映画『マダム・ウェブ』(2024年)レビュー&考察
サスペンス×ミステリーの手触りで描く、“未来視”が絡め取る運命の物語。
アメリカ
116分
サスペンス/ミステリー/アクション/スーパーヒーロー
◆作品情報
◆キャスト
- カサンドラ・“キャシー”・ウェブ:ダコタ・ジョンソン — 代表作『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015年)
- ジュリア・コーンウォール:シドニー・スウィーニー — 代表作『ユーフォリア/EUPHORIA』(2019年〜)
- マティ・フランクリン:セレステ・オコナー — 代表作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2021年)
- アーニャ・コラソン:イザベラ・メルセード — 代表作『ドーラと失われた都市』(2019年)
- エゼキエル・シムズ:タハール・ラヒム — 代表作『預言者』(2009年)
◆あらすじ(ネタバレなし)
2003年のニューヨーク。救命士として働くカサンドラ・“キャシー”・ウェブは、人の命を救う現場に日々向き合っていました。ある日、彼女は生死をさまよう事故をきっかけに、未来を予知するという不思議な力を手に入れます。自分の力に戸惑いながらも、キャシーは突如として現れた謎の男・エゼキエルに追われる3人の少女たちを助けることになります。少女たちはそれぞれに孤独や葛藤を抱えながらも、やがて大きな運命に巻き込まれていきます。未来において彼女たちは“スパイダーウーマン”として覚醒していく可能性を秘めており、その運命を阻止しようとするエゼキエルとの攻防が始まります。キャシーは自らの過去に向き合いながら、少女たちの未来を守るための戦いに身を投じていくのです。
◆ここからネタバレありです(クリックで開閉)
キャシーの母・コンスタンスはかつてアマゾンでエゼキエルと共に蜘蛛の研究をしていましたが、裏切りに遭い命を落とします。キャシーはその運命を知らずに育ちますが、自身の能力が母の研究と密接に関わっていることを知ることになります。未来を視る力を通じて、キャシーはエゼキエルが少女たちによって将来命を奪われる運命を恐れ、先に彼女たちを抹殺しようとしている事実に気づきます。ジュリア、マティ、アーニャの三人はそれぞれ未来のスパイダーウーマンとなる資質を持っており、キャシーは彼女たちを守り抜く決意を固めます。数々の襲撃を経て、キャシーは少女たちと共にエゼキエルに立ち向かいます。最後には彼の策略を打ち破り、少女たちの未来を繋ぐことに成功しますが、キャシー自身もまた大きな代償を払うことになるのです。物語は、蜘蛛の糸のように絡み合う運命と未来への希望を残して幕を閉じます。
◆考察と感想
主人公のキャシーを演じるダコタ・ジョンソンは、従来のマーベルヒーローに見られる華やかなヒロイン像とは一線を画す。救命士という日常的な職業に就く彼女が、ある事故をきっかけに未来予知の能力を手に入れ、その力をどう受け止めていくのかが物語の中心になる。能力を得ても派手に戦うわけではなく、あくまで「誰かを救う」という彼女自身の使命感が根底にあるのが好ましかった。スーパーヒーロー映画において「救う」という動機は当然のようでいて、ここまでリアルな職業的倫理観と結びついている例は少なく、キャシーの人間的な厚みを生んでいたと思う。
敵役のエゼキエルも興味深いキャラクターだ。未来を恐れるがゆえに少女たちを先に排除しようとする姿は、ただの悪党というより「運命に怯える存在」として描かれており、恐怖心が動機になっているのが印象的だった。彼の行動原理を理解できる部分もあり、観客にとっては単純な勧善懲悪の枠を超えた解釈を求められる。未来を視る力を持つ者同士の戦いという構図が生み出す「不確定性の緊張感」が、この作品ならではの見どころだと思った。
一方で、本作はテンポの緩急が独特で、一般的なマーベル映画を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。アクションの見せ場よりも、キャラクター同士の会話や心理描写に重きを置いており、その点が好みを分けるだろう。俺としては、この路線自体は評価したい。マーベル作品が増え続ける中で、新たな切り口を模索している姿勢は歓迎すべきものだ。ただ、サスペンスとしての緊張感を持続させるためには、もう少しシナリオの緻密さが欲しかったと感じる。未来視の扱い方がやや都合主義的に感じられる場面があり、観客が物語のロジックに浸りきれない瞬間があるのは惜しかった。
少女たちが将来スパイダーウーマンになるという設定は、ファンにとってはワクワク感を高める仕掛けだ。彼女たちがまだ未熟な状態で登場し、キャシーの導きによって未来へと繋がる描写は、シリーズ的な広がりを期待させる。ただし、今作単体で観た場合は「未完の物語」という印象が強く、キャラクターたちの成長が断片的にしか描かれないのが物足りなくもあった。スパイダーマン本編の外縁で物語を構築する以上、どうしても「世界観の補完」という役割に収まってしまうのは仕方ない部分かもしれないが、単独作としての完成度を高めてほしかったというのが正直な感想だ。
映像面では、ニューヨークの街を舞台にしながらも、暗めのトーンで統一された画作りがサスペンスの空気を強めていた。アクションも派手なCG満載というより、追跡や逃走の緊張感を中心にした演出が目立ち、そこに現実味を感じられた。これは従来の派手さを期待すると物足りないかもしれないが、映画全体のトーンには合致していたと感じる。
総合的に言えば、『マダム・ウェブ』はマーベル映画の中では異端であり、だからこそ記憶に残る作品だ。予知という力の魅力と限界、運命と自由意志のせめぎ合い、母から娘へと受け継がれる宿命。これらを軸に物語が展開することで、単なるアクション映画以上のテーマ性を持たせていたと思う。決して万人受けする作品ではないが、俺にとっては「マーベルが描く新たな挑戦」として評価できる一本だった。今後スパイダーウーマンたちが活躍する物語が本格的に描かれるとき、この映画がその起点として意味を持つことになるだろう。
◆モテ男目線の考察
『マダム・ウェブ』を観て思うのは、女性たちが未来に挑む姿がとにかく魅力的だということです。キャシーも少女たちも、それぞれ弱さを抱えながら運命に立ち向かう。その姿に寄り添える男は、女性から信頼されます。守るだけではなく、彼女たちの成長を信じ、未来を共に見据えること。映画はそのスタンスを教えてくれます。モテる男は、答えを急がず、相手の可能性を広げてあげる存在であるべきなのです。
◆評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 18 / 20 | ヒーロー像が他のマーベルヒーローとは違っているが、スパイダーマン系なのは本作では、忘れない程度に盛り込んでいた。結果オーライな場面が多かったが、観ていて飽きなかった。 |
演技 | 18 / 20 | 子供は元気に限る。若干、コメディ的な状況が有ったが、本作の骨子がしっかりしていて、真っ当な闘いもあり、楽しんで観ることができた。 |
映像・演出 | 18 / 20 | スケールはさすがに大きくて、痛快。安っぽさとかこじんまりとか、マイナス面と思われるところは無かった。 |
感情の揺さぶり | 17 / 20 | 戦いは、かなりギリギリで、この設定で勝てる?と何度も思ったが、さすがスーパーヒーロー映画なだけあって、潜在能力がすさまじく有って良かった。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 17 / 20 | どうしても、戦い方が、スパイダーマン的な感じがして、ちょっと先読みができた分がマイナスか。 |
合計 | 88 / 100 | 派手さは無いが、頼もしい面子で悪に対していた。 |
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※本ページの情報は2025年9月現在のものです。最新の配信状況は公式サイトでご確認ください。
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