家族への思い」であっても、それを何に変えるのかで人間はまったく違う存在になる。
この対比は、派手なアクションの裏側にある本作の意外に重要な部分だと思う。
エミリーは「助けられる娘」だけではない
そして忘れてはいけないのがエミリーだ。
最初は父親に冷たい。
ジョンからすれば、娘との距離を縮めるためのホワイトハウス見学だった。
だが事件が始まると、彼女自身も勇気を見せる。
テロリストを撮影し、その映像を外部へ流す。
そして最後には、大統領旗を振ってホワイトハウスへの空爆を止める。
父親が娘を救う映画でありながら、最後は娘もまた父親と大統領を救っている。
ここがいい。
親子関係の修復を「最後に抱き合って終わり」だけで処理していない。
お互いが実際の行動によって相手への見方を変えていく。
ジョンは娘に「頼りない父親」ではないことを証明し、エミリーもまた「守られるだけの子ども」ではないことを証明した。
王道すぎる。それでも、やっぱり面白い
ストーリーはかなり王道だ。
ホワイトハウス占拠。
内部に裏切り者。
死んだと思われた大統領。
核発射までのタイムリミット。
最後に判明する本当の黒幕。
そして爆撃寸前で振られる旗。
どこかで見たことのある要素は多い。
それでも俺は、この映画に関してはそれでいいと思う。
伏線を何度も読み解くタイプの映画ではない。
人間の心の闇を何日も考え続ける作品でもない。
主人公が走る。
撃つ。
殴る。
大統領を守る。
娘を助ける。
悪党を倒す。
そして最後にはちゃんと気持ちよく終わる。
映画を観る理由には、こういう「ただ純粋に2時間楽しみたい」という日もある。
『ホワイトハウス・ダウン』は、その期待にかなり高いレベルで応えてくれる一本である。

momoko
「スカッとしたわ。観終わった後。登場人物がチャンと存在感を示しているところが良いわね。」

yoribou
「大統領がこんなんするか?と思ったりするけど、これはこれでストーリーがスムーズに流れて良いよね。」
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【もて男目線で考察】
この映画を男目線で見るなら、ジョンの格好良さは銃が強いことではない。
一度「お前は不適格だ」と評価されたあとに、ふて腐れず、自分がやるべきことをやり続けたところにある。
男は時として、肩書きや会社からの評価、他人からどう見られているかを気にしすぎる。
だが本当に評価を変えるのは言い訳ではない。
行動である。
ジョンは「俺は本当は優秀なんだ」と誰にも説明しない。
娘が危険なら助けに行く。
大統領が危険なら守る。
目の前にやるべきことがあれば動く。
結果として、朝には不採用だった男が、夜には「お前に守ってほしい」と大統領本人から求められる。
格好いい男というのは、最初から高く評価されている男ではない。
必要な時に逃げず、最後に評価をひっくり返せる男なのだと思う。
◆この映画から得た教訓
人の価値を決めるのは、過去の評価ではない。誰も見ていない危機の中で、何を選び、どう動くかである。
◆評価
| 評価項目 | 点数 | ひとこと |
|---|---|---|
| ストーリー・構成 | 18 / 20 | 王道だがテンポがよく、最後まで退屈しない。 |
| 演技 | 18 / 20 | テイタムとフォックスの掛け合いが作品を軽快 にしている。 |
| 映像・演出 | 19 / 20 | ホワイトハウスを舞台にした破壊と銃撃戦は 文句なしの迫力。 |
| 感情の揺さぶり | 17 / 20 | 展開は王道。ただし父親同士の対比や政治的 陰謀は面白い。 |
| テーマ性 | 18 / 20 | 難しく考えず楽しめる娯楽アクションとして 完成度が高い。 |
| 総合評価 | 89 / 100 |
「こういうのでいい」と思わせる王道 アクション大作。 |
◆総括
『ホワイトハウス・ダウン』は、良い意味で難しいことを考えずに楽しめるアメリカン・アクション大作である。
ホワイトハウス占拠、大統領救出、核ミサイル、内部の裏切り、政治的陰謀。
これでもかというほど王道の材料を詰め込みながら、ジョンとソイヤー大統領の掛け合い、そして父娘の物語を入れることで131分を一気に見せてしまう。
特に俺が好きなのは、最初にジョンがシークレットサービスの採用試験に落ちていることである。
誰かから「お前には無理だ」と判断された男が、その直後の本番で誰よりも結果を出す。
そして最後には、大統領本人から「俺を守ってくれ」と認められる。
この流れが何とも気持ちいい。
肩書きより行動。
過去の評価より今の振る舞い。
派手な爆発や銃撃戦の裏に、そんなシンプルだが男心に刺さるテーマがある。
深く沈み込む映画ではない。
だが、映画を観終えたあとに「面白かった」と素直に言える。
それこそが『ホワイトハウス・ダウン』最大の強みだと思う。
王道、派手、爽快。
そして最後にちゃんとヒーローが報われる。
娯楽アクション映画として、かなり好きな一本である。


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