【映画】『7月22日』(2018年) Netflix独占配信 | 憎しみは銃を持つが、希望は沈黙の中で立ち上がる――実話が突きつける“その後”の闘い | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『7月22日』の作品情報

  • 原題:22 July
  • 監督・脚本・製作:ポール・グリーングラス
  • 原作:アスネ・セイエルスタッド
  • 出演:アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ヨン・オイガーデン 他
  • 配給:Netflix
  • 公開:2018年
  • 上映時間:144分
  • 製作国:ノルウェー/アイスランド/アメリカ
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、実録ドラマ
  • 視聴ツール:Netflix/自室モニター/WI-1000XM2

◆キャスト

  • アンネシュ・ベーリング・ブレイビク:アンデルシュ・ダニエルセン・リー 代表作『オスロ、8月31日』(2011年)
  • ヴィリャル・ハンセン:ヨナス・ストランド・グラヴリ 代表作『ブラインドスポッティング』(2018年)
  • ゲイル・リッペスタッド:ヨン・オイガーデン 代表作『トロール』(2022年)
  • ララ:セダ・ウィット 代表作『スノーマン 雪闇の殺人鬼』(2017年)
  • クリスティン(ヴィリャルの母):マリア・ボック 代表作『罪と罰』(2019年)


◆ネタバレあらすじ

映画『7月22日』は、2011年にノルウェーで実際に起きた連続テロ事件を題材にした実話ドラマである。
物語は、首都オスロで発生した爆破事件と、それに続いてウトヤ島で起きた銃乱射事件を起点に展開していく。

労働党青年部の若者たちは、政治を学び、未来を語るためにウトヤ島でサマーキャンプを行っていた。
そこは本来、安全で、理想を語れるはずの場所だった。
しかし警官に変装したブレイビクが島に上陸したことで、その日常は一瞬で破壊される。

本作が特徴的なのは、事件そのものを「山場」にしない点だ。
物語の中心に置かれるのは、重傷を負いながら生き延びた青年ヴィリャル、
移民として生きてきた少女ララ、
そして加害者の弁護を引き受けることになる弁護士リッペスタッドという三者の視点である。

テロの恐怖、後遺症、世間の怒り、偏見、そして法の下での公平さ。
本作は「事件後に続く長い時間」を丁寧に描きながら、
憎しみの連鎖に社会がどう抗えるのかを静かに問いかけてくる。

ここからネタバレありです。

ネタバレあらすじ(結末まで)を開く

ブレイビクはウトヤ島で無差別銃撃を行い、多くの若者が命を落とす。
ヴィリャルは弟を逃がすために身を挺し、銃弾を受けて瀕死の状態で搬送される。
奇跡的に一命を取り留めた彼は、視力障害や運動障害という重い後遺症と向き合いながら、
長く苦しいリハビリの日々を送ることになる。

一方、ブレイビクは裁判で自らの思想を主張するため、弁護士リッペスタッドを指名する。
弁護士は世論の激しい非難を受けながらも、
「法が感情に屈してはならない」という原則を守ろうとする。

裁判では、生存者や遺族たちが証言台に立ち、それぞれの喪失と痛みを語る。
ヴィリャルもまた、自らの身体と人生が奪われた現実を言葉にし、
それでもなお生き続ける意思を示す。
最終的にブレイビクには有罪判決が下され、
物語は復讐ではなく「尊厳を取り戻す過程」に重心を置いて幕を閉じる。

◆【俺の考察&感想】

『7月22日』は、テロ映画ではない。
正確に言えば、「テロそのもの」を描く映画ではなく、
「テロのあと、人間がどう生きるか」を描いた映画だ。
そこを見誤ると、この作品の核心は決して見えてこない。

冒頭のウトヤ島襲撃は確かに凄惨だが、
ポール・グリーングラスはこの場面をショック消費のために撮っていない。
あれは“導入”に過ぎない。
観客の身体に恐怖を刻み込み、
その後に続く長い時間を受け止めるための準備だ。

中心に描かれるヴィリャルは英雄ではない。
彼は怒り、恐怖、絶望、自己否定に飲み込まれ、
前に進めず、弱さをさらけ出す存在として描かれる。
だが、その姿こそが最も誠実だ。

ヨナス・ストランド・グラヴリ演じるヴィリャル。弟と逃げるもこの後見つかってしまう。
ヴィリャルは弟と逃げるも、この後見つかってしまう。

「生き残ったのだから強くなれ」
そんな無言の圧力を、この映画は真っ向から否定する。
トラウマは理屈で克服できるものではない。
それでも生きる、その“時間”こそが闘いなのだ。

また本作は、加害者を安易に怪物化しない。
ブレイビクは淡々と理屈を語り、正義を主張する。
その姿が、逆に現実の怖さを浮き彫りにする。
これは「遠い異常者の物語」ではなく、
現実社会の延長線上にある物語なのだ。

