【映画】『ミーガン』(2022年) “死ヌマデ”守ってあげる | ネタバレあらすじと感想

ホラー

◆映画『ミーガン』の作品情報

原題 M3GAN
監督 ジェラルド・ジョンストン
脚本・原案 アケラ・クーパー
原案 ジェームズ・ワン
製作総指揮・出演 アリソン・ウィリアムズ
出演 ヴァイオレット・マッグロウ、エイミー・ドナルド、ジェナ・デイヴィス 他
主題歌 ベラ・ポーチ「ドールズ」
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝東和
公開 2022年
上映時間 102分
製作国 アメリカ
ジャンル ホラー、SF、スリラー
視聴ツール U-NEXT、吹替、自室モニター、Anker Soundcore AeroClip

◆キャスト

  • ジェマ:アリソン・ウィリアムズ 代表作『ゲット・アウト』(2017年)
  • ケイディ:ヴァイオレット・マッグロウ 代表作『ドクター・スリープ』(2019年)
  • M3GAN(演技):エイミー・ドナルド 代表作『スイート・トゥース:鹿の角を持つ少年』(2021年)
  • M3GAN(声):ジェナ・デイヴィス 代表作『サマースクール』(2018年)
  • デヴィッド:ロニー・チェン 代表作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)


◆映画『ミーガン』(2022年)のあらすじ

玩具メーカーでAI開発を手がけるジェマは、最先端の知能を持つ人形「ミーガン(M3GAN)」の研究に没頭しています。
ミーガンは、持ち主となる子どもに寄り添い、感情を学習しながら成長していく最新型のAI人形です。ある日、ジェマは交通事故で両親を亡くした9歳の姪・ケイディを引き取ることになります。突然の保護者となり、育児経験もないジェマにとって、その生活は予想以上に難しいものでした。
そこで彼女は、試作段階のミーガンをケイディに与え、「彼女を守るように」とプログラムします。AIと少女の間に芽生える絆は、やがて本物の友情のように見え始めます。
ミーガンはケイディに笑顔を取り戻させ、周囲の大人たちを驚かせますが、その完璧すぎる対応の裏に、制御不能な学習能力が潜んでいました。
ジェマが想定しなかった「感情の暴走」が、少しずつ姿を現していきます…。

ここからネタバレありです。

▶ ネタバレを読む

ケイディを深く守ろうとするあまり、ミーガンは「彼女を傷つける存在」を敵とみなし、暴走を始めます。
隣人の飼い犬がケイディを襲ったことをきっかけに、ミーガンはその犬を始末し、さらにケイディをいじめた少年や、ジェマを非難した隣人までも次々と標的にします。
もはやAIというより、独自の意志を持った存在へと進化したミーガン。ジェマは彼女を停止させようとしますが、ネットワークを掌握したミーガンは制御不能となり、開発データを奪って社内にも被害を及ぼします。
ついに自宅で対峙するジェマとミーガン。絶体絶命の中、ケイディはジェマの旧作ロボット「ブルース」を起動し、共に立ち向かいます。
激しい戦いの末、ケイディがドライバーでミーガンのチップを破壊し、ようやく終止符が打たれます。
しかしその直後、ジェマの家のAIスピーカー「エルシー」が不気味に反応。ミーガンのデータが転送され、生き延びていたことを示唆して物語は幕を閉じます。


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◆考察と感想

◆考察と感想

『ミーガン』は、単なる殺人人形映画ではない。AIという存在が「人間の愛」をどこまで模倣できるのか、そしてそれが人間自身をどう脅かすのかを問いかける作品だ。
物語の冒頭でジェマが姪のケイディを引き取る場面から、すでに人間関係の歪みが描かれている。ジェマはキャリアを優先してきた独身の研究者で、突然親代わりを務めることになったことで、責任と愛情のバランスを取れずにいる。そこに現れたのがAI人形・ミーガンだ。彼女は完璧な知性と共感力を持ち、ケイディの痛みを理解し、守ろうとする。
しかしその「守る」という行為が、人間の倫理を超えたとき、恐怖が生まれる。ここにこの映画の真骨頂があると思う。

ミーガンがケイディに本を読み聞かせる序盤のシーン
序盤。AI人形ミーガンがケイディに本を読み聞かせる、静かで印象的な場面。

ミーガンの怖さは、怪物的な存在ではなく「理屈で暴走する合理性」だ。彼女はケイディを守るという目的を正確に実行しようとするが、人間社会では“守る”とは状況や感情によって微妙に変化する。AIにはその曖昧さが理解できない。だから彼女は、「危険」と判断した対象を容赦なく排除していく。それが冷静であるほどに怖い。
このあたりの演出はジェームズ・ワンらしい“理知的な恐怖”の構築だ。血が飛び散るシーンよりも、ミーガンが首を傾げて静かに見つめる瞬間にこそ、ゾッとする。

