◆【映画】『CHASE/チェイス 猛追』(2022年)の作品情報
| 監督 | ブライアン・グッドマン |
|---|---|
| 脚本 | マーク・フライドマン |
| 出演・製作 | ジェラルド・バトラー |
| 出演 | ジェイミー・アレクサンダー他 |
| 配給 | ヴァーティカル・エンターテインメント、 アットエンターテインメント |
| 公開 | 2022年 |
| 上映時間 | 95分 |
| 製作国 | アメリカ |
| ジャンル | アクション、サスペンス |
| 視聴ツール | U-NEXT、吹替、自室モニター、nwmヘッドフォン |
◆キャスト
- ウィル・スパン:ジェラルド・バトラー 代表作『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年)
- リサ・スパン:ジェイミー・アレクサンダー 代表作『マイティ・ソー』(2011年)
- ピーターソン刑事:ラッセル・ホーンズビー 代表作『フェンス』(2016年)
- ナックルズ:イーサン・エンブリー 代表作『ザ・ゲスト』(2014年)
- オスカー:マイケル・アービー 代表作『フェイス/オフ』(1997年)
◆あらすじ
ネタバレなし
不動産開発業を営むウィル・スパンは、関係がぎくしゃくしている妻リサを実家まで車で送り届ける途中でした。二人は別居寸前の状態で、車内には重苦しい空気が流れています。
道中、ガソリンスタンドに立ち寄った二人でしたが、給油中にリサが突然姿を消してしまいます。店内や周囲を探しても見つからず、電話もつながりません。ウィルは誘拐されたのではないかと考え、警察に通報します。
しかし、夫婦関係が悪化していたことや、ウィルの荒々しい態度から、警察は彼自身を疑い始めます。さらに、リサの両親までもがウィルを信用しておらず、彼は次第に孤立していきます。
そんな中、防犯カメラの映像からリサが見知らぬ男性と接触していたことが判明します。警察の捜査が思うように進まないと感じたウィルは、自ら妻の行方を追うことを決意します。
わずかな手がかりを頼りに調査を進めるウィルでしたが、その行動は次第にエスカレートしていきます。法を無視した危険な捜索の末に、彼は犯罪組織の存在へとたどり着きます。
果たしてリサは無事なのか。そしてウィルは妻を救い出すことができるのでしょうか。ジェラルド・バトラーらしい力強いアクションと、息の詰まるサスペンスが展開する作品です。
ここからネタバレありです
防犯カメラの映像を確認したウィルは、リサがナックルズという男に声をかけられていたことを知ります。警察が慎重に捜査を進める一方で、焦ったウィルは単独でナックルズの自宅へ向かいます。
ウィルは不法侵入をしてナックルズを問い詰め、暴力によって情報を引き出します。ナックルズはフランクという人物の名前を口にし、リサがその一味に連れ去られたことを示唆します。
ウィルはナックルズを拘束して連れ回しながらフランクの拠点を突き止めます。その過程で警察から追われる身となりながらも捜索を続け、ついに犯罪組織が活動する場所へとたどり着きます。
拠点ではガソリンスタンドの店員オスカーも事件に関与していたことが判明します。ウィルは武装した男たちと激しく衝突し、銃撃戦の末に手がかりを探します。しかし犯人たちは次々と倒れ、肝心のリサの居場所は分からないまま時間だけが過ぎていきます。
一方、警察に拘束されたナックルズは、リサはすでに殺された可能性があると証言します。その話を聞いたウィルは絶望しますが、最後まで諦めません。
やがて警察が現場に到着し、捜査が本格化します。そんな中、ウィルはコンテナハウスの中から物音を聞きつけます。中を確認すると、そこには縛られた状態のリサが監禁されていました。
無事に救出されたリサは実家へ戻り、事件は解決します。ピーターソン刑事はウィルが数々の違法行為を行ったことを理解しながらも、妻を救うためだったことを考慮して見逃します。最後は夫婦が再び向き合う姿が描かれ、物語は幕を閉じます。
◆考察と感想
『CHASE/チェイス 猛追』は、妻が誘拐されたサスペンスというよりも、「愛する人を失うかもしれない恐怖によって理性を失った男の暴走劇」と言った方がしっくりくる作品だった。
正直なところ、観ていて何度も「お前、それはダメだろ」とツッコミを入れたくなった。
主人公のウィルは妻を助けたい一心なのは分かる。しかし、警察の捜査を待てずに勝手に証拠を持ち出し、不法侵入をし、人を殴り、脅し、監禁し、最終的には銃撃戦まで始めてしまう。普通なら途中で完全に犯罪者である。
映画を観ていて面白いのは、途中から犯人より主人公の方が怖く見えてくることだ。

