【映画】『見えない目撃者』(2019年)ネタバレあらすじ・結末|犯人の正体と感想・考察

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◆作品情報

『見えない目撃者』は、2019年に公開された日本のサスペンス・サイコスリラー映画です。
韓国映画『ブラインド』を原案に、森淳一監督が日本を舞台にリメイクしています。
視力を失った元警察官・浜中なつめが、偶然耳にした少女の「助けて」という声をきっかけに、
連続誘拐殺人事件の真相へと迫っていきます。

項目 内容
監督・脚本 森淳一
脚本 藤井清美
原案 映画『ブラインド』
出演 吉岡里帆、高杉真宙、田口トモロヲほか
主題歌 みゆな「ユラレル」
配給 東映
公開 2019年
上映時間 128分
製作国 日本
ジャンル サスペンス、サイコスリラー
視聴環境 U-NEXT、自室モニター、nwmヘッドホン

◆キャスト

  • 浜中なつめ:吉岡里帆 代表作『ハケンアニメ!』(2022年)
  • 国崎春馬:高杉真宙 代表作『前田建設ファンタジー営業部』(2020年)
  • 吉野直樹:大倉孝二 代表作『ピンポン』(2002年)
  • 日下部翔:浅香航大 代表作『桐島、部活やめるってよ』(2012年)
  • 木村友一:田口トモロヲ 代表作『鉄男』(1989年)

◆あらすじ

前半:ネタバレなし

警察学校を優秀な成績で卒業し、警察官として新たな人生を歩み始めるはずだった浜中なつめ。
しかし卒業式の日、弟・大樹を車に乗せて帰宅する途中で事故を起こし、弟を亡くしたうえ、自身も視力を失ってしまいます。
事故の責任を背負い続けたなつめは警察官になる道を諦め、3年後も心に深い傷を抱えながら、盲導犬パルとともに生活していました。

ある夜、外出していたなつめは、近くを通った車から少女の「助けて」という声を聞きます。
不審に感じた彼女は警察へ駆け込み、誘拐事件の可能性を訴えますが、
目が見えず車の運転手やナンバーを確認できていないことから、まともに取り合ってもらえません。
しかしなつめは、音や匂い、会話の内容など、その場で感じ取った細かな情報を鮮明に記憶していました。

やがて警察は、同じ場所にいた高校生・国崎春馬をもう一人の目撃者として発見します。
ところが春馬は「車の中に少女はいなかった」と証言します。
それでも自分の耳を信じるなつめは、春馬とともに少女の行方を追い始めます。
調査を進めるうちに浮かび上がってくるのは、若い女性たちの間で噂される謎の存在「救様」。
そして、一見無関係に見えた複数の少女の失踪でした。
見えないからこそ気づく異変を手掛かりに、なつめはやがて恐ろしい連続誘拐事件へと近づいていきます。

事件の真相を追い続ける浜中なつめ

少女の「助けて」という声を信じたなつめは、周囲に疑われながらも真相を突き止めようと必死に動き続けた

ここからネタバレありです

ネタバレあらすじ・結末を読む

なつめと春馬が調査を続けると、助けを求めていた少女は「レイサ」という名で働いており、
「救様」と呼ばれる人物と出会った後に姿を消していたことが分かります。
その直後、春馬も謎の車に命を狙われます。
春馬が覚えていたナンバーから車の所有者を突き止めた警察は、その男の自宅敷地内から4人の少女の遺体を発見します。
しかし遺体からは耳、鼻、口などが切り取られており、
なつめは犯行が仏教の「六根」に関連した儀式殺人ではないかと推理します。

事件を本格的に追う警察

当初は半信半疑だった警察も、少女たちの遺体発見をきっかけに、連続誘拐殺人事件として本格的に捜査へ乗り出していった

さらに被害少女たちの情報を調べるうち、
犯人が警察内部の人間でなければ知り得ない情報を利用している可能性が浮上します。
刑事の木村は15年前に発生した類似事件を調べ、
当時その犯行を目撃していた少年が、現在警察官となっている日下部翔だったことを突き止めます。
しかし真相にたどり着いた木村は、日下部によって殺害されてしまいます。

日下部こそが少女たちを誘拐し、「救済」と称して殺害を繰り返していた真犯人でした。
なつめ自身も日下部に狙われますが、春馬の助けを借りて一度は逃げ切ります。
その後、なつめと春馬、吉野刑事は15年前の事件現場だった廃屋へ向かいます。
そこには現在も監禁されている少女たちがいましたが、吉野は日下部に殺され、春馬も刺されてしまいます。

追い詰められたなつめは建物の電気をショートさせ、あえて完全な暗闇を作ります。
視覚に頼れない状況は、普段から音を頼りに生きるなつめにとって逆に有利でした。
彼女は弟の形見を床に置き、それを日下部が踏んだ音から位置を特定。
吉野刑事の拳銃で日下部を撃ち、少女たちを救出します。

