◆映画『トラップ』の作品情報
- 原題:Trap / Good Grades
- 監督・脚本・製作:M・ナイト・シャマラン
- 出演:ジョシュ・ハートネット、アリエル・ドノヒュー、サレカ・シャマラン 他
- 配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ/ワーナー・ブラザース ジャパン
- 公開:2024年
- 上映時間:105分
- 製作国:アメリカ
- ジャンル:サスペンス、ミステリー、スリラー
- 視聴ツール:U-NEXT、吹替、自室モニター、WI-1000XM2
|
|
◆キャスト
- クーパー・アボット:ジョシュ・ハートネット 代表作『オッペンハイマー』(2023)
- レディ・レイヴン:サレカ・ナイト・シャマラン 代表作『トラップ』(2024)
- レイチェル・アボット:アリソン・ピル 代表作『バイス』(2018)
- ジョセフィーン・グラント:ヘイリー・ミルズ 代表作『ポリアンナ』(1960)
- ザ・シンカー:スコット・メスカディ 代表作『ドント・ルック・アップ』(2021)
◆ネタバレあらすじ
溺愛する娘ライリーのために、父クーパーは世界的アーティスト「レディ・レイヴン」の
アリーナライブのプラチナチケットを入手し、会場へ向かいます。
最高の席と熱狂的なステージに、ライリーは目を輝かせ、
クーパーも“良き父親”としてその時間を大切にしようとします。
ところが開演直後から、会場内外の警備が異常に厳しく、
監視カメラや警察関係者が不自然なほど目につきます。
クーパーは違和感の正体を探り、スタッフとの会話や会場の動線から状況を読み解こうとします。
なぜこのライブが、まるで誰かを追い詰めるための仕掛けのように見えるのか。
観客の興奮と緊張が同居する空間で、
クーパーは“家族の一日”を守るために動き始めます。
ここからネタバレありです。
ネタバレあり(クリックで開く)
会場が厳戒態勢だった理由は、指名手配中の連続殺人犯(切り裂き魔)が
このライブに来るというタレコミがあり、
警察が「ライブそのもの」を罠として用意していたからです。
そして、その犯人こそがクーパー本人でした。
クーパーは正体を隠したまま、スタッフパスの入手や無線からの情報収集などで
包囲網の穴を探し、騒ぎを小さく起こして警備の目線をずらしながら
脱出経路を組み立てていきます。
さらに、客席から一人を舞台に上げる演出を利用し、
娘を指名させてバックステージへ近づくことで突破口を作ろうとします。
しかし捜査側の圧は増し、クーパーは追い詰められていきます。
やがて彼はレディ・レイヴンに正体を匂わせ、
ある人物の命を盾に協力を強要して会場外へ出ますが、
今度はレイヴン側が機転を利かせて反撃を開始し、
立場が入れ替わる形で新たな追跡劇へと転がっていきます。
◆【映画】『トラップ』俺の考察&感想
正直に言う。
俺はこの映画を「嫌いになれなかった」。
完成度が高いかと聞かれれば、首をひねる部分は多い。
FBIの捜査は杜撰だし、ライブ会場を使った包囲網も効率が悪い。
ツッコミどころを挙げ始めたらキリがない。
それでもなお、最後まで集中して観てしまった自分がいる。
理由ははっきりしている。
この映画は構造が面白い。
通常、サスペンスは「犯人を追う側」に感情移入させる。
だが本作は違う。
主人公は最初から“殺人犯”であり、
観客はその男がどう逃げ切るかを見守る立場に置かれる。
この時点で、観る側の倫理観は静かに揺さぶられる。

さらにシャマランは、この物語を「父と娘」という関係で包み込む。
クーパーは冷酷な殺人犯である一方、
娘にとっては間違いなく“良き父”だ。
この二面性を、ジョシュ・ハートネットは
非常に抑制の効いた演技で表現している。
特に印象的なのが、カメラ目線の多用だ。
クーパーが誰かと会話しているとき、視線は頻繁にこちらを向く。
それは観客に対して
「今、俺は何を考えていると思う?」と
問いかけてくるようでもあり、
同時に「次に何をするか分からない不気味さ」を突きつけてくる。
表情は柔らかい。
だが、目だけが笑っていない。
この違和感の積み重ねが、観客の緊張を切らさない。

