◆映画『タイタン』の作品情報
【英題】The Titan
【監督】レナート・ルフ
【脚本】マックス・ハーウィッツ
【原案】アラッシュ・アメル
【出演】サム・ワーシントン、テイラー・シリング、トム・ウィルキンソン 他
【配給】Netflix
【公開】2018年
【上映時間】97分
【製作国】アメリカ、イギリス、スペイン
【ジャンル】SF、スリラー、ドラマ
【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター
◆キャスト
- リック・ジャンセン大尉:サム・ワーシントン
代表作『アバター』(2009年) - アビゲイル・ジャンセン:テイラー・シリング
代表作『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(2013年~) - プロフェッサー・コリン・ピアース:トム・ウィルキンソン
代表作『フル・モンティ』(1997年) - タリア博士:ナタリー・エマニュエル
代表作『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年) - サンジャイ・シン博士:アゴニー・アギュー
代表作『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』(2011年)
🎬 あらすじ
近未来、地球は環境破壊と人口過剰により人類の存続が危ぶまれていた。各国は移住先として、最も現実的とされる土星の衛星・タイタンへの移住計画を進めていたが、そこは過酷な環境で人間がそのままでは生きられない。
主人公リック・ジャンセン大尉(サム・ワーシントン)は、選び抜かれた精鋭のひとりとして、この“人間の進化を促す”という極秘実験に参加することとなる。彼とその家族は、軍が管理する施設で生活しながら、リックの身体がタイタン環境に適応するよう急激な進化を促されていく。
妻アビゲイル(テイラー・シリング)は、夫の変化を見守る一方で、その過程で徐々に不安と疑念を抱き始める。リックの肉体や感覚は日を追うごとに常人離れしていき、次第に周囲の被験者たちにも異変が現れ始めていた――。
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リックは実験の中で、視力・呼吸機能・皮膚構造などが次々と変化し、やがて人間離れした姿へと変貌していく。被験者たちは変異の過程で精神に異常をきたす者も現れ、暴走や自害といった悲劇が相次ぐ。
妻アビゲイルは医師としての知識を活かし、軍と科学者たちの計画が倫理を逸脱していることを突き止める。実験の目的は“人類をタイタンに順応させる”という名目のもと、“新たな種”を作り出すことにあったのだ。
最終的に、リックは完全に変異を遂げ、もはや人間とは言えない存在となる。しかし彼には人類の未来を託され、タイタンへと旅立つことになる。地球に残されたアビゲイルは、夫を失った悲しみの中で、新たな希望と使命を胸に生きる決意を固める――。
🧠 考察と感想
本作、『タイタン』は、正直めちゃくちゃ派手なSF映画ではない。でも、観終わったあと、じわじわくる“問い”が胸の奥に残る作品だった。人類の未来を救うために、人体改造によって「新たな人間」へ進化する――このテーマは壮大すぎて、ある意味で「神の領域」に足を踏み込む話だ。
主人公リック・ジャンセンは、ただの軍人じゃない。彼は任務のために命を懸ける覚悟を持っていたし、家族を守る責任も背負っていた。そんな男が、自らの身体を実験体に差し出す決断をする姿には、静かな覚悟と切なさが漂っていた。だが、その先に待っていたのは“進化”という名の自己喪失だ。
俺がこの映画で最も怖いと感じたのは、人体改造のビジュアルでも、暴走する被験者たちの狂気でもない。人間が「進化すること」に希望を見出した結果、果たしてそれは“人類の未来”なのか、それとも“人間性の終わり”なのか、という問いが突きつけられてくることだった。俺たちは生き延びるためなら、どこまで自分を変えられるのか? その変化の果てに、自分の意識や愛する人との絆は残るのか?――それを考えさせられる。
リックは徐々に“異形”になっていく。その姿は、美しさもありながら不気味でもある。だが彼の目だけは終始、家族への愛をたたえていた。肉体が変わっても、心は変わらないと信じたくなる。でも、それは観客側の都合のいい希望かもしれない。ラストで彼が火星に向かうシーン――あれは“希望”ではなく“喪失”だった。アビゲイルが地球に残された意味は大きく、彼女こそ「人間らしさ」を象徴する存在だったようにも感じる。
そしてこの映画のもうひとつの主題は、“科学の暴走”だ。劇中の科学者たちは「タイタンに適応するため」と言いながら、実は“人間を捨てて別の生命体を創る”という危険な計画を遂行していた。これはフィクションに思えるけど、遺伝子工学やAI開発が加速する現代において、まったく他人事ではない。便利さや生存のために、俺たちはどこまで倫理を後回しにしてしまうのか。この映画はその警鐘を静かに鳴らしている。
テンポや演出に物足りなさを感じる人もいるだろう。確かに派手な展開や驚きのオチは少ない。でも、SFを“未来のリアルな問い”として受け止める俺にとっては、この静かで不穏な空気こそが最高のスパイスだった。映像もダークで美しく、特にリックの変貌シーンにはゾッとさせられたし、同時にどこか神秘的な雰囲気もあった。
全体として、『タイタン』は決して“面白さで押す”映画じゃない。だけど、「人間とは何か」「生き延びるとは何か」という、誰もがいつか向き合うテーマを真正面から突きつけてくる。そしてそれは、誰かの“正義”ではなく、“選択”の問題なんだと気づかせてくれる。
人類が未来を選ぶ時、それは「どこに住むか」ではなく、「どんな自分でいたいか」という選択になる――そんな言葉が、観終わった後に心の奥で響いていた。地球という星に執着するのではなく、人間としての本質を守ることが、生き延びることより大切なのかもしれない。
💘 モテ男視点
『タイタン』は、ただのSFじゃない。人間が“進化”という美名のもとで、どれだけ愛や絆を保てるかを描いたラブストーリーでもある。愛する人が変わっていくことを受け入れる覚悟、それが本当の強さ。変わらないものを守ろうとするアビゲイルの姿に、俺は「この人と人生を共有したい」と思った。進化より、愛こそが未来をつなぐ――それがこの映画のモテる真理だ。
📝 教訓・学び
どんなに進化して姿が変わっても、愛する人の心を守り抜く覚悟こそが、一番モテる本能だ。
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社会の持続性を優先する冷徹な政策と、人間の尊厳との葛藤。
『タイタン』と同様に、生き延びるための「選択」が人間性をどう試すのかを描いた、静かで重厚な近未来ドラマです。
◆評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 18 / 20 | 将来が見える一歩を感じる一方、寂しさもある。こう言う葛藤は、どう考えればいいか難しい。 |
演技 | 18 / 20 | サム・ワーシントンは、本当にアメリカ人代表のような雰囲気を持っていると思う。戦争に行く前に似ている。 |
映像・演出 | 17 / 20 | 新世界でどんな生き方、生活をしているかも観たかった。 |
感情の揺さぶり | 19 / 20 | 新天地で生活するのに人間の方が変わるという視点は新しいと感じる。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 19 / 20 | 人間が別の星を探すのではなく、人間そのものを環境に適応させるという点が新しかった。 |
合計 | 91 / 100 | これぞ、映画の新境地だと感じた。少しご都合主義な部分もあるが、見ごたえあるSFだった。 |
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