◆【映画】『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』(2024年)の作品情報
- 【邦題】ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
- 【英題】Baby Assassins Nice days
- 【監督・脚本】坂元裕吾
- 【出演】高石あかり、伊澤彩織、前田敦子、池松壮亮 他
- 【主題歌】女王蜂「狂詩曲」
- 【配給】池谷プロダクション
- 【公開】2024年
- 【上映時間】112分
- 【製作国】日本
- 【ジャンル】アクション、コメディ、バディムービー
- 【視聴ツール】Natflix、自室モニター、WI-1000XM2
◆キャスト
- 杉本ちさと:髙石あかり 代表作『ベイビーわるきゅーれ』(2021年)
- 深川まひろ:伊澤彩織 代表作『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023年)
- 冬村かえで:池松壮亮 代表作『宮本から君へ』(2019年)
- 入鹿みなみ:前田敦子 代表作『あしたの私のつくり方』(2007年)
- 田坂守:水石亜飛夢 代表作『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』(2019年)
◆あらすじ
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』(2024年)は、殺し屋協会に所属する杉本ちさとと深川まひろのコンビが、宮崎への出張任務で思わぬ強敵と出会うことから始まるアクション映画です。ふたりは普段どおり、どこか気の抜けた空気をまといながら仕事をこなそうとしますが、現地で標的を追う最中、協会に属さない“野良の殺し屋”冬村かえでと遭遇します。この男は圧倒的な戦闘能力を持ち、まひろも、ちさとも追い詰められてしまいます。いつもの軽妙な会話や南国のゆるい空気とは対照的に、任務は一気に緊張感を増していきます。その後、協会の先輩殺し屋である入鹿みなみと七瀬も加わり、事態は単なる標的抹殺ではなく、最強クラスの殺し屋との全面対決へと発展していきます。本作の見どころは、ゆるい日常描写と本格アクションの落差、そしてちさととまひろの相棒としての絆です。宮崎を舞台にした開放感のある空気の中で、ふたりが危険な仕事とどう向き合うのかが描かれ、シリーズらしい脱力感と熱量の高い戦闘の両方が味わえる作品になっています。
ここからネタバレありです。
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ちさととまひろが宮崎で狙う標的は松浦という男でしたが、その場にはすでに冬村かえでが現れており、ふたりは初戦で完敗に近い形で追い込まれます。かえでは常人離れした戦闘力を持つ一方、極度に不器用で孤独を抱えた殺し屋でした。協会は面子を潰されたことで、ちさとたちに加えて入鹿みなみと七瀬を送り込み、かえで抹殺を命じます。やがて一行は、かえでが“炎上に加担した150人を殺す”という異様な依頼を受けて動いていたことを知ります。その裏には、いびつな怒りと搾取の構図がありました。終盤では、ちさと、まひろ、入鹿たちが総力戦でかえでに挑みます。死闘の中でちさとはまひろを守り、まひろもまた限界まで戦い抜きます。最後、かえでは「隣にいてくれる人がいて羨ましい」と本音を漏らし、まひろに撃たれて倒れます。一方の松浦も入鹿に始末され、任務は決着します。戦いのあと、仲間たちは焼き肉屋に集まり、まひろの誕生日を祝います。生き延びた安堵のなかで、ケーキを頬張って笑い合うちさととまひろの姿は、激しい死闘の直後だからこそ強く胸に残ります。最強の敵との対決を経て、ふたりの絆がこれまで以上に深まったことを感じさせるラストです。
◆考察と感想
まず言っておく。この作品はただの“ゆるい殺し屋コメディ”じゃない。むしろシリーズの中でも一番、「孤独」と「関係性」をえぐってきた作品だと感じた。
今回の最大のポイントは、敵である冬村かえでの存在だ。こいつは単なる強敵ではなく、「もしちさととまひろが出会っていなかった世界線」を体現した存在だと思う。圧倒的な戦闘能力、徹底した合理性、そして極端なまでの社会不適合。だがそれ以上に印象に残るのは、“人との距離の取り方が分からない男”という点だ。
かえでは決して悪ではない。むしろルールに従って依頼を遂行しているだけの、極めて“真面目な殺し屋”だ。ただし、そのルールが歪んでいる。炎上に加担した150人を殺すという異様な依頼をそのまま受け入れ、疑問すら持たない。この時点で彼は社会の外側に完全に切り離されている存在だ。
ここで対比されるのが、ちさととまひろだ。この二人も同じく殺し屋という社会不適合者だが、決定的に違うのは「隣に誰かがいる」ことだ。ゆるい会話、くだらない日常、誕生日を祝うという行為。それらすべてが、彼女たちを“人間側”に踏みとどまらせている。