クーパーは正体を隠しながらライブ会場から出ようと試みる。
一方で、ライブシーンの多さには賛否が分かれるだろう。
テンポを重視する人には冗長に感じるはずだ。
だが俺は、ここにシャマランの狙いがあると感じた。
この映画は「罠」の話であると同時に、視線の映画だ。
観衆、警察、犯人、アーティスト、カメラ、そして観客。
全員が誰かを見ていて、同時に見られている。
ライブという空間は、その関係性を
極端なまでに可視化する装置になっている。
後半、レディ・レイヴンが物語の主導権を握り始める展開は、
シャマランらしい“視点の反転”だ。
逃げる側だったクーパーが追われる側に回ることで、
観客は初めて
「この男は本当に危険な存在だ」と再認識させられる。
そしてラスト。
「トラップ」は一箇所に仕掛けられていたわけではない。
人間関係、心理、油断、善意、
すべてが罠だったのだと明かされる。
この余韻は、決して派手ではないが、
じわじわと効いてくる。
完璧ではない。
だが、不格好だからこそ記憶に残る映画だ。
それが俺の結論だ。
◆モテ男の考察&感想
この映画で一番怖いのは、
クーパーが「普通にモテそう」なところだ。
穏やかで、娘思いで、場の空気を読めて、機転も利く。
表面だけ見れば理想的な父親であり男だ。
だが内側に抱えた闇を誰にも見せない。
モテる男ほど“余白”を持つが、
その余白が闇に変わると、人は簡単に怪物になる。
この映画は、「魅力」と「危険」が
紙一重であることを静かに突きつけてくる。
だからこそ、モテたい男ほど、
内面のバランスには気をつけろ――
そう言われている気がした。
ただのレビューで終わらせない。“男前にビシッと決める”映画知識を身につける場──シネマログ。
会話で効くネタ、俳優・ジャンルの基礎教養、デートで外さない選び方までを要点だけ端的に。
◆教訓、学び
モテる男ほど「余裕」と「優しさ」の裏に何を抱えているかが問われ、
その内面が破綻していれば魅力は一瞬で恐怖に変わる。
◆似ているテイストの作品
-
『侵入する男』(2019年/アメリカ)
家庭的で礼儀正しい男が、実は“危険な存在”だったという構図の心理スリラー。
善良な父親・隣人という仮面の裏に潜む狂気を、
観客にじわじわと突きつけてくる点が『トラップ』と非常に近い。 -
『セキュリティ・チェック』(2024年/アメリカ)
密閉空間で行われる心理戦と、
「誰が敵で誰が味方かわからない」緊張感が持続するサスペンス。
公共空間を“罠”として機能させる演出は『トラップ』と強く共鳴する。
◆総括
映画『トラップ』は、完成度や整合性で殴ってくるタイプのスリラーではない。
むしろ本作は、「構造」と「視点」で観客を試す映画だ。
犯人視点から始まり、父親という仮面を被ったまま逃走劇が進行する前半。
観客はいつの間にか、殺人犯が罠をかいくぐることを
“応援している自分”に気づかされる。
この時点で、倫理は静かにずらされている。
中盤以降、主導権が揺れ、立場が反転し、
「逃げる者」と「追う者」の境界が曖昧になっていくことで、
物語は単なる脱出スリラーから、
人間の盲点を突く心理劇へと変質する。
シャマランらしい歪さ、親バカ的とも言える配置、
粗さやツッコミどころも確かにある。
だがそれ以上に、
「魅力的に見える人間ほど危うい」
「見たいものだけを見てしまう観る側の心理」
そこを真正面から突いてくる点で、本作は誠実だ。
派手などんでん返しを期待すると肩透かしを食らう。
だがハードルを下げ、構造と演技に身を委ねれば、
じわじわと効いてくる不穏さと後味が残る。
これは傑作ではない。
だが、忘れられない歪さを持った一本だ。
シャマランという作家を、
まだ完全には見限れない理由が、確かにここにある。
◆俺が実際に使っている視聴環境
Bose Smart Soundbar Dolby Atmos対応/Bluetooth・Wi-Fi接続/Alexa・Googleアシスタント対応
俺の家でも実際に使っているサウンドバー。
正直かなりいい。
『トラップ』のような
静と緊張が支配するサスペンスでは、
セリフの間、環境音、観客のざわめきまでしっかり拾ってくれる。
ド派手な爆音よりも、
「気配」「違和感」「空気の重さ」を感じたい人向け。
テレビ内蔵スピーカーとは没入感がまるで違う。
設置も簡単で、映画を見る環境を一段階引き上げたいなら、
まずこれを選べば間違いないと思っている。
|
|



コメント