【映画】『BAD LANDS バット・ランズ 』(2023年) 血と金で結ばれた姉弟が、救いなき悪の世界を走り抜ける。ヒーローになれない者たちの逃走劇、行き場なき魂 | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『BAD LANDS バット・ランズ』(2023年)の作品情報 作品データ

  • 【原作】黒川博行『勁草』
  • 【監督・脚本】原田眞人
  • 【出演】安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、吉原光夫、宇崎竜童他
  • 【配給】東映=ソニー ピクチャーズエンタテインメント
  • 【公開】2023年
  • 【上映時間】143分
  • 【製作国】日本
  • 【ジャンル】クライム・サスペンス、ピカレクス
  • 【視聴ツール】Netflix、自室モニター、WI-1000XM2

※検索でたどり着いた人向けに補足:本ページは「ネタバレあらすじ(ネタバレなし/あり)」「考察と感想(俺目線)」「もて男の考察と感想」「教訓」「似ているテイストの作品」「評価」をまとめたレビュー記事です。


◆キャスト

  • 橋岡煉梨(ネリ):安藤サクラ 代表作『万引き家族』(2018年)
  • 矢代穣(ジョー):山田涼介 代表作『グラスホッパー』(2015年)
  • 高城政司:生瀬勝久 代表作『トリック 劇場版』(2002年)
  • 日野班長:江口のりこ 代表作『事故物件 恐い間取り』(2020年)
  • 曼荼羅(上松):宇崎竜童 代表作『キッズ・リターン』(1996年)


◆ネタバレあらすじ

【ネタバレなし|概略(前半)】

大阪。特殊詐欺グループで「受け子」を支えるネリは、冷静な判断と段取りで現場を回す実務の要です。
根城のバー「BAD LANDS」と、貧困者が集まるアパートを行き来しながら、仲間や住人には面倒見よく振る舞う一方、仕事では容赦なく金を奪います。
そこへ血のつながらない弟ジョーが転がり込み、ネリは「厄介だが見捨てきれない」感情に揺れます。
軽薄で衝動的なジョーは、詐欺のやり口に反発しつつも裏社会へ踏み込み、姉弟は一攫千金の匂いと危険な縁に絡め取られていきます。
大金が動く気配が濃くなるほど、周囲の視線も鋭くなり、姉弟は“逃げる”か“奪う”かの選択を迫られていきます。

ここからネタバレありです。

ネタバレあらすじ(開く)

ジョーは裏稼業の誘いに乗り、軽率な行動で借金と恨みを背負います。
さらに彼は、詐欺グループの実力者・高城の金に目を付け、押し込みを決行しますが計画は崩れ、現場は最悪の方向へ転がります。
ネリは土壇場で弟を救うために引き返し、ついに高城を刺してしまいます。
姉弟は死体を隠し、高城が抱えていた通帳・印鑑・証券などを手に入れて「総取り」を狙いますが、裏社会も警察も動き出し、逃走の時間は削られていきます。
高城の暗証番号、内通、ケツモチ、過去にネリを傷つけた巨悪の影など、複数の脅威が同時に迫り、姉弟の“絆”は試されます。
最終盤、ジョーはネリの未来のために決定的な行動に出て命を落とし、ネリは残された金と代償を抱えたまま、追跡をかわして国外へ走り抜けようとします。


◆【考察と感想】俺目線で観た『BAD LANDS バッド・ランズ』という“救われなさ”の物語

この映画を観終えたあと、スッとしない感情が残る。カタルシスは薄く、爽快感もない。それなのに、妙に心に引っかかり続ける。
それが『BAD LANDS バッド・ランズ』という映画の正体だと思う。

本作は「特殊詐欺」という、現代日本において最も嫌悪されやすい犯罪を真正面から扱う。
主人公のネリは頭が切れ、仕事ができ、弱者には優しい。しかしその優しさは、詐欺を働く手を止める理由にはならない。ここがまず重要だ。