特に印象的だったのは、誕生日のシーンだ。カップ麺とビールで祝うというどうでもいい時間。しかしあのシーンがあるからこそ、後半の戦闘に意味が生まれる。「生きて帰る理由」がある人間と、「ただ任務を遂行するだけの存在」との違いが明確になるからだ。
そしてクライマックス。まひろがかえでを倒すシーンは、単なる勝敗ではない。「孤独が、関係性に敗れた瞬間」だと感じた。かえでの「隣にいてくれる人がいて羨ましい」というセリフは、この作品の核心そのものだろう。強さではなく、“誰かといること”こそが人を人間にするというテーマがここで突き刺さる。
さらに面白いのは、ちさとの立ち位置だ。彼女は感情を表に出さないタイプだが、実は誰よりもまひろを守ろうとしている。ナイフを素手で止めるシーンは象徴的で、「言葉にしない愛情」の表現として非常に強い。彼女は決して優しいキャラではないが、行動で全てを語るタイプだ。その無骨さが逆にリアルで、強く刺さる。

また、本作はアクションの完成度も異常に高い。特に伊澤彩織の身体能力はもはやスタントの域を超えている。リアルな重さとスピードが共存していて、“ちゃんと痛そう”なのがいい。これがあるからこそ、ゆるい日常パートとのギャップが際立つ。
そしてもう一つ重要なのが、「笑い」の扱いだ。このシリーズは常に笑いと暴力が隣り合わせにあるが、今作はそれがより洗練されている。ふざけているようで、実はかなりシビアなことを描いている。このバランス感覚が唯一無二だ。
結論として、この作品は「強さの物語」ではなく「関係性の物語」だ。誰と生きるか、それが人間を形作る。その答えを、殺し屋という極端な設定を使って描き切ったのが本作だと思う。だからこそ、ラストのケーキを食べるシーンが異様に沁みる。あのくだらない時間こそが、彼女たちにとっての“生”そのものだからだ。
◆もて男目線で見る
この作品の本質は「誰と時間を過ごすかが人生を決める」という点だ。ちさとは多くを語らないが、行動でまひろを守り続ける。このスタンスはリアルでもモテる男の条件そのものだ。強さやスペックではなく、“一緒にいると安心できる存在”であること。逆にかえでは能力は最強でも孤独ゆえに選ばれない。結局、モテるかどうかは戦闘力ではなく「関係性を築けるか」で決まるという、かなり本質的なメッセージが詰まっている。
◆生活改善アイテム
スマホで撮った画像をすぐ印刷。娯楽の幅が広がります。
◆教訓、学び
強さよりも「一緒にいて安心できる関係性」を築ける男が、結局いちばんモテる。
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◆生活改善アイテム
映画を聞くには最適解。とっぷり映画沼に浸かれます。
◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 18 / 20 | 王道ながら勢い抜群。 バディの絆が熱い。 敵の設定も印象的。 |
| 演技 | 19 / 20 | 主演2人の相性が抜群。 池松壮亮の異物感が強い。 全員キャラが立っている。 |
| 映像・演出 | 19 / 20 | アクション演出が冴える。 緩急の付け方も巧い。 宮崎ロケの空気感も良い。 |
| 感情の揺さぶり | 19 / 20 | 笑いと切なさの落差が効く。 孤独の描写が刺さる。 ラストの余韻も心地いい。 |
| テーマ性 | 19 / 20 | 孤独と絆をまっすぐ描く。 強さだけでは救われない。 関係性の尊さが残る。 |
| 合計 | 94 / 100 | 『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』はシリーズ屈指の快作。 ゆるさと本格アクションのバランスが絶妙。 敵役まで含めて記憶に残る一本。 |
◆総括
本作は、「ゆるさ」と「本気のアクション」というシリーズの魅力をそのままに、そこへ“孤独と関係性”というテーマを強く乗せてきた一作だ。
ちさととまひろの何気ない日常はただの脱力ではなく、“人間でい続けるための時間”として機能している。一方で冬村かえでは、その対極にいる存在として描かれ、「強さだけでは人は満たされない」というメッセージを体現している。
アクションの完成度、キャラクターの魅力、テンポの良さはシリーズ最高クラスでありながら、ラストにはしっかりと余韻を残す。
つまり本作は、「殺し屋の物語」でありながら本質は“誰と生きるかの物語”。その答えを、笑いと暴力の中で鮮やかに描き切った一本だ。
◆生活改善アイテム
たまには頭に糖分を。


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