◆【映画】『ブラックアンドブルー』(2019年)の作品情報
原題:Black and Blue
監督:デオン・テイラー
脚本:ピーター・A・ダウリング
出演:ナオミ・ハリス、タイリース・ギブソン、フランク・グリロ、マイク・コルターほか
配給:スクリーン ジェムズ、イオンエンターテインメント
公開:2019年
上映時間:108分
製作国:アメリカ
ジャンル:アクション・サスペンス/クライム/警察ドラマ
視聴ツール:U-NEXT、吹替、自室モニター、nwmヘッドフォン
◆登場人物・キャスト
- アリシア・ウェスト:ナオミ・ハリス 代表作『007 スカイフォール』(2012年)
- マイロ・ジャクソン:タイリース・ギブソン 代表作『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)
- テリー・マローン:フランク・グリロ 代表作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)
- ダリウス・トゥロー:マイク・コルター 代表作『ルーク・ケイジ』(2016年)
- ケヴィン・ジェニングス:リード・スコット 代表作『ヴェノム』(2018年)
◆あらすじ
『ブラックアンドブルー』は、故郷ニューオーリンズに戻った元軍人の女性警官アリシア・ウェストが、警察内部の腐敗と街の不信感の狭間で追い詰められていくアクション・サスペンスです。
アリシアは退役後、地元の警察官として新たな人生を歩み始めます。
しかし、彼女を待っていたのは、正義を守るはずの警察への強い不信と、黒人社会から向けられる冷たい視線でした。
警官でありながら黒人でもあるアリシアは、どちらの側にも完全には受け入れられない複雑な立場に置かれます。
ある夜、彼女は先輩警官とともに通報現場へ向かいます。
先輩はアリシアに外で待つよう命じますが、建物の中から銃声が聞こえたことで、彼女はボディカメラを装着したまま現場へ踏み込みます。
そこで目にしたのは、警察官による信じがたい行為でした。
命を狙われ、助けを求めても誰にも信じてもらえないアリシアは、真実を記録した映像を守るため、警察と犯罪組織の両方から逃げることになります。

ここからネタバレありです。
ネタバレあらすじを読む
アリシアが建物内で目撃したのは、麻薬課の刑事テリー・マローンたちが、ドラッグの売人を射殺する現場でした。
しかも、その一部始終は彼女のボディカメラに記録されていました。
映像の存在に気づいた汚職警官たちは、証拠を奪うためにアリシアを銃撃します。
彼女は負傷しながらも逃げ延びますが、警察内部には味方がほとんどいません。
さらにマローンは、地元犯罪組織のボスであるダリウスに、甥を殺したのはアリシアだと嘘を吹き込みました。

その結果、アリシアは警察だけでなくギャングからも命を狙われることになります。
唯一彼女を助けたのは、かつての友人マイロでした。
警察に強い不信感を抱いていたマイロも、アリシアの必死な姿を見て協力します。
アリシアはボディカメラの映像を公表するため、危険を承知で行動を続けます。
やがて映像によって彼女の無実とマローンたちの汚職が明らかになります。
最後はアリシアがマローンと対決し、証拠が警察上層部に届いたことで射殺命令は止められます。
事件後、汚職は暴かれ、アリシアは街の人々から少しずつ信頼を取り戻していくのでした。
◆考察と感想
『ブラックアンドブルー』は、アクション映画として見ると分かりやすい逃亡劇である。
新人警官のアリシアが、汚職警官による殺人現場を目撃し、その証拠をボディカメラに記録してしまう。
そこから警察にもギャングにも追われる。
構図だけ見れば、かなり王道のサスペンスだ。
だが、この映画が面白いのは、単に「悪い警官から逃げる話」では終わらないところにある。
アリシアは警官であり、黒人でもある。
その二つの立場が、彼女をどちらの世界からも孤立させていく。
俺が一番強く感じたのは、アリシアが最初から最後まで「どこにも居場所がない人間」として描かれていることだ。
警察官として制服を着れば、黒人の住民たちからは「白人側についた人間」と見られる。
一方で、警察組織の中では、彼女は新人であり、黒人女性であり、簡単には信用されない存在でもある。
つまり、彼女は正義の側に立とうとしているのに、その正義の看板を掲げた組織からも、守りたいはずの地域社会からも拒絶される。
この板挟みの苦しさが、本作の芯になっている。