事件後、なつめはようやく弟の墓を訪れ、自分の過去と向き合います。
そして春馬もまた、なつめとの経験を通して将来を考えるようになり、
「警察官になりたい」と新たな夢を語ります。
なつめが失ったものを抱えながら再び前へ進み始める姿を描き、物語は幕を閉じます。

◆考察と感想

『見えない目撃者』を観てまず感じたのは、単なる「目の見えない女性が事件を追うサスペンス」ではなく、
喪失を抱えた人間が、もう一度自分の人生を取り戻していく物語なんだということだった。
設定だけを見ると、視覚障害を負った元警察官が、聴覚や嗅覚を頼りに事件を解決していくという、
いかにもサスペンス向きの作品に見える。
もちろん、その要素はかなり面白い。
ただ、俺が一番惹かれたのは、なつめが犯人を追う過程で、実はずっと自分自身とも戦っていたところだった。

なつめは警察学校を優秀な成績で卒業し、これから警察官として人生を歩いていくはずだった。
しかし自分が運転していた車の事故で弟を亡くし、同時に自分の視力まで失ってしまう。
彼女にとって失ったのは「目」だけではない。
弟、仕事、将来、自信、そして自分を肯定する感覚まで、全部が一度に崩れている。
だから冒頭のなつめには、どこか生きることを諦めているような空気がある。
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momokoアイコン

momoko
「絶望の淵にいながら、事件に巻き込まれて、これだけ行動できるのはすごいとしか言いようがないわ。」

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yoribou
「普通なら動けないよね。同感。」

そんな彼女が偶然、「助けて」という少女の声を聞く。
ここがこの映画の大きな転換点だったと思う。
警察は、目が見えないという理由から彼女の証言を疑う。
しかし、なつめ本人は自分が聞いたものを信じている。
俺はこの部分がすごく良かった。
普通なら「見たもの」が証拠になる世界で、この映画は最初から「見えることが正しいとは限らない」と突きつけてくる。

むしろ、なつめには見えないからこそ分かるものがある。
人の歩き方、声の位置、車の音、匂い、空気の変化。
視覚に頼っている人間なら気にも留めない情報を、彼女は拾っていく。
ここは障害を単なる弱点として描かず、それによって研ぎ澄まされた感覚を事件捜査に結び付けているところがうまい。

そして対照的なのが春馬だ。
春馬は目が見える。
しかし、最初は何も見ようとしていない。
将来についても深く考えず、その場その場を生きている若者として登場する。
つまりこの映画には、「目は見えないが真実を見ようとするなつめ」と、
「目は見えるのに人生を見ようとしていない春馬」という対比がある。

この二人が事件を追いかけるうちに変わっていくのが面白い。
なつめは春馬を通して、もう一度人を信じ、外の世界へ踏み出していく。
一方の春馬は、なつめと一緒に行動することで、自分の人生について初めて真剣に考えるようになる。
ラストで春馬が警察官を目指したいと話すのは、単なる後日談ではなく、この作品のテーマを象徴する場面だと思った。

犯人の日下部についてもかなり不気味だった。
彼は少女たちを「救う」という歪んだ思想を持っている。
しかし実際にやっていることは、救済とは真逆の支配と殺人だ。
ここが怖い。
本人の中では悪事を働いているというより、「正しいことをしている」という認識になっている。

特に六根清浄をモチーフにして、耳や鼻、口などを切り取っていく設定はかなりエグい。
R15+なのも納得できる描写だった。
ただ、単に猟奇的な映像を見せたいだけではなく、
「人間を勝手な価値観で浄化しようとする」日下部の異常性を視覚的に表現している。
この犯人が警察官だというところも重要だと思う。
本来なら弱い人を守る側の人間が、守られるべき少女たちを狙っている。
しかも被害者に選んでいるのは、家出少女など、社会から見失われやすい人たちだ。

俺はこの部分が結構怖かった。
日下部は「誰も探さない人間」を選んでいる。
つまりこの映画で本当に恐ろしいのは、犯人の猟奇性だけではない。
社会からこぼれ落ちた人間は、いなくなっても誰にも気づかれないかもしれないということだ。
「救様」という名前も皮肉で、助けを求めている少女の弱さにつけ込み、救うふりをして支配する。
その構図は現実にもあり得そうだから余計に怖い。

終盤の暗闇での対決は、この映画で一番好きな場面だった。
なつめは電気をショートさせ、自ら完全な暗闇を作る。
普通なら暗闇は恐怖を増幅させるものだが、なつめにとっては普段と変わらない。
逆に、日下部の方が視覚を奪われる。

ここで初めて、二人の立場が逆転する。
序盤では「目が見えない」という理由で弱者として扱われていたなつめが、最後には暗闇を武器にする。
この展開は単純だけど、かなり気持ちがいい。
そして弟の形見を床に置き、それを踏んだ音から犯人の位置を判断するところも良かった。
弟の死によって彼女は人生を止めてしまった。
しかし最後には、その弟の存在が彼女を生かす力になる。