アンデルシュ・ダニエルセン・リー演じるブレイビク。大量殺害事件を起こす。
ブレイビクは、大量殺害事件を起こす。

弁護士リッペスタッドの存在も重要だ。
彼は称賛されるために動かない。
ただ「法が壊れる瞬間」を食い止めようとする。
被害者の感情を尊重しながらも、
社会が踏み越えてはいけない一線を守り続ける。
その姿は決して派手ではないが、極めて強い。

この映画にはカタルシスがない。
だが、 その不快さこそが価値だ。
観る者に「どう生きるか」を突き返す、
覚悟のある映画だと断言できる。

◆【モテ男の考察&感想】

この映画が教えてくれるのは、
本当の強さとは「反応しない力」だということだ。
怒りを叫ぶのは簡単だが、
痛みを抱えたまま立ち続けることの方が遥かに難しい。

モテる男は、敵を作らない。
自分の軸を失わず、憎しみに引きずられない。
静かに距離を取り、自分の人生を立て直す。
その余裕こそが、人を惹きつける。

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◆教訓・学び

感情に飲み込まれず、自分の人生を静かに立て直す男こそ、
結果的に一番信頼され、惹きつけられる存在になる。

◆似ているテイストの作品



  • 『ホテル・ムンバイ』(2018年/オーストラリア・インド)


    2008年に実際に起きたムンバイ同時多発テロを題材に、ホテルに取り残された人々と従業員の行動を描いた実話映画。
    テロの恐怖そのものよりも、「極限状態で人はどう振る舞うのか」「誰のために行動できるのか」に焦点を当てており、
    生存者・被害者の尊厳を丁寧にすくい取る視点は『7月22日』と非常に近い。
    暴力を煽らず、人間性を最後まで手放さない姿勢が強く共鳴する一本。


  • 『それでもボクはやってない』(2007年/日本)


    痴漢冤罪事件を題材に、世論・感情・体裁が司法を歪めていく過程を描いた社会派ドラマ。
    「感情が正義を乗っ取る瞬間」「法が守るべき一線はどこにあるのか」という問いは、
    加害者の弁護を引き受ける弁護士の葛藤を描いた『7月22日』と本質的に同じ構造を持つ。
    観る側の“正しさ”まで試してくる点で、極めて相性が良い作品。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 17 / 20 テロ事件そのものではなく、「事件後の人生」に重心を置いた構成が際立っています。
生存者・加害者・弁護士という異なる立場を並走させることで、
復讐ではなく“社会が壊れないための選択”を描いた点が非常に誠実です。
演技 18 / 20 ヴィリャル役のヨナス・ストランド・グラヴリは、
後遺症とトラウマを抱える若者の脆さを、過剰な感情表現なしで体現しています。
アンデルシュ・ダニエルセン・リーの抑制された演技が、
加害者の“現実性”を際立たせています。
映像・演出 18 / 20 手持ちカメラと自然光を活かした映像が、事件と日常の境界を曖昧にし、
観る側を否応なく当事者の視点へ引き込みます。
静寂や間を重視した演出が、回復の“遅さ”をリアルに伝えています。
感情の揺さぶり 17 / 20 号泣させるタイプの作品ではありませんが、
観終わったあとに重く残る感覚が確実にあります。
生き残った者の罪悪感と怒りが、静かに胸に沈殿します。
テーマ性 17 / 20 憎しみと分断に対し、「法」「対話」「証言」という不完全な仕組みで向き合う姿勢が鮮明です。
正義を叫ぶことの危うさと、沈黙の中で尊厳を守る強さが深く刻まれます。
合計 92 / 100
テロの恐怖よりも、その後に続く人生の重さを描いた社会派ヒューマンドラマ。
感情ではなく「どう生きるか」を観客に突き返す、静かで強靭な一作です。
一言コメント 憎しみに勝つとは、声を荒げることではなく、生き続けることだ。

◆総括

『7月22日』は、悲劇を消費しないための映画だ。
テロの瞬間ではなく、その後に続く時間を描くことで、
暴力に対抗する唯一の答えが
「生き続けること」だと示している。

重く、静かで、簡単には受け取れない。
だがその分、確実に残る。
これは過去を再現する映画ではない。
いまをどう生きるかを、
観る者一人ひとりに委ねる映画だ。

🎧 『7月22日』と向き合うための視聴環境

『7月22日』は、刺激やカタルシスを与えるための映画ではない。
実話を基にしたこの作品は、怒りや恐怖よりも、沈黙・言葉・間によって観る者に問いを投げかけてくる。
だからこそ、雑音を遮断し、ひとつひとつの音と向き合える環境が重要になる。

銃声よりも、その後に訪れる静けさ。
叫びよりも、呼吸が乱れる音。
『7月22日』は、音に集中できるかどうかで受け取り方が大きく変わる作品だ。

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周囲の音を抑え、セリフの抑揚や沈黙の重さまで丁寧に拾う完全ワイヤレス。
派手な音響ではなく、実話映画・社会派作品と真正面から向き合うための音を作ってくれる。


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※感情を煽るためのイヤホンではない。
『7月22日』を「流さず、真正面から受け止める」ための視聴環境として。

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