映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』(2022年)あらすじ・ネタバレ・考察・評価まとめ
国境を越える凶悪犯罪に立ち向かう怪力刑事マ・ソクトの活躍を、ネタバレありで徹底解説します。
◆映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』の作品情報
- 監督:イ・サンヨン
- 脚本:キム・ミンソン
- 【出演、製作総指揮】:マ・ドンソク、ソン・ソック、チェ・グィファ他
- 【主題歌】THE RAMPAGE FROM EXILE TRIBE 「ROUND UP feat. MIYAVI」
- 配給:Megabox Plus M
- 公開:2022年
- 上映時間:106分
- 製作国:韓国
- ジャンル:アクション、クライム、スリラー
- 視聴ツール:Netflix、吹替、自室モニター、WI-1000XM2
◆キャスト
マ・ソクト:マ・ドンソク 代表作『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)
カン・ヘサン:ソン・ソック 代表作『私の解放日誌』(2022年)
チョン・イルマン:チェ・グィファ 代表作『犯罪都市』(2017年)
チャン・イス:パク・ジファン 代表作『犯罪都市』(2017年)
オ・ドンギュン:ホ・ドンウォン 代表作『悪人伝』(2019年)
◆あらすじ(ネタバレあり)
『犯罪都市 THE ROUNDUP』(2022年)は、怪力刑事マ・ソクトが国外で起きた凶悪事件に挑むクライムアクションです。前作から数年後、ソクトは国外逃亡犯の引き取り任務で班長チョン・イルマンとベトナムへ向かいます。ところが現地で待っていたのは、単なる身柄確保ではなく、韓国人旅行者や実業家を狙う誘拐・殺人の影でした。背後には、冷酷で計算高い犯罪者カン・ヘサンの存在がちらつきます。土地勘も権限も限られる海外で、手がかりは怯える容疑者の証言と、現場に残された痕跡だけです。領事館や現地警察との思惑のズレ、上層部の体面、時間制限がソクトを縛ります。それでも彼は「今止めないと次が出る」と直感し、違法すれすれの行動力と、拳一つの制圧力で糸口をこじ開けます。強力班の軽妙な掛け合いが緊張を和らげつつ、事態は次第に深刻化し、捜査は韓国側にも波及します。やがて舞台は国境をまたぐ追跡劇へと加速し、ソクトは“最悪の相手”を相手に、短期間で決着を迫られていきます。暴力の爽快感だけでなく、被害者を想う執念とチーム戦の面白さが詰まった一本です。シリーズらしい豪快さと、現代的な国際犯罪の怖さが同時に味わえます。
ここからネタバレありです。
ネタバレ詳細を開く
ベトナムでソクトは、容疑者の証言からカンが韓国人実業家チェ・ヨンギを誘拐し、身代金を奪ったうえで殺害した事実に辿り着きます。さらに複数の遺体が見つかり、同様の手口が東南アジア各地で続いていたことも判明します。違法捜査を咎められ一度は帰国させられますが、カンは先回りして韓国へ潜入し、奪った金塊と現金を取り戻すため次の獲物を狙います。ソクトは元暴力団のチャン・イスらの情報網も使い、港の監視カメラから車両を割り出して公開手配します。やがてカンは被害者の父チェ・チュンベクを誘拐し、妻インスクに“直接取引”を要求します。囮となった車は何度もUターンさせられ、尾行は翻弄されますが、別働隊が監禁先を突き止め救出に成功します。カンは仲間のチャン兄弟と合流して逃走し、デパート駐車場で大乱闘の末に兄弟は逮捕されます。残ったカンは密航船を狙うものの、トンネル検問でバスごと封鎖され、最後はソクトの連打で沈み逮捕されます。事件後、チュンベクも別件で立件され、強力班は静かに勝利を祝います。途中イルマンやドンギュンも重傷を負い、ソクトの怒りは加速します。奪われた金は回収され、犯行の全容が明るみに出ます。これで幕です。
◆考察と感想
