【映画】『ショウタイムセブン』(2025年) 真実を伝える覚悟はあるか──爆破予告と生放送、全てを懸けた2時間 | ネタバレあらすじと感想

サスペンス/スリラー

◆映画『ショウタイムセブン』の作品情報

  • 【英題】Show Tome
  • 【監督・脚本】渡辺一貴
  • 【原作】韓国映画『テロ、ライブ』
  • 【出演】阿部寛、竜星涼、生見愛瑠、前原瑞樹他
  • 【配給】松竹、アスミック・エース
  • 【公開】2025年
  • 【上映時間】141分
  • 【製作国】日本
  • 【ジャンル】社会派サスペンス、報道ドラマ
  • 【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター

◆キャスト

  • 折本眞之輔:阿部寛 代表作『新参者』(2010)
  • 繁藤寛二:錦戸亮 代表作『羊の木』(2018)
  • 東海林剛史:吉田鋼太郎 代表作『おっさんずラブ』(2018)
  • 安積征哉:竜星涼 代表作『ぐらんぶる』(2020)
  • 結城千晴:生見愛瑠 代表作『モエカレはオレンジ色』(2022)

◆ネタバレあらすじ

テレビ局NJBの人気報道番組『ショウタイム7』が放送される夜、一人の男がとあるラジオ番組に電話をかけてきます。話題のテーマに対し予想外の発言を続ける男に、番組パーソナリティの折本眞之輔は困惑。やがて男は突如、東京にある火力発電所の爆破を予告し、折本の平穏な日常は一変します。数年前に左遷された過去を持つ折本は、混乱の中で再び“伝える者”として最前線に立たされることに。果たして犯人の狙いは何なのか、そして彼が訴えたい“真実”とは──。
過去と現在が交錯する中、メディアと国家、そして個人の正義が問われます。テレビとラジオ、報道と視聴率、過去の栄光と現在の責任。緊張が高まるスタジオの中、視聴者の前で一人のキャスターが選ぶ言葉に、日本中の運命が委ねられていきます。

⚠️ ここからネタバレありです(クリックで表示)

男の正体は「ウスバカゲロウ」と名乗る繁藤寛二。彼の父親は6年前、政府と大企業の隠蔽によって命を奪われた作業員のひとりでした。その怒りと正義感から、彼は爆破を実行し、真実を公の場で明らかにしようとします。
折本は彼との交渉役としてカメラの前に立ち、彼の要求を生放送で伝える立場に。やがて明かされるのは、折本自身の過去の報道にまつわる疑惑や、政府高官たちとの取引でした。番組は次第に「真実とは何か」「報道の意味とは何か」を問う場となり、世論調査がリアルタイムに報道を揺さぶります。
最終的に折本は、自らの過去と向き合い、ある決断を下します。その決断が犯人の運命だけでなく、日本中のメディアの在り方にまで影響を及ぼすことになるのです。

◆考察と感想

本作、『ショウタイムセブン』は、単なる報道番組を舞台にしたサスペンスではない。むしろこれは、「伝える」という行為の罪と覚悟に切り込む骨太な社会劇だ。物語は、元キャスター折本眞之輔の左遷先で始まり、匿名の犯人との電話を通して、生放送が持つ暴力性と希望を同時に描き出す。事件の発端は火力発電所の爆破予告だが、そこに至るまでの描写はあまりにもリアルで、現在の日本の報道や政治の在り方を逆照射する鏡のようだ。
折本という男は、過去に真実を追いかけた経験がある一方で、地位や名誉のためにそれを見なかったことにもしてきた。彼は英雄でも被害者でもない。極めて人間的で、だからこそ視聴者は彼に自分を重ねてしまう。物語の後半、繁藤寛二という犯人の動機が明かされるとき、単純な“悪”ではないその怒りに、観る者の価値観が揺らぐ。正義とは何か。謝罪とは誰のためにあるのか。そして、報道は誰のためにあるのか。作品はこれらを押しつけがましくなく、しかし確実に問いかけてくる。
構成の妙も光る。スタジオという限られた空間の中で、ラジオ、テレビ、電話、SNSといった“声”のメディアが交錯し、画面の外の社会全体が舞台のように感じられる。緊張感が張り詰める中で、「ザ・世論調査」という演出装置がリアルタイムの世間の声として機能し、政治家やメディア人の表情を変えていく。これは今の日本の現実でも起こりうる構図だ。テレビの前で何気なく観ている情報番組が、いつしか一人の命を左右する判断の場になる。この作品は、そうした怖さと希望を同時に描く。
演技面でも特筆すべきだ。阿部寛演じる折本の葛藤は静かで重く、錦戸亮の張り詰めた声には狂気と真実が同居する。安藤玉恵や井川遥ら脇を固めるキャストの確かさも、舞台としての“報道スタジオ”に現実味を与えていた。最終盤、折本がイアモニを外すシーンには、多くの観客が手に汗を握ったことだろう。その瞬間、真実はようやく一つの姿を見せ始める。
エンタメとしての爆破やサスペンス演出も盛り込まれているが、決して派手さに逃げない。むしろ、人の声、沈黙、目線といった“静”の要素が、観る者の感情を逆撫でするように働いていた。作品全体としては、報道の責任と可能性、そして人間の再生について、じっくりと描いた誠実な映画だった。

💡 モテ男目線の考察

この映画、モテる男なら絶対に折本を他人事にはできない。彼は過去の栄光にすがらず、人生のどん底から再びマイクの前に立つ。失敗も認め、誤解を解くため命を張る姿には、ただの正義じゃない“色気”がある。モテる男ってのは、言い訳せずに真実を語る度胸があるかどうか。最後に信じてもらえるかは、そこにかかってる。それを教えてくれる映画だった。

🎓 教訓・学び

モテる男とは、真実から逃げず、自分の言葉で信頼を取り戻せる男だ。

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