【映画】『スクリーム』(2022年)それはいつも、あなたの知っている誰か。信じた瞬間、殺される。スクリーム、恐怖は再び始まる | ネタバレあらすじと感想

ホラー

🎬 作品情報

  • 原題:Scream
  • 公開年:2022年
  • 上映時間:114分
  • 監督:マット・ベティネッリ=オルピン、タイラー・ジレット
  • 脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト、ガイ・ビューシック
  • ジャンル:ホラー、スラッシャー、ミステリー
  • 制作国:アメリカ
  • 配給:パラマウント・ピクチャーズ
  • 視聴方法:U-NEXT、Amazon Prime Video

ネタバレあらすじ

本作、『スクリーム』(2022年)は、1996年に始まった人気ホラーシリーズの第5作目であり、現代における“再起動(リブート)”と“続編”の両方の役割を担う作品です。物語の舞台はシリーズおなじみの小さな町ウッズボロー。かつて「ゴーストフェイス」と呼ばれる仮面の殺人鬼によって数々の惨劇が起きたこの町に、再び血の惨劇がよみがえります。

物語は、女子高校生タラ・カーペンターが何者かに襲撃されるシーンから始まります。命は取り留めたものの、その事件はウッズボローに長らく潜んでいた恐怖を呼び覚まし、かつての生存者たちと新たな若者たちを巻き込んでいきます。

タラの姉であるサム・カーペンターは、長年離れていた故郷に戻り、妹を襲った事件の真相を追い始めます。彼女には誰にも言えない過去があり、その秘密が事件の核心に大きく関わっていくのです。サムの恋人リッチーとともに調査を始める中、彼女たちは次々と起こる連続殺人事件に直面します。

再び登場するのは、初代からシリーズを支えてきたシドニー・プレスコット、ゲイル・ウェザーズ、そして元保安官デューイ・ライリー。新旧の登場人物たちが交錯しながら、物語は緊迫の展開を見せていきます。

考察と感想

『スクリーム』は、単なるスラッシャーホラーではなく、シリーズのファン心理や現代のメタ構造を巧みに盛り込んだ意欲作でした。特に驚かされたのは、犯人たちの動機が「シリーズ愛」そのものであったこと。自分たちが“正しい”スクリーム映画を作るために殺人に走るというアイロニーは、過激化するファンダムの姿を痛烈に風刺していました。

サムの設定により、本作は単なる殺人ミステリーではなく「アイデンティティとの闘い」へと昇華します。彼女の血に流れる暴力性と、妹を守るための覚悟が同時に描かれ、観客は「善悪の境界」に揺さぶられる感覚を味わうことになります。

また、過去作を踏襲しながらも新たな恐怖とサスペンスを生み出しており、ファンも初見者も取り込むバランス感覚が見事でした。特にスチュの家の再利用や、旧キャストの活躍は、シリーズへのリスペクトが感じられます。

音楽、編集、殺害シーンの演出も優れており、ゴーストフェイスの存在感が際立っていたのも印象的でした。ジャンプスケアに頼らず、緊張感の持続と構成力で見せる恐怖が心地よく、まさに現代版ホラーの完成形と呼べるでしょう。

続編の多い時代において、こうした「遺産を正しく再構築」しつつ、「時代性を持たせる」姿勢は極めて高評価に値します。『スクリーム』は、ただのリブートではなく、ホラー映画のあり方そのものに問いを投げかける作品でした。

教訓・学び

信じていたその人が、最も危険な存在かもしれない──油断と信頼は時に命取りとなる。




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