本作は「拳で解決する映画」だ。しかし単なる脳筋アクションではない。俺が感じたのは、“国家の境界線を越える悪”に対して、個人の身体一つで立ち向かう物語だということだ。舞台はベトナムから韓国へと移る。そこには法の壁、外交の壁、管轄の壁がある。だがマ・ソクトという男は、その壁を理屈で壊すのではなく、行動で踏み越える。そこにこのシリーズの快感の本質がある。

そしてやはりマ・ドンソクという俳優の存在感だ。立っているだけで圧がある。だが目には優しさがある。この“優しさを持つ怪物”という二面性がシリーズ最大の武器だと思う。殴る前に一瞬だけ相手を見つめるあの間。あれがあるからただの暴力にならない。覚悟の確認だ。
カン・ヘサンは冷酷だ。だが彼は狂人というより合理主義者に見える。金のために誘拐し、払われても殺す。リスクを消すための最適解としての殺害だ。だからこそ怖い。感情ではなく計算で人を刺す男。対してソクトは感情の塊だ。仲間が刺されれば怒り、被害者の家族を見れば本気で悔しがる。その“感情の熱量”が拳に乗る。理性の犯罪者と感情の刑事。その対比が物語をシンプルにし、観客に迷いを与えない。

俺が特に痺れたのはバス内の最終決戦だ。銃ではない。ナイフでもない。拳だ。武器を持たない強さは、覚悟の強さでもある。ここにマ・ドンソク映画の哲学があると思う。暴力は肯定されていない。だが必要な暴力は躊躇なく振るう。その線引きが明確だ。だから爽快だ。観客は罪悪感なく拍手できる。
また本作は“チーム映画”でもある。イルマンの人間臭さ、ドンギュンの忠誠、イスの胡散臭さ。彼らの存在がソクトを孤独なヒーローにしない。特にイスとのやり取りはコメディの役割を担い、緊張を緩和する。笑いがあるからこそ、残酷さが際立つ。バランス設計が巧みだ。
さらに俺が評価したいのは、国際犯罪という現代性だ。海外逃亡、身代金ビジネス、密航ルート。リアルな社会問題が背景にある。だからこの映画は荒唐無稽な勧善懲悪ではなく、現実の延長線上にある物語として成立している。実際の事件が着想になっている点も重い。フィクションだが、他人事ではない。
結局この映画は、「悪が強大でも、最後は人間の意思が勝つ」という極めて古典的な物語だ。だが古典は強い。観客が求めているのは、混沌とした現実を一撃で整理してくれる存在だ。本作はその欲望を真正面から肯定する。だから1200万人を動員したのだろう。
俺はこのシリーズが好きだ。理由は単純だ。迷いがないからだ。正義は正義、悪は悪。その明確さが今の時代にはむしろ新鮮だ。『犯罪都市 THE ROUNDUP』は、複雑な社会に対するシンプルな回答だ。拳で語る正義。その痛快さは、間違いなく現代のカタルシスである。
◆もて男目線
この映画から学べるのは「守る覚悟」だ。力そのものより、誰のために振るうかが重要だと分かる。ソクトは仲間と被害者を守るために動く。そこにブレがない。もてる男も同じだ。優しさと覚悟が両立していること。必要な場面で逃げないこと。静かな自信と行動力。これが本当の強さだ。
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◆教訓、学び
本当にモテる男は、腕力よりも「守る覚悟」と「迷わない行動力」を持っている男だ。
◆似ているテイストの作品
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『ミッドナイト・ランナー』(2015年)
若い捜査側が規則よりも「今助ける」を優先し、走って殴って切り開く韓国クライムアクション。
事件のテンポ、バディ感、そして「現場が先、制度は後」という熱量が『犯罪都市 THE ROUNDUP』の突進力とよく似ている。
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『夜叉 -容赦なき工作戦-』(2022年)
国境をまたぐ犯罪・利権・裏社会を相手に、手段を選ばず突破するプロ集団を描く韓国アクション。
海外要素×クライムの匂い、容赦ない制圧のトーンが、『犯罪都市2』の“国外→国内へ波及する捜査”の手触りと重なる。
◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 18 / 20 |
国境をまたぐ誘拐殺人を、余計な枝葉を削って「犯人を捕まえる」に一点集中させた設計が気持ちいい。 ベトナムで“遺体発見→犯人像確定”まで一気に掴み、韓国に戻ってからはタイムリミット型の追跡劇に切り替える構成が巧い。 事件の深掘りよりも、ソクトの行動力とチームの動きでテンポを維持するから、体感が短く感じる。 最後をバスの密室バトルに収束させ、シリーズらしい「拳の決着」で締めるのも潔い。 |
| 演技 | 18 / 20 |
マ・ドンソクは“安心して任せられる怪力”を、声の低さと間で成立させていて説得力が強い。 ソン・ソックのカン・ヘサンは、感情ではなく計算で刺す冷たさが出ていて、怖さが湿っている。 チェ・グィファのイルマンは、頼りなさと仲間思いが同居していて、チームの温度を上げる。 パク・ジファンのチャン・イスは“笑い”担当なのに、裏の匂いを残す塩梅が絶妙だ。 |
| 映像・演出 | 18 / 20 |
「拳の重さ」が伝わる撮り方で、殴った瞬間の空気が変わるのがたまらない。 ベトナムの雑多さ→韓国の街・港・デパートへと、舞台が変わるたびに追跡のギアが上がる演出が効いている。 デパートの追い込みとバス車内の密室決戦で、“逃げ場のなさ”を段階的に強めていくのが上手い。 速い編集なのに見失わず、ソクトの一撃が「必殺技」ではなく「制圧」になっているのもシリーズらしい。 |
| 感情の揺さぶり | 17 / 20 |
被害者が増えていく現実が淡々と提示される分、「止めなきゃいけない」の焦りが強くなる。 イルマンやドンギュンがやられることで、ソクトの怒りが“正義”ではなく“身内の痛み”として刺さってくる。 犯人の非道さが容赦なく積まれるから、最後の一撃は単なる爽快感ではなく「終わらせた」という安堵に変わる。 派手に泣かせない代わりに、観終わったあと胃に残る重さがある。 |
| テーマ性 | 17 / 20 |
国境や制度の“隙間”を悪が利用する時代に、現場の刑事がどう踏ん張るかを描いている。 ルールを守れば救えない、破れば叩かれる――その板挟みを、ソクトの行動で押し切るのがこのシリーズの答えだ。 正義の複雑な議論より、「被害者を増やさない」一点に賭ける姿勢が芯になっている。 拳の暴力を娯楽にしつつ、守る側の覚悟として見せるテーマの立て方が太い。 |
| 合計 | 88 / 100 |
“拳で決着”というシリーズの快楽を、国際犯罪の怖さとスピード感で増幅した続編の成功例。 カン・ヘサンの冷酷さが強烈だからこそ、ソクトの一撃が「気持ちいい」ではなく「止めた」に変わる。 海外→国内へ波及する追跡の流れと、デパート〜バスの締めが完璧で、最後まで勢いが落ちない一本だ。 |
◆総括
『犯罪都市 THE ROUNDUP』は、理屈よりも“止める力”を信じる映画だ。
国境を越えて拡大する凶悪犯罪という現代的テーマを扱いながら、物語の軸は驚くほどシンプルだ。悪を追い、捕まえ、終わらせる。その一直線の構造が、観客に迷いを与えない。だからこそ爽快で、だからこそヒットした。
本作の最大の強みは三つある。
一つ目は、圧倒的な悪役の存在感。カン・ヘサンの冷酷さが物語の緊張を最後まで維持する。
二つ目は、マ・ドンソクという“安心して任せられる怪力”。拳一つで状況をひっくり返す説得力。
三つ目は、テンポの良さと無駄のなさ。海外編から韓国編へとギアを上げ続け、バス決戦で一気に決着させる構成力。
深い哲学を語る作品ではない。だが、「守るために動く」という原始的で強いメッセージが全編を貫いている。
正義は難しく考えなくていい。被害者を増やさない。それだけだ。
シリーズの魅力をさらに研ぎ澄まし、スケールとスピードを増した理想的続編。
“拳の正義”をここまで純度高く娯楽に昇華できる作品は、そう多くない。



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