この映画は、善と悪を天秤にかけない。善行で悪行が相殺されることはないし、過去の不幸が犯罪の免罪符にもならない。
ただ「そう生きてきた人間」を、そのまま描く。

ネリという人物は、極めて現代的な“悪”だと思う。合理的で、情があり、弱者にも寄り添える。だが、システムの一部として他人を食い物にすることに躊躇がない。

彼女は自分をヒーローだとは思っていないし、正義を語りもしない。ただ、生き延びるために最適解を選び続けているだけだ。その姿は恐ろしくもあり、同時にリアルだ。

安藤サクラ演じるネリと山田涼介演じるジョー
言葉は荒くても、ネリは一貫してジョーを“守る側”の人間だった。

一方で弟のジョーは、感情的で衝動的な“古い悪”だ。暴力に抵抗がなく、短絡的だが、どこか不器用な倫理を持っている。
弱者を騙すことに嫌悪を示し、姉のためなら命を投げ出す。この矛盾した行動が、彼を単なるチンピラにしない。

イキるジョーだが姉思いな一面
イキってはいるが、行動の根っこは常にネリに向いている。

ネリが「システムとしての悪」なら、ジョーは「感情としての悪」だ。
この姉弟を対比させることで、映画は問いを投げてくる。
冷酷だが合理的な悪と、残酷だが人間的な悪。どちらがより救われないのか?

物語が進むにつれ明らかになるのは、どちらも救われないという事実だ。
原田眞人監督は、観客が期待しがちな“ダークヒーロー化”を意図的に拒否している。巨悪を倒しても世界は変わらないし、罪は消えない。
むしろ、悪が悪を食い合う構図の中で、最後に残るのは「生き残った者の虚無」だけだ。

終盤、ジョーが選ぶ行動は、一見すると姉のための自己犠牲に見える。だがそれは贖罪でも英雄的行為でもない。
彼にとっては、それしか選べなかったというだけの話だ。

そしてネリもまた、弟の死によって“自由”を得たわけではない。彼女は生き延びただけで、救われたわけではない。
ここがこの映画の一番残酷なところだ。生き残ること=勝利ではないという現実を、はっきり突きつけてくる。

安藤サクラの演技は圧巻だ。感情を爆発させないことで、逆に内面の地獄が伝わってくる。
山田涼介も、これまでのイメージを壊す“危うさ”を全身で体現していた。
この二人が姉弟でなければ、この映画は成立しなかったと思う。

『BAD LANDS』は、観て楽しい映画ではない。
だが、「悪とは何か」「正しさとは誰のためのものか」を、これほど誤魔化さず描いた日本映画は貴重だ。
優しさと冷酷さが同居する現代社会に生きる俺たち自身を、静かに映し出す鏡のような一本だった。

もて男の考察&感想

この映画から学べるのは、「優しさだけでは人は守れない」という現実だ。
ネリは気遣いができ、面倒見もいい。それでも彼女は“選択”を間違え続けた。
もてる男に必要なのは、情ではなく覚悟だと思う。
誰かを守るなら、危ない場所から引き離す決断をすること。
BAD LANDSは、「一緒に堕ちる優しさ」より「遠ざける強さ」を持て、と教えてくる映画だ。

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◆教訓、学び

もてる男とは、同情で寄り添う人間ではなく、相手が堕ちる場所から静かに距離を取れる強さを持つ男だ。


◆似ているテイストの作品



  • 『ミッドナイト・ランナー』(2017年)



    正義感だけで動く若者と、制度が追いつかない現場を描いた韓国アクション。
    「動かなければ救えないが、動けばルール違反になる」という葛藤構造が、本作の主人公の立場と強く重なる。


  • 『声 姿なき犯罪者』(2019年)