momoko
「アシリアは本当にかわいそう。だけど、こうして警官になっているのは本当に強い。凄いわ。」

yoribou
「ひとりぼっちで、やること凄いね。けど、友人のマイロの存在は大きい。人は絶対見かけで判断したら駄目だね。」
冒頭のジョギング中に職務質問される場面は、その象徴だと思う。
アリシアは何も悪いことをしていない。
ただ走っていただけだ。
それなのに、黒人であるというだけで疑われる。
身分証で警官だと分かった途端に扱いが変わる。
この場面だけで、彼女が生きている世界の歪みが見える。
制服を着ていれば安全なのか。
警官であれば守られるのか。
答えは違う。
アリシアは警官であっても、黒人である現実から逃れられない。
一方で、街の住民たちが警察を信用しない理由も分かるように描かれている。
マイロがスーパーで警官に犯罪者のように扱われる場面は、かなり痛い。
彼は通報した側であり、助けを求めた側の人間だ。
それなのに、警官たちは彼を最初から疑ってかかる。
あの扱いをされたら、警察を信じろと言われても無理がある。
映画は汚職警官を悪役として描くが、それだけではなく、日常的な小さな差別や横暴が、どれだけ人の心を削っているかも見せている。
だからこそ、マイロが最初からアリシアを全面的に助けるわけではないところがいい。
彼は臆病なのではなく、警察に関わることの危険を知っている。
黒人として生きてきた中で、警察が必ずしも味方ではないことを体で理解している。
そんな彼が、最終的にはアリシアを助ける。
この変化は、本作の中でかなり大事だ。
アリシアの正義が、ただの理想論ではなく、目の前の人間の心を動かしたということだからだ。
アリシアの魅力は、強いのに完璧ではないところにある。
元軍人で体力も判断力もあるが、状況はあまりにも不利だ。
腹を撃たれ、味方も少なく、誰に電話しても信用できない。
逃げ場がない中で、それでもボディカメラの映像を守ろうとする。
ここが良かった。
彼女は自分の命を守るだけなら、どこかで証拠を捨てて逃げる選択もできたはずだ。
しかし、それをしない。
なぜなら、その映像がなければ、殺された人間の真実も、自分の無実も、汚職警官の罪もすべて消されてしまうからだ。
この映画におけるボディカメラは、単なる小道具ではない。
真実そのものだ。
だが同時に、真実は持っているだけでは意味がない。
誰かに届き、見られ、信じられて初めて力を持つ。
アリシアが必死に守っているのは映像データだが、本当は「事実をなかったことにさせない権利」を守っているのだと思う。
現実でも、権力を持つ側が都合の悪い事実を消そうとすることはある。
その時、証拠を持つ側が弱い立場であればあるほど、真実を表に出すことは命懸けになる。
ただ、作品としてはかなり分かりやすく作られている。
汚職警官ははっきり悪く、アリシアはまっすぐな正義の人間として描かれる。
社会派の深さというより、社会問題を背景にした逃走アクションとしての色が強い。
そこを物足りなく感じる人もいると思う。
警察組織の腐敗や人種差別の構造をもっと深く掘り下げる映画ではない。
だが、俺はこの分かりやすさが悪いとは思わなかった。
テーマを複雑にしすぎず、アリシアが真実を届けるまでのサバイバルに集中しているから、最後までテンポよく見られる。
ナオミ・ハリスの演技も良かった。
アリシアはただ強い女性として描かれているわけではない。
恐怖もあるし、迷いもあるし、痛みもある。
それでも折れない。
強さを見せびらかすのではなく、倒れそうになりながら前に進むタイプの主人公だ。
だから応援したくなる。
特に、警察にも街にも追われる中で、彼女が何度も「自分は正しいことをしている」と自分に言い聞かせるように動く姿は印象に残る。
ラストでアリシアの無実が証明され、汚職が暴かれる展開は、かなりスッキリする。
現実はこんなに簡単ではないだろうと思う部分もある。
だが、映画としてはこの決着で良かった。
アリシアが最後に街の人々から少しずつ受け入れられていく場面には、希望がある。
警察と住民の間にある不信感は、一人の行動だけで完全には消えない。
それでも、誰か一人が正しいことを貫くことで、ほんの少し空気が変わる。
その小さな変化を描いたところが、この映画の後味を良くしている。

