『スカイスクレイパー』(2018)レビュー
◆作品情報Skyscraper
- 原題:Skyscraper
- 監督・脚本:ローソン・マーシャル・サーバー
- 製作・出演:ドウェイン・ジョンソン
- 出演:ネーヴ・キャンベル、チン・ハン、ローランド・ムーラー 他
- 配給:ユニバーサル・ピクチャーズ、東宝東和
- 公開:2018年
- 上映時間:102分
- 製作国:アメリカ、中国
- ジャンル:アクション、サスペンス、ディザスター
- 視聴ツール:Netflix/吹替/自室モニター/Anker Soundcore AeroClip
◆キャスト
- ウィル・ソーヤー:ドウェイン・ジョンソン 代表作 『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)
- サラ・ソーヤー:ネーヴ・キャンベル 代表作 『スクリーム』(1996年)
- ジャオ・ロン・ジー:チン・ハン 代表作 『ダークナイト』(2008年)
- ベン:パブロ・シュレイバー 代表作 『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(2013年)
- コーレス・ボータ:ローランド・ムーラー 代表作 『コールド・ウォー』(2012年)
◆あらすじ
『スカイスクレイパー』は、香港に建つ世界一の超高層ビル「ザ・パール」を舞台に、元FBI人質救出チーム隊長ウィル・ソーヤー(ドウェイン・ジョンソン)が、愛する家族を救うため命を懸けて立ち向かうアクション大作です。
かつて任務中の爆発事故で片足を失ったウィルは、現在セキュリティ専門家として静かに暮らしていました。そんな彼に、中国の実業家ジャオ・ロン・ジーが建設した超高層ビル“ザ・パール”の安全監査という大きな仕事が舞い込みます。妻サラ(ネーヴ・キャンベル)と2人の子どもと共に香港へ渡ったウィルは、最新鋭のセキュリティ技術が詰まったビルに感心します。しかし、その裏では謎の武装集団が密かに計画を進めており、ビルのシステムやウィルの行動を監視していました。やがて、ある晩突然の爆発が起こり、超高層ビルが業火に包まれる中、家族が取り残されてしまいます。
地上から炎上する摩天楼を見上げながら、ウィルは義足を武器に再び“戦場”へ挑む決意を固めます。
▼ここからネタバレありです
火災の背後には、巨大な犯罪組織が関わっていました。ウィルが信頼していた元同僚ベンが裏切り者であり、ビルのオーナー・ジャオを脅迫するための極秘データを狙うテロリストと結託していたのです。ウィルは敵に濡れ衣を着せられ、警察に追われながらも、外壁をよじ登り、崩れ落ちるビルの中で家族を探します。
一方、妻のサラは医師として冷静に状況を判断し、子どもたちを守り抜こうと奮闘。最上階では、データを巡るジャオとテロリストの攻防が続きます。鏡張りの部屋での最終対決で、ウィルは義足と知恵を駆使して敵を打ち倒し、娘ジョージアを救出します。絶望の中、サラが機転を利かせて消火システムを再起動させ、ビル全体を鎮火。
炎の塔から脱出した家族は再会を果たし、ウィルは「もう一度建て直そう」というジャオの言葉を聞きながら、安堵の笑みを浮かべるのでした。

momoko
「こんなお父さん良いな。」

yoribou
「ドウェイン・ジョンソンは凄いね。」
◆考察と感想
『スカイスクレイパー』は、アクション映画の王道をいく作品だった。だが、その単純さの中にある“家族愛”と“人間の再起”がしっかりと描かれていて、観終わったあとに妙な爽快感が残る。舞台は香港の超高層ビル「ザ・パール」。ガラスと鋼鉄でできたそのビルが、まるで人間の傲慢さの象徴のようにそびえ立つ。主人公ウィル・ソーヤー(ドウェイン・ジョンソン)は、FBI時代の事故で片足を失い、今は義足をつけて生きている。彼がビルの外壁を命懸けで登る姿は、ただのアクションではなく、“過去のトラウマとの再戦”に見えた。
ドウェイン・ジョンソンといえば筋肉で全てを解決するタイプのアクション俳優という印象が強い。だが本作では、義足という制約が逆に人間味を際立たせている。筋肉だけではどうにもならない状況で、彼は父親としての覚悟と愛情を見せる。家族のためなら、1,000メートルの高さだろうが火の海だろうが関係ない。その姿勢が、この映画をただの「ビル版ダイ・ハード」に終わらせなかった理由だと思う。
特に印象的だったのは、妻サラ(ネーヴ・キャンベル)の存在だ。ハリウッド映画では“守られる妻”が定番だが、彼女は違う。元軍医という設定もあって、現場では冷静に判断し、息子を守るために自ら動く。ウィルが外で戦っている間、彼女は中で生き延びる知恵を発揮する。夫婦がそれぞれの場所で命をかけて家族を守る、そのバランスが実に美しい。恋愛でもなく、ヒーロー映画でもない、“成熟した夫婦の絆”を描いた作品としても評価できる。