    犯罪者が制度や距離を利用して人を追い詰める恐怖を描く社会派スリラー。
    「監視しているのに守れない」という構造が、本作のテーマと同じ温度を持つ。


◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 19 / 20 詐欺で稼ぎ、地雷を踏めば即死――そんな世界の「日常」を、
余計な説明を削ってスピードで押し切る構成が強い。
主人公の選択がいつも“正しい”わけじゃないのに、
逃げ道のなさで観客を納得させてくるのがうまい。
中盤以降の収束も勢いがあり、最後まで手が止まらない。
演技 19 / 20 主人公の「平然としてるのに内側は常に警戒している」空気がリアル。
強がり・覚悟・脆さが同居していて、
台詞より目線と間で感情が伝わってくる。
周囲の男たちも善悪が単純じゃなく、
それぞれの欲と怖さが滲む演技で世界の湿度を底上げしている。
映像・演出 20 / 20 夜の街のネオン、車内の密室感、金の匂いのする部屋――
“危ない場所”の手触りを画で語り切っている。
派手に盛るより、淡々とした切り返しで不穏を積む演出が効く。
アクションも見せ場より「現場感」を優先していて、
痛みと焦りがちゃんと残る。
感情の揺さぶり 19 / 20 泣かせに来る作品じゃないが、
「誰も信用できない世界で、それでも誰かを守りたい」って感情が刺さる。
余裕ぶってる瞬間ほど、次のカットで足元をすくわれる怖さがあり、
観てる側もずっと神経が張り詰める。
最後に残るのは爽快感よりも、苦い納得だ。
テーマ性 20 / 20 テーマは「金は人を救うが、同じ速度で人を壊す」。
そしてもう一つは「家族(身内)という鎖」。
正義や倫理で裁けない場所で、
何を守るか/何を捨てるかの線引きを突きつけてくる。
きれいごとを言わないのに、妙に現実味があるのが強み。
合計 97 / 100
ノワールの湿度とスピード感が両立した一作。
主人公の“強さ”を美化せず、
生き残るための汚れも含めて描いたのが刺さった。
観終わったあと、金と信頼の値段を考えさせられる。

◆総括

  • 本作を一言で総括するなら、
    「きれいなヒーローを排した、金と血縁のリアルなサバイバル劇」だ。
  • 『BAD LANDS バット・ランズ』が優れているのは、
    犯罪を“カッコよく”も“悲劇的”にも描きすぎない点にある。
    詐欺という生業、金でしか守れない現実、家族という逃げられない縁――
    そのすべてを淡々と積み重ね、
    「それでも生き残るにはどうするか」という一点に観客を立たせる。
  • 主人公は正義の側には立たない。
    だが、守るものを決め、覚悟を引き受ける姿は一貫している。
    そこにあるのは成功譚ではなく、
    選択の結果をすべて背負うという大人の物語だ。
  • スピード感のある展開、湿度の高い映像、
    信頼と裏切りが紙一重で反転する人間関係。
    それらが噛み合うことで、本作は
    「犯罪映画」でありながら、
    生き方そのものを突きつける一本になっている。
  • 観終わったあとに残るのは爽快感ではない。
    だが、
    「自分なら何を守り、何を捨てるか」
    その問いが静かに残る。
    それこそが、この映画の最大のポイントだ。


◆視聴後の余韻を整えるアイテム

『BAD LANDS バッド・ランズ』は、観終わったあとに爽快感よりも
重たい余韻と現実感が残る映画だ。
だからこそ、鑑賞後の自室時間は、少しだけ環境を整えてやりたい。

俺は映画を観終えたあと、画面やデスク周りを軽く掃除して、
頭の中をリセットするようにしている。
以下は、実際に使っていて「ちょうどいい」と感じたアイテムだ。


エレコム 除電ブラシ クリーナー

エレコム 除電ブラシ クリーナー(回転タイプ)

モニターやデスクに溜まるホコリを、
静電気を抑えながらサッと落とせる除電ブラシ。
映画鑑賞後に画面を一度リセットするだけで、
気持ちの切り替えが驚くほど楽になる。


山崎実業 tower ハンディワイパースタンド

山崎実業 tower ハンディワイパースタンド

さっきの除電ブラシを立てて収納できるシンプルなスタンド。
出しっぱなしでも生活感が出にくく、
「整っている部屋」を保ちやすい。

※映画の余韻を引きずりすぎないための、俺なりの環境づくり。
気持ちを切り替えたい人には、こういう小さな習慣が意外と効く。

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