だから俺は、この映画の本当の結末は日下部を倒したことではなく、
なつめが弟の墓参りに行けたことだと思っている。
事件を解決したから過去が消えるわけではない。
弟が戻ってくるわけでもないし、視力が戻るわけでもない。
それでも彼女は、自分の人生をもう一度生きていこうとする。

吉岡里帆もかなり良かった。
視線を使わずに恐怖や緊張感を表現しなければならない難しい役だが、
弱さだけではなく、元警察官としての観察力や芯の強さも感じさせる。
高杉真宙との組み合わせも良く、恋愛に安易に寄せなかったのも俺は好みだった。
二人は男女というより、互いの欠けている部分を補いながら前へ進む相棒として描かれている。

韓国映画『ブラインド』のリメイクではあるが、日本版としてかなり完成度は高いと思う。
猟奇殺人、誘拐、盲目の主人公という強い設定を使いながら、
最終的には「見えるとは何なのか」というところまで物語を持っていったのが良かった。
目が見えるから真実が見えるわけではない。
逆に、見えないものを見ようとする意志があるかどうかの方が重要なのかもしれない。

128分とやや長めではあるが、中盤以降はテンポも良く、犯人が分かってからも緊張感が落ちない。
かなり容赦のない描写もあるので万人向けとは言えないが、邦画サスペンスとしてはかなり見応えがあった。
何より、タイトルの『見えない目撃者』という言葉が、観終わったあとには
「目が見えない目撃者」という意味だけではなく、
「見えていなかった真実に気づく人」という意味にも感じられたのが印象的だった。

◆似ている作品・おすすめ映画2作品

目撃者

【映画】目撃者(2018年)

殺人事件を目撃したことで犯人に狙われ、恐怖の中で真相と向き合っていく展開が似ています。
目撃者でありながら簡単には声を上げられない葛藤と、殺人犯がすぐ近くまで迫ってくる緊張感も共通しています。

本文を読む

ドアロック

【映画】ドアロック(2018年)

些細な違和感を訴えても周囲に信じてもらえない女性が、身近に潜む犯罪者の正体へ迫っていく点が似ています。
日常が少しずつ恐怖へ変わり、最後には自ら生き残るために犯人と対峙するサスペンスです。

本文を読む

もて男目線で考察

もて男目線で見ると、なつめの魅力は「守ってあげたくなる女性」ではなく、自分の力で立ち上がろうとする強さにある。
春馬も最初は彼女を特別扱いしているわけではないが、一緒に行動するうちに、
なつめの知性や行動力を自然に認めていく。この距離感がいい。

男女が一緒に危機を乗り越えると、すぐ恋愛に持っていく作品も多い。
しかし本作はそこを抑えている。
相手を異性として見る前に、一人の人間として尊敬できるか。
結局、人を惹きつけるのは見た目だけではなく、
困難の中でどう振る舞うかなんだと思わせる作品だった。

◆教訓・学び


見えるものだけが真実ではありません――大切なのは、違和感を見過ごさず、自分の感覚を信じて行動することです。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 18 / 20 盲目の元警察官が少女誘拐事件を追う設定と、
連続殺人へつながる展開が秀逸です。
演技 18 / 20 吉岡里帆が恐怖と強さを併せ持つなつめを
繊細に演じています。
映像・演出 18 / 20 音や暗闇を効果的に使い、視覚に頼れない
恐怖と緊張感を生み出しています。
感情の揺さぶり 17 / 20 弟を失ったなつめの罪悪感と、再び前を
向くラストが心に残ります。
テーマ性 18 / 20 見えるものだけを信じず、違和感に
向き合うことの大切さを描いています。
合計 89 / 100 猟奇的なサスペンスと主人公の再生
を組み合わせ、最後まで緊張感を
保った完成度の高い作品です。

◆総括

『見えない目撃者』は、視力を失ったことを単なる弱点として扱うのではなく、
それを主人公・なつめの強さへと変えていく構成が印象的なサスペンスです。
少女誘拐事件から猟奇的な連続殺人へと発展していく物語は緊張感が高く、
犯人の異常性や警察内部に潜む恐怖もしっかり描かれています。

一方で、この作品の核にあるのは事件そのものだけではなく、
弟を失った罪悪感から立ち止まっていたなつめが再び歩き出すまでの物語でもあります。
終盤、自ら暗闇を作り出して犯人と対峙する姿は、
「見えないこと」が弱さではなく、彼女にしかない力へと変わった瞬間でもあります。

吉岡里帆の演技も含め、邦画サスペンスとして完成度の高い一本です。
グロテスクな描写があるため好みは分かれますが、
最後まで緊張感を失わず、観終わった後には
「本当に見えているものとは何なのか」と考えさせられます。
サスペンスやサイコスリラーが好きな方には、特におすすめできる作品です。

映画を観たあと、そのまま感想を書き残す。

映画を観終わった直後は、印象に残ったシーンや感じたことを忘れないうちに文章にしておきたいものです。
俺も自室のモニターで映画を観たあと、そのままパソコンに向かって感想や考察を書いています。

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