momoko
「人種差別を扱った作品は多いけど、こうした警官の視点、黒人の視点からわかりやすい構造で示してくれた映画は少なかった。」

yoribou
「本作の製作から7年経っているけど、差別はなくなっていない。そこが今後更に問題提起しないとならないね。」
総じて『ブラックアンドブルー』は、重いテーマを扱いながらも、エンタメとして見やすい作品だった。
警察腐敗、人種差別、地域社会の不信感という要素を、ボディカメラをめぐる逃走劇にうまく落とし込んでいる。
深く考えさせる社会派映画というより、正義を守るために孤立した人間が走り続けるサスペンスだ。
俺としては、アリシアの「真実を消させない」という姿勢に一番心を動かされた。
正義とは、立派な言葉を語ることではなく、不利な状況でも証拠を捨てず、最後まで行動することなのだと思う。
正義を守るはずの制服が、彼女を追い詰める敵になった。
『ブラックアンドブルー』で印象的だったのは、警察官であるアリシアが、警察にも街にも信じてもらえない立場に追い込まれていくことです。
汚職警官の殺人現場を目撃し、ボディカメラに証拠を残したことで、彼女は警察とギャングの両方から追われることになります。
本来なら守られるべき真実が、命を狙われる理由になってしまう。
その理不尽さと、最後まで真実を手放さないアリシアの強さが本作の見どころです。
もし本作のように、警察腐敗、逃亡劇、正義と暴力の境界線を描くクライム・サスペンスが好きなら、次の2作品もおすすめです。
◆似ている作品・おすすめ映画2本


◆モテ男目線で考察
モテ男目線で見ると、ロークの魅力は、失ったものから逃げずに向き合うところにあります。彼は派手に口説く男でも、余裕を見せる男でもありません。ですが、娘を守るために自分の記憶すら差し出す覚悟があります。これはかなり強いです。大切な人を守るために、言葉ではなく行動で責任を取る男です。ただし、妻の記憶まで操作した点は危ういです。愛情があっても、相手の意思を奪えば独りよがりになります。そこにロークの強さと弱さが同時に出ています。
◆教訓
どれだけ現実や記憶が揺らいでも、本当に守りたいものへの想いは最後の道しるべになります。
◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 18 / 20 | 娘の失踪、銀行強盗、催眠、記憶操作が絡む展開は引きが強いです。 どこまでが現実なのか分からない構成で、最後まで興味を引っ張ってくれます。 強引さはありますが、SFサスペンスとしての面白さは十分にあります。 |
| 演技 | 18 / 20 | ベン・アフレックは、娘を失った父親の重さを静かに出しています。 アリシー・ブラガも、謎を抱えた協力者として作品に緊張感を与えています。 ウィリアム・フィクナーの不気味な存在感も印象に残ります。 |
| 映像・演出 | 19 / 20 | 現実がねじ曲がるような演出や、催眠による違和感の見せ方が面白いです。 ロバート・ロドリゲスらしいテンポの良さがあり、94分で一気に見せ切っています。 映像の派手さとスピード感は、本作の大きな魅力になっています。 |
| 感情の揺さぶり | 18 / 20 | 父親が娘を取り戻そうとする軸があるため、物語に感情の芯があります。 記憶を失っても、娘を守ろうとするロークの執念が印象に残ります。 現実が揺らぐ物語の中で、家族への想いがしっかり残ります。 |
| テーマ性 | 18 / 20 | 記憶や認識が操作されても、本当に守りたいものへの想いは消えないというテーマがあります。 現実を疑わせるサスペンスと、家族を守る物語がうまく重なっています。 催眠能力の設定は強引ですが、作品全体の個性として機能しています。 |
| 合計 | 91 / 100 | 記憶操作と催眠を使った、クセの強いSFアクション・スリラーです。 ツッコミどころはありますが、父親の執念、現実が揺らぐ展開、テンポの良さで最後まで楽しめる一本です。 |
◆総括
『ドミノ』は、催眠、記憶操作、政府の秘密組織、失踪した娘という要素を詰め込んだ、かなりクセの強いSFアクション・スリラーです。最初は刑事が銀行強盗事件を追う物語に見えますが、途中から現実そのものが信用できなくなり、何が本当で何が仕組まれたものなのか分からなくなっていきます。
正直、細かく考えるとツッコミどころはあります。催眠能力がかなり万能に見えるため、「それなら何でもありではないか」と感じる場面もあります。ただ、その強引さも含めて、ロバート・ロドリゲスらしい勢いで押し切る作品になっています。上映時間も94分と短く、テンポよく謎とアクションが重なっていくので、最後まで一気に見やすい映画です。
本作で特に印象に残るのは、単なるどんでん返し映画ではなく、最後には「父親が娘を守る物語」に着地しているところです。記憶を消されても、現実をねじ曲げられても、ロークの中には娘を守りたいという想いが残っています。その一点があるから、複雑な設定の中でも物語の芯がぶれません。
完璧なパズル映画ではありません。しかし、現実が揺らぐサスペンス、催眠による異様なアクション、そして家族を守るために自分の記憶まで犠牲にする父親の覚悟には、独特の面白さがあります。『インセプション』や『メメント』のような記憶・認識系の映画が好きな人なら、ツッコミを入れながらも楽しめる一本だと思います。


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