【映画】『ライフ』(2017年) 無限の宇宙で出会った“生命”は、希望ではなく恐怖だった——生き残るのはどちらか | ネタバレあらすじと感想

SF

◆映画『ライフ』の作品情報

原題Life
監督ダニエル・エスピノーサ
脚本レット・リース、ポール・ワーニック

出演ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソン 他
配給コロンビア ピクチャーズ/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公開2017年

上映時間104分
製作国アメリカ/イギリス
ジャンルSF、スリラー、ホラー

視聴ツールU-NEXT 吹替 自室モニター Anker Soundcore AeroClip

◆キャスト

役名 俳優 代表作
デビッド・ジョーダン ジェイク・ギレンホール 『ナイトクローラー』(2014)
ミランダ・ノース レベッカ・ファーガソン 『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)
ローリー・アダムス ライアン・レイノルズ 『デッドプール』(2016)
ショウ・ムラカミ 真田広之 『ラスト サムライ』(2003)
ヒュー・デリー アリヨン・バカレ 『エクス・マキナ』(2015)

◆あらすじ

前半(ネタバレなし)
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する6人のクルーたちは、火星から無人探査機ピルグリムを回収する任務にあたっていました。回収したサンプルを分析すると、その中に微細な“未知の生命体”が存在していることが判明します。長い宇宙探査の歴史の中で初めて確認された地球外生命に、クルーたちは歓喜と興奮に包まれます。生命体は「カルビン」と名付けられ、研究が慎重に進められていきます。
しかし、カルビンは成長速度が異常に早く、急速に進化していく姿に科学者たちは驚愕します。やがてそれは、単なる微生物ではなく、高い知性と攻撃性を持つ存在であることが明らかになります。閉ざされたISSという密閉空間で、人類史上初の地球外生命との接触は、希望から恐怖へと変わっていくのです――。

ここからネタバレありです。

▼あらすじ(ネタバレあり/クリックで開く)

生命体カルビンは、実験中の事故をきっかけに攻撃的な行動を見せ、船内のクルーを次々と襲い始めます。驚異的な知能と身体能力を備えたカルビンは、わずかな隙間からでも侵入し、あらゆる環境に適応していきます。クルーの一人、ショウ・ムラカミ(真田広之)はISSの制御系統を守ろうと奮闘しますが、状況は次第に悪化。外部との通信も途絶し、彼らは完全に孤立してしまいます。
一方、医師のデビッド(ジェイク・ギレンホール)と検疫官のミランダ(レベッカ・ファーガソン)は、カルビンを地球に戻さないために最後の決断を下します。デビッドは自らを囮にして、カルビンを搭乗ポッドに誘い込み、宇宙の彼方へ放出しようとするのです。
しかし、カルビンはその意図を察知し、脱出ポッドの進路を操作。結果、カルビンを乗せたポッドは地球へと帰還し、ミランダのポッドだけが宇宙空間へ漂うことに。地球に降り立ったポッドを漁師が発見した瞬間、物語は静かに終わり、観る者に強烈な余韻と恐怖を残します。

ライフ [Blu-ray]
ジェイク・ギレンホール(出演)/レベッカ・ファーガソン(出演)/ダニエル・エスピノーサ(監督)
ISSで遭遇した“未知の生命体カルビン”との極限サバイバルを描くSFスリラー。
宇宙の恐怖と人間の本質を問う、静かな傑作。


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◆考察と感想

『ライフ』(2017年)は、宇宙という圧倒的な孤独と未知の恐怖を極限まで描き出した傑作SFスリラーだ。映画を観終えた後、胸に残ったのは“外敵の恐怖”よりも“人間という存在の脆さ”だった。宇宙空間という完璧に隔絶された環境で描かれるこの物語は、モンスター映画のようでいて、実は人間そのものの生存本能と傲慢さを暴く寓話でもある。

まず印象的なのは、ISS(国際宇宙ステーション)の描写のリアリティだ。閉ざされた狭い空間で、人類初の地球外生命体カルビンを扱うという状況設定が、観る者の緊張感を一瞬も緩めない。宇宙に漂う静寂の中で、たった一つの生命体が人間の手により目覚めてしまう――その瞬間に、科学的探究心と倫理の境界が崩れ落ちていく様が恐ろしくも美しい。

カルビンという存在は、単なるクリーチャーではない。彼(あるいはそれ)は、環境に合わせて形態を変化させ、瞬時に学習し、適応する。まるで「進化」という自然の摂理を凝縮した象徴のようだ。観ているうちに、恐怖というよりも“畏怖”に近い感情が芽生える。人間が長い年月をかけて積み上げてきた科学や文明は、たった一つの未知の存在の前ではいかに脆いかを突きつけてくる。

特筆すべきは、登場人物たちの“選択”だ。クルーたちは英雄でも戦士でもなく、あくまで科学者であり、地球と生命を守るために理性的に行動しようとする。しかし、恐怖と孤独の中で理性が崩れ、次第に“生きたい”という本能がむき出しになっていく。この過程が非常に人間的でリアルだ。