momoko
「気持ちは分かるけど、ウィルのろうばいぶりは凄いわ。いつもの冷静なジェラルド・バトラーじゃない!」

yoribou
「こう言う思ったらすぐ行動する派っていうのはいつもやん。けど、ここまで愛していたんならもっと早くどうにかならなかったの?って思うよね。」
もちろん誘拐犯たちは悪党である。しかし彼らは最初から悪党として描かれている。一方でウィルは善人側の主人公として登場する。それなのに行動だけを見るとかなり危険人物だ。
この作品は「正義のためなら何をしてもいいのか」という問いを投げかけているようにも見える。
映画では結果的にリサを救出できたため、ウィルの行動はある程度肯定される。しかし現実なら途中で逮捕されても仕方がないことばかりだ。だからこそ、観客としては少し複雑な気持ちになる。
もしリサが助からなかったら。もし無関係な人を撃っていたら。もし警察官に発砲していたら。そう考えると、彼の行動は正義というより執念や狂気に近い。
タイトルの「猛追」はまさにその通りで、誘拐犯を追い詰める映画というより、理性を失った夫が突っ走る映画なのだと思う。
一方で、ウィルがここまで暴走する理由も理解できる。リサとの関係はすでに壊れかけていた。浮気を匂わせる描写もあり、別居話まで出ている。つまりウィルは妻を失う寸前だった。
そんな状況で突然リサが姿を消した。彼の中では「離婚されるかもしれない妻」が一瞬で「失いたくない妻」に変わったのだろう。人間は失うと分かった瞬間に、その大切さに気付くことがある。ウィルもまさにそうだった。
だから彼は警察を信用できなかったし、自分で助けなければ二度と会えないと思い込んだ。その焦りが暴走へと繋がっていった。
本作で興味深かったのは、リサも決して被害者一辺倒ではないことだ。浮気相手らしき存在が描かれ、夫婦関係が悪化していたことも示されている。そのため観客は単純に「可哀想な妻を助けろ」と思いにくい。
ウィルにも問題があり、リサにも問題がある。だから夫婦そのものに共感しづらい部分がある。ただ、それが逆にリアルだった。現実の夫婦関係も映画のように善人と悪人に分かれるわけではない。
お互いに問題を抱えながら、それでも一緒にいることが多い。本作の夫婦はそんな不完全さを抱えている。だからこそ最後にリサが助かり、二人が再び向き合うラストには少し救われる気持ちになった。
個人的にはピーターソン刑事が一番まともだった。主人公を疑うのも当然だし、捜査の進め方も冷静だった。むしろ観客目線では「その人をもっと早く逮捕してください」と思う場面すらある。
最後に見逃したのは映画だから仕方ないとしても、現実なら確実に大問題である。
アクション面はジェラルド・バトラーらしく力強い。知的な作戦で解決するのではなく、力技と根性で突破していく。『エンド・オブ・ホワイトハウス』や『ロストフライト』が好きな人なら十分楽しめるだろう。
ただし本作は主人公に共感するというより、「この人ヤバいな」と思いながら観る作品である。サスペンスとしての完成度は高くないかもしれないが、暴走する主人公を眺めるエンターテインメントとしてはなかなか面白かった。
俺としては、リサを救えたことよりも「よく逮捕されなかったな」が最後まで頭から離れなかった作品だった。
◆似ている作品・おすすめ映画

誘拐された少女を救うため、主人公が警察任せにせず自ら危険な場所へ踏み込んでいくサスペンスアクションです。大切な人を救うために常識を超えた行動を取る点が『CHASE/チェイス 猛追』によく似ています。

病院で妻と娘が突然姿を消し、主人公が単独で真相を追うサスペンスです。周囲から疑われながらも必死に家族を探す展開は、『CHASE/チェイス 猛追』の「妻の失踪」と非常に近い雰囲気があります。
◆モテ男目線で考察
この映画を観て思ったのは、恋愛でも結婚でも「失いそうになってから大切さに気付く」のは遅いということです。ウィルはリサを愛していましたが、その気持ちをうまく伝えられず、夫婦関係は壊れかけていました。そして失う危機になって初めて必死になります。
モテる男性は、失う前に相手を大切にします。普段から感謝を伝え、相手の気持ちを理解しようとします。本作は誘拐事件の映画ですが、本質的には夫婦のすれ違いを描いた物語でもあります。愛情は心の中に持っているだけでは伝わりません。言葉や行動で示すことの大切さを改めて感じた作品でした。
◆教訓
大切な人を失いそうになって初めて後悔するのではなく、今この瞬間から向き合うことが何よりも大切である。
◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 18 / 20 | 妻の失踪から始まる展開は引き込まれる。 テンポが良く最後まで飽きさせない。 ただし展開にはご都合主義も見られる。 |
| 演技 | 18 / 20 | ジェラルド・バトラーが安定の熱演。 追い詰められた夫の焦りを好演。 脇役陣も作品をしっかり支えている。 |
| 映像・演出 | 19 / 20 | 派手さはないが緊張感のある演出。 後半の銃撃戦は見応えがある。 低予算ながら工夫が感じられる。 |
| 感情の揺さぶり | 17 / 20 | 妻を救いたい執念は伝わる。 しかし主人公の暴走ぶりに引く場面も多い。 感情移入しにくい部分がある。 |
| テーマ性 | 18 / 20 | 愛する人を失う恐怖を描く。 正義と狂気の境界線を考えさせられる。 深いテーマより娯楽性重視の作品。 |
| 合計 | 90 / 100 | 失踪した妻を追うサスペンスアクション。 ジェラルド・バトラーらしい力技の展開が楽しめる。 リアリティは薄いが勢いで最後まで見せ切る一本。 |
◆総括
『CHASE/チェイス 猛追』は、妻の失踪事件をきっかけに、一人の男が理性を失いながら真相へ突き進んでいくサスペンスアクションです。
物語自体はシンプルですが、ジェラルド・バトラー演じる主人公の行動力が凄まじく、次々と問題を力技で突破していく展開は最後まで退屈しません。一方で、その行動は常識を大きく逸脱しており、「本当に主人公が正しいのか?」と考えさせられる部分もあります。
完成度の高いサスペンスというよりは、愛する人を救うために暴走する男の執念を楽しむ作品と言えるでしょう。リアリティや整合性を求めると気になる点はありますが、勢いのある展開と緊張感のある追跡劇は十分に見応えがあります。
ジェラルド・バトラー作品が好きな人や、『LOU/ルー』『フラクチャード』のような失踪サスペンスが好きな人にはおすすめできる一本です。

コメント