【映画レビュー】『マッチング』(2024)あらすじ(ネタバレあり)・考察・評価|マッチングアプリが暴く“信じたい欲望”の恐怖
映画『マッチング』(2024)は、マッチングアプリを入口にしながら、出会いの便利さと引き換えに壊れていく「信頼」を描くサスペンス/スリラー/サイコスリラーです。
本記事では、作品情報・キャスト・ネタバレあらすじ・俺の考察&感想・モテ男の考察&感想・教訓、学び・似ているテイストの作品・評価・総括まで、検索で知りたい要素をひとまとめにしています。
◆映画『マッチング』(2024)の作品情報
- 監督・脚本・原作:内田英治
- 脚本:宍戸英紀
- 出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、杉本哲太 他
- 主題歌:Aimer「800」
- 配給:KADOKAWA
- 公開:2024年
- 上映時間:110分
- 製作国:日本
- ジャンル:サスペンス/スリラー/サイコスリラー
- 視聴環境:U-NEXT、自室モニター、WI-1000XM2
◆キャスト
- 唯島輪花:土屋太鳳 代表作『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017)
- 永山吐夢:佐久間大介 代表作『滝沢歌舞伎 ZERO』(2020)
- 影山剛:金子ノブアキ 代表作『蛇にピアス』(2008)
- 西山茜:真飛聖 代表作『相棒 劇場版IV』(2017)
- 影山節子:斉藤由貴 代表作『雪の断章 ―情熱―』(1985)
◆ネタバレあらすじ(前半:ネタバレなし)
ウェディングプランナーの唯島輪花は恋愛が苦手で、同僚に押されマッチングアプリ「Will Will」に登録します。
申し込みの中で爽やかな写真の“トム25歳”とマッチし、水族館で初対面しますが、
現れた吐夢は別人のように薄汚れた風体で言動も異様。
輪花は恐怖でその場を去ります。
ところが吐夢は拒絶されても連絡や待ち伏せを繰り返し、
ストーカーのように輪花の日常へ侵入してきます。
さらに、アプリ婚をきっかけに結ばれたカップルが猟奇的に襲われる事件が連続発生し、
輪花の職場の結婚式とも奇妙に結びつき始めます。
警視庁の西山刑事は吐夢を警戒しつつ捜査を進め、
輪花も事情聴取の対象に。
追い詰められた輪花は、アプリ開発のチーフエンジニア影山剛に相談し、
彼の優しさに救いを見いだしていきます。
父・芳樹は娘を心配しつつも過去を語らず、
輪花は「誰を信じればいいのか」分からなくなります。
アプリ上の顔と現実の顔、善意と悪意がすれ違い、
結婚を扱う仕事の現場そのものが疑心暗鬼に染まっていく――
という現代型サスペンスです。
ここからネタバレありです。
ネタバレありあらすじ(開く)
影山は輪花に寄り添う一方で、25年前に父・芳樹がネットのチャットで知り合い、
捨てた女性が影山の母・節子だったと告げます。
節子は芳樹への執着から輪花の母・美知子を拉致し、長年監禁していました。
影山は母の人生を壊された復讐として輪花の周辺を狙い、
同僚尚美や、輪花が憧れていた教師・片岡らに手をかけます。
終盤、輪花は影山に襲われますが、吐夢が現れて救出。
取っ組み合いの末に影山と節子は逮捕され、
事件は終わったかに見えます。
ところがラスト、吐夢こそ芳樹と節子の子であり、
別件のアプリ婚殺人事件の真犯人であることが示されます。
捨てられた赤ん坊だった吐夢は、
四つ葉のクローバーだけを手掛かりに「家族」を求め続けていたのです。
救いが反転して終わる後味の悪さこそが、本作最大の刃です。
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◆俺の考察&感想
この映画を観て最初に感じたのは、「これはマッチングアプリの恐怖を描いた映画ではない」ということだ。