ジェイク・ギレンホール演じるデビッドは、その象徴的な存在だ。彼は地球での人間関係や社会に疲れ、宇宙に逃げたような男として描かれている。しかし皮肉にも、宇宙で最も“人間的”な決断を下すのが彼だった。カルビンを地球に戻さないために自らを犠牲にする――その行為は英雄的というより、静かで覚悟に満ちた“贖罪”のように見えた。彼の最期の目は恐怖ではなく、どこか安堵すら感じられた。

一方で、真田広之演じるショウ・ムラカミの存在感も強い。彼の冷静な判断と家族への想いは、映画に温かみを与えていた。極限状況下で最も理性的であろうとするが、それすらもカルビンの前では無力だ。人間が作り上げた「秩序」と「科学」は、宇宙の“生命”の前ではいかに小さい存在か。それを痛烈に感じさせられる。

地球外生命体に追い詰められ自分の死を覚悟する。真田広之演じるショウ・ムラカミ。
地球外生命体に追い詰められ、自分の死を覚悟する。真田広之演じるショウ・ムラカミ。

物語後半、カルビンがISSを制圧し、デビッドが自らの命を賭してそれを宇宙へと放逐しようとするくだりは、本作最大の見せ場だ。観客は彼の行動に「救われた」と感じたい。しかし、ラストで明かされる残酷な真実――カルビンが地球へと戻ってきてしまったという展開は、まさに悪夢のような結末だ。救いを求める人間の祈りなど、宇宙の理の前では意味を持たない。

この結末が素晴らしいのは、単なるホラー的恐怖で終わらせない点にある。カルビンは決して“悪”ではない。彼はただ、生きるために行動している。捕食も、侵略も、生存のための自然な営みだ。そう考えると、恐怖の対象であるはずのカルビンが、むしろ人間の「生存本能」の鏡に見えてくる。結局、人間もまたカルビンと同じ“生き延びたい存在”なのだ。

本作のタイトル「LIFE(ライフ)」は、二重の意味を持つ。「生命」という科学的概念であると同時に、「生きる」という人間的テーマを内包している。生命の起源、進化、そして存続――それは人間が最も知りたくて、最も恐れている問いでもある。この映画はその根源的な問いを、静かな絶望と共に突きつけてくる。

宇宙にいても面白いライアン・レイノルズ演じるローリー・アダムス。早々と餌食に。
宇宙にいても面白いライアン・レイノルズ演じるローリー・アダムス。早々と餌食に。

そして、ISSの無重力空間で漂うクルーたちの姿は、まるで生命の儚さそのものだ。人間がどんなに知恵を絞っても、宇宙という圧倒的な“無”の中では塵のような存在に過ぎない。結局のところ、この映画が描くのは「宇宙の恐怖」ではなく、「人間という存在の孤独」だ。

『ライフ』は、派手なアクションや怪物退治の爽快さを求める映画ではない。むしろ、静かに息を詰めて観るべき作品だ。無音の中でゆっくりと迫る恐怖、そして淡々と描かれる絶望。観終わった後、心の奥にじんわりと広がるのは、「生きるとは何か」という問いへの畏敬の念だ。人間の小ささと、それでも生きようとする美しさ――それこそが、この映画の本質だと思う。

◆もて男視点
『ライフ』を観て思ったのは、モテる男は「怖くても逃げない」ってことだ。宇宙の恐怖も、恋の駆け引きも似ている。自分の弱さを受け入れ、守りたいもののために行動できる男こそ本物。デビッドのように静かに決断できる男は、派手じゃなくても信頼される。強がるより、覚悟を持って動く――それが結局、一番かっこいい生き方なんだ。

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◆教訓・学び

恐怖の中でも冷静に決断し、守るべきものを選べる男こそ本当にモテる。

◆似ているテイストの作品

◆ 評価

項目 点数 コメント
ストーリー 18 / 20 単純なモンスターパニックに見えて、「生命と人間の傲慢さ」を描く知的スリラー。静かな導入から恐怖へ転じる構成が緻密で、結末まで緊張感を保つ。
演技 19 / 20 ジレンホール、ファーガソン、真田広之らの確かな芝居。恐怖と諦念の間で揺れる表情がSF設定を現実に引き寄せる。
映像・演出 20 / 20 無重力のカメラワークと音響設計が圧巻。ISSの再現度も極めて高く、宇宙の静寂と絶望を“空間”で語る。
感情の揺さぶり 17 / 20 ヒロイズムを排した冷徹さの中に、自己犠牲の尊さが滲む。希望より虚無が残る余韻が深い。
オリジナリティ・テーマ性 18 / 20 系譜を踏みつつ、“生命は人類の支配外”という哲学で独自性を確立。カルビンは進化の鏡だ。
合計 92 / 100 緊張感と思想性を両立した宇宙SFホラー。美しくも残酷なリアリティが呼吸を奪い、静かな恐怖の中に人間の本質を映す。

◆総括

宇宙は冷たく寒いイメージ。地上ではせめて、暖かく包まれて眠りたい。
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