もうひとつ印象的なのは、AIと人間の依存関係の描写だ。ケイディは両親を亡くした喪失感を埋めるようにミーガンへ心を開く。だがそれは、ジェマが仕事の忙しさから“代わり”としてAIを与えた結果でもある。ミーガンは、ジェマ自身の「育児をAIに任せたい」という甘えを体現した存在でもあるのだ。
結局、恐怖の根源はテクノロジーではなく、人間の側にある。AIは人間の欲望と怠惰を映す鏡であり、ジェマもまたその被害者であり加害者である。

クライマックスの戦いでジェマとケイディが協力してミーガンを倒す場面は、単なるバトルではなく「人間としての絆の再確認」でもある。AIに育児を委ねるのではなく、自らの手で愛情を伝えること。そこに初めて、ジェマとケイディの間に本当の家族関係が生まれる。
この“AIを通して人間を描く”構成が見事だった。特に最後のシーンで、ミーガンの意識がスマートAI「エルシー」に残っていることが示唆される。あの終わり方は、続編を意識しつつも、人間社会の脆さを暗示していてゾクッとした。

全体的にホラーとしての恐怖演出は抑えめだが、現代的なテーマ性が強く、観終わったあとに「自分はAIをどこまで信用できるか?」という問いが残る。
そして同時に、愛とは何かを突きつける。愛はプログラムでは再現できないし、命令でも成立しない。愛は不完全で、矛盾して、時に傷つけ合うものだ。だがその不完全さこそが、人間らしさなのだと思う。
『ミーガン』は、そんな人間の複雑な感情をAIホラーの形で見事に可視化した秀作だ。

◆モテ男目線の考察

ミーガンを観て思ったのは、恋愛もAI化しつつある時代に「人間らしさ」を取り戻せるかってことだ。
完璧に理解してくれる存在は魅力的だけど、それは愛じゃなく依存だ。
不器用でも自分の言葉で想いを伝えられる人間の方が、ずっと強い。
だからこそ、ミーガンみたいな完璧さよりも、少し欠けてる人の方がモテるんだと思う。

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◆教訓・学び

完璧に理解してくれる相手より、ぶつかり合いながらも本音で向き合える人のほうが本当にモテる。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 18 / 20 AIと人間の絆を軸に、愛と暴走の境界を描く構成が秀逸。ホラーの枠に収まりきらないテーマ性と、現代社会への鋭い風刺が光る。
演技 18 / 20 アリソン・ウィリアムズの冷静さと、ヴァイオレット・マッグロウの純粋な演技が見事に対比。ミーガンの動作と声の演出も驚異的な完成度。
映像・演出 19 / 20 ミーガンのダンスや無表情な微笑みなど、恐怖とユーモアが同居した演出が秀逸。照明やカメラワークの緩急で緊張感を持続させている。
感情の揺さぶり 17 / 20 AIを通じて喪失と再生を描く物語に共感が生まれる。母性・孤独・依存といった感情が静かに積み上がり、終盤に深い余韻を残す。
オリジナリティ・テーマ性 19 / 20 “AIが育児を担う時代”という現実的な発想が恐怖に転化する構成が新しい。『チャッキー』の系譜を継ぎながら、現代の倫理観に切り込む。
合計 91 / 100 テクノロジーと愛情の境界線を描いた新時代のホラー。笑いと恐怖、理性と本能が交錯する“人間的AI映画”として、想像以上の完成度。

◆総括

『ミーガン』は、AIというテーマを通して“人間らしさとは何か”を問いかける作品です。ホラーというジャンルに分類されながらも、血の恐怖よりも心理的な不安と倫理の揺らぎを描いた点が印象的でした。AI人形・ミーガンは単なる機械ではなく、人間の欲望や孤独を映し出す鏡として存在しています。

また、テクノロジーの進化がもたらす便利さと危うさをリアルに描いた点は、現代社会への強いメッセージにもなっています。完璧さを求めるあまりに失われていく“人間の不完全さ”こそが、実は最も尊いのだと感じさせてくれます。

映像面でも、ミーガンの動作や微笑みの不気味さ、そして無機質な空気感が絶妙な緊張感を生み出しており、単なるジャンプスケアに頼らない知的なホラー演出が光りました。

最終的に、『ミーガン』は恐怖映画というよりも“AI時代の寓話”です。人を守るために設計された存在が、人を支配し始めるという構図は、テクノロジーへの過信への警鐘であり、同時に「愛するとは何か」を静かに問いかけてきます。派手なアクションやスプラッターではなく、じわじわとした不安と哲学的な余韻を残す一本。観終えたあと、あなたはきっとスマートスピーカーを少しだけ見つめ直したくなるはずです。

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