もっと正確に言えば、“マッチングアプリ”はあくまで入口で、
本丸は人が人を信じたいという欲望そのものに刃を向けている作品だと思った。
主人公・唯島輪花は、恋愛に臆病で、仕事には誠実な女性だ。
ウェディングプランナーという職業設定が象徴的で、
「幸せな関係」を商品として扱う立場にいながら、
自分自身はその輪の外に立っている。
だからこそ彼女は、“プロフィール上の善意”を疑いきれない。
ここが物語の出発点だ。
永山吐夢は分かりやすい狂気として配置されている。
初対面の水族館シーンは、日本映画としてはかなり攻めた不快感がある。
だが、吐夢は恐ろしい一方で、ある意味とても正直な存在でもある。
自分が歪んでいることを、隠す能力すら持たない男だ。
輪花が逃げるのは当然だが、
観ている側は「こいつは分かりやすい」と安心すらしてしまう。

本作が本当に怖いのは、影山剛という存在だ。
彼は理性的で、優しく、相談に乗ってくれる“理想的な理解者”として登場する。
輪花だけでなく、観客に対してもだ。
だが、彼の優しさは選別されたものだ。
自分が守りたい対象にのみ向けられ、
それ以外は切り捨てる。
ここに、この映画の核心がある。
影山の動機は復讐だが、
その復讐は「過去を正す」ためではない。
「自分の物語を完成させる」ための行為だ。
だから彼は被害者の人生を奪うことに一切の躊躇がない。
彼にとって人は“関係性の部品”でしかない。
この構造は、現代の人間関係そのものと重なる。
マッチングアプリは、善でも悪でもない。
だが、人を“条件”や“役割”で選別する装置ではある。
映画はそこを徹底的に突いてくる。
写真、年齢、職業、趣味。
それらを組み合わせれば
「信頼できそうな人間」が出来上がるという錯覚。
その錯覚こそが最大のホラーだ。
父・芳樹の存在も重要だ。
彼は「悪いことをした過去」を封印し、
家庭を築いた男だが、
そのツケは次の世代に回る。
節子の狂気、影山の歪み、吐夢の孤独は、
すべてここから派生している。
つまりこの映画は、
“個人の狂気”を描いているようで、
実は無責任な選択の連鎖を描いている。

終盤、吐夢が輪花を救う展開は、
一瞬だけ観客に安堵を与える。
だが、すぐにその安堵は裏切られる。
吐夢こそが別の殺人の当事者であり、
血縁という呪いの象徴だったと明かされるからだ。
ここで映画は、
「分かりやすい悪より、
理解できそうな存在の方が危険だ」
というメッセージを突きつけてくる。
ラストの後味の悪さは意図的だ。
救いはない。
解決も不完全だ。
だが、それでいい。
なぜならこの物語が描いているのは、
“安全な出会い”という幻想が崩れた後の世界だからだ。
信じるという行為は、
常にリスクを孕む。
その事実から目を逸らすな、
という冷酷な警告がこの映画にはある。
俺はこの映画を、
「怖いから観るな」とは言わない。
むしろ逆だ。
人を信じたいと思っている人ほど、
観るべき映画だと思う。
恋愛映画の皮を被った、
人間関係のサバイバルスリラー。
それが『マッチング』だ。
◆モテ男の考察&感想
この映画をモテの視点で見ると、最も危険なのは「優しすぎる男」だと分かる。
影山は常に輪花の話を聞き、否定せず、寄り添い続けた。
だがそこには対等な距離感がなく、相手の世界に踏み込みすぎている。
モテる男に必要なのは、共感ではなく余白だ。
安心させようとしすぎる男ほど、相手の逃げ場を奪う。
信頼は管理するものでも、囲い込むものでもない。
一歩引ける余裕こそが、結果的に一番モテる。
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◆教訓・学び
相手に踏み込みすぎない距離感と、
違和感を尊重できる余裕こそが、
本当にモテる男の条件だ。
◆似ているテイストの作品
-
『アンセイン ~狂気の真実~』(2018年/アメリカ)