物語の展開は王道そのものだ。裏切り、陰謀、爆発、そして高所アクション。予想できる部分も多いが、それでも手に汗を握る。理由は単純で、演出が上手い。クレーンから飛び移るシーンは、CGだとわかっていても思わず息をのむ。音の使い方、カメラの引き方、そしてジョンソンの表情が完璧にかみ合っていた。特に義足を利用したアクションは斬新で、ハンディキャップを「強さ」として描いた点が素晴らしい。
また、香港を舞台にしたことで、アジアの都市的魅力も強く出ている。ネオンの光、湿気を含んだ空気、密集した街並み。その中に聳え立つ「ザ・パール」は、まるで人類の夢と傲慢の象徴のようだ。映画のテーマは「テクノロジーと人間の絆」。ビルの防火システムや顔認証技術が逆に人間を追い詰める。最先端のセキュリティが、家族を閉じ込める檻になる。この皮肉がとても現代的だ。便利さに頼りすぎた結果、何か大切なものを失う。まるで今の社会そのものを映しているようだった。
一方で、物語の中盤以降のテンポは少し早すぎる気もした。特に敵の描写が浅い。テロリストの動機が弱く、ジャオを脅す理由や背景があっさりしている。だからこそ、ウィル一家の“生”に重心が置かれたのだろうが、もし敵にももう少し厚みがあれば、作品全体の深みが増したと思う。ただし、ラストの鏡の部屋での戦闘シーンは非常に秀逸だった。自分の姿が何倍にも映る中で戦うウィル。まるで“過去の自分”と対峙しているような象徴的な演出だ。
この映画を観て感じたのは、「父親とは何か」という問いだ。ヒーローの定義は派手な力ではなく、日常の中で家族を守る覚悟にある。義足の男が火の海に飛び込むのは、筋肉ではなく“愛”の力だ。男として、父として、ウィルの姿勢は理想そのものだった。彼はヒーローではなく、人間だった。だからこそリアルに感じたし、観る者の心を掴む。
総じて『スカイスクレイパー』は、派手な映像の裏に“人間の脆さと強さ”を同時に描いた作品だった。高所恐怖症の人は間違いなく手に汗を握るだろうが、それ以上に家族を想う心の強さに胸を打たれるはずだ。映画が終わった後、ふと家族に連絡を取りたくなる。そんな不思議な余韻を残す、熱くて優しいアクション映画だった。
◆もて男目線の考察
ウィルは“力任せ”の男に見えて、実は繊細で思慮深い。妻の意見を尊重し、子どもに愛情を惜しまない。その誠実さこそが真のモテ要素だ。派手なヒーローより、家族のために汗を流す男が一番かっこいい。危機の中でも冷静に判断し、相手を信じる姿勢。結局、モテる男とは“守る覚悟”を持った男だと、この映画が教えてくれる。見た目より中身、筋肉より信頼。それがウィル・ソーヤー流のモテ哲学だ。
◆教訓・学び
本当にモテる男は、どんな逆境でも家族を守り抜く覚悟を持っている。
◆似ているテイストの作品
-
『カリフォルニア・ダウン』(2015年/アメリカ)
巨大地震によって崩壊する街で、父親が家族を救うため奔走するディザスターアクション。
圧倒的スケールの中に“家族愛”を描く点が、『スカイスクレイパー』と非常に近い。 -
『892 ~命をかけた叫び~』(2022年/アメリカ)
社会の中で孤立した男が、家族のために命を懸けるヒューマンドラマ。
行き場のない怒りと“父親の誇り”が、炎上する高層ビルの中で闘うウィルの姿と重なって見える。
◆評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 18 / 20 | “父が家族を救う”という王道の流れだが、義足のヒーローという設定が新鮮。直線的な展開の中に人間的ドラマが織り込まれていて飽きさせない。 |
演技 | 19 / 20 | ドウェイン・ジョンソンの筋肉的ヒーロー像に“父の優しさ”が加わり深みが出た。ネーヴ・キャンベルも冷静で芯のある母親像を好演。 |
映像・演出 | 19 / 20 | 高層ビル外壁を登るシーンのスケール感は圧巻。カメラワークと音響が恐怖と緊張を最大化し、IMAX級の没入感を生み出している。 |
感情の揺さぶり | 18 / 20 | 家族の絆を信じて突き進む姿に心を打たれる。派手な爆破シーンの裏で描かれる“父の覚悟”が、観る者の感情を熱くさせる。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 17 / 20 | 『ダイ・ハード』の系譜を継ぎつつも、義足というハンディを武器に変える発想がユニーク。人間の再起と家族愛を正面から描く誠実さが光る。 |
合計 | 91 / 100 | スリルと感動のバランスが取れた娯楽アクション。ドウェイン・ジョンソンが見せる“強さの中の優しさ”が、作品をただのアクションに終わらせない。 |
※ユーザー独自基準(ストーリー/演技/映像・演出/感情の揺さぶり/オリジナリティ・テーマ性の5項目、各20点満点)
炎と煤にまみれたウィルがビルから脱出した後、まず浴びたくなるのは“シャワー”だろう。
命懸けで戦ったあとの一滴の水が、どれほど心地よいか――。
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