元恋人から逃れたはずの女性が、再び「信じてもらえない恐怖」に追い込まれる心理スリラー。
周囲は安全だと言うが、当人だけが感じている違和感が真実へと変わっていく構図は、
「誰を信じるべきか分からなくなる恐怖」を描く『マッチング』と強く共鳴する。 -
『ドアロック』(2019年/韓国)
ひとり暮らしの女性の部屋に忍び寄る、見えない侵入者の存在を描いたサスペンススリラー。
日常の安全圏が徐々に侵食されていく不安感と、
「すでに生活圏に入り込まれているかもしれない」という恐怖は、
マッチングアプリを通じた接近を描く『マッチング』と非常に近いテイストを持つ。
◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 17 / 20 |
マッチングアプリという現代的な入口から始まり、 徐々に「人を信じること」そのものが崩れていく構成が巧み。 犯罪が起きてからでは遅い、という現実的な恐怖を軸に、 日常と地続きのサスペンスとして成立している。 |
| 演技 | 18 / 20 |
土屋太鳳は、恐怖に飲み込まれながらも理性を失わない女性像を丁寧に表現。 佐久間大介の“違和感を隠しきれない存在感”は強烈で、 観客の生理的警戒心を自然に刺激する演技が光る。 |
| 映像・演出 | 17 / 20 |
派手なショック描写に頼らず、 距離感・視線・沈黙を使った演出で不安を増幅させていく。 安全なはずの場所が少しずつ侵食される演出は、 生活圏ホラーとして非常に効果的。 |
| 感情の揺さぶり | 17 / 20 |
絶叫や残虐描写よりも、 「この人を信じていいのか?」という疑念を積み重ねるタイプの恐怖。 観終わった後、自分の判断や距離感を見直したくなる余韻が残る。 |
| テーマ性 | 17 / 20 |
「好意」と「支配」の境界線を明確に描いたテーマ性が秀逸。 優しさや理解者という仮面が、 いかに簡単に暴力へ転じるかを冷静に突きつけてくる。 |
| 合計 | 87 / 100 |
出会いの便利さと引き換えに失われるものを、 現代的かつ現実的に描いた心理サスペンス。 静かだが、確実に心に傷を残す一本。 |
| 一言コメント | — | 信じたい気持ちが、いちばん危ない。 |
◆総括
『マッチング』は、マッチングアプリという現代的で身近な題材を使いながら、
単なる「出会い系の怖さ」を描く作品ではない。
むしろ本作が真正面から描いているのは、
人はなぜ他者を信じてしまうのか、
そして信じたい気持ちはどこで狂気へ転じるのかという、
人間関係の根幹にある問いだ。
物語は終始、派手な事件やショック描写に依存せず、
違和感の積み重ねで観客を追い詰めていく。
優しさ、理解、共感といった“本来は救いになるはずの要素”が、
視点を変えた瞬間に暴力へ反転する構造は非常に現実的で、
観ている側の価値観そのものを試してくる。
また、本作が巧みなのは、明確な「正義の側」を用意しない点だ。
加害者も被害者も、過去の選択と無責任の連鎖の中に位置づけられており、
誰か一人を断罪すれば終わる物語ではない。
血縁、執着、孤独が絡み合い、問題は次の世代へと受け渡されていく。
ラストに残る後味の悪さも含めて、
『マッチング』は「安心できる答え」を与えない映画だ。
しかしそれは欠点ではなく、本作の誠実さでもある。
信じるという行為の危うさを、観客自身の感覚に委ねて終わる。
恋愛映画として観れば苦い。
サスペンスとして観れば静かで粘着質だ。
だが、人間関係の映画として観たとき、
本作は非常に鋭く、そして今の時代にふさわしい。
『マッチング』は、出会いの物語ではなく、
距離感を誤った人間たちの物語であり、
そのズレは誰の足元にも潜んでいる。
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