映画コメンテイター

映画コメンテーター時代の流れ

1.🎞 レジェンド期(1950年代~1980年代)

名前 活動年代 特徴・功績
淀川長治 1950年代〜1990年代 映画解説者の代名詞。「日曜洋画劇場」の名物解説で親しまれた。優しい語り口と豊富な知識、「さよなら、さよなら、さよなら」の名台詞が象徴。
水野晴郎 1970年代〜2000年代 「いやぁ、映画って本当にいいものですね」でおなじみ。自ら出演や監督もこなす“エンタメ寄り解説者”。「ゴールデン洋画劇場」で人気。
小森和子 1960年代〜1990年代 “小森のおばちゃま”として親しまれた女性解説者。ハリウッドスターとの交流が多く、ミーハーながらも豊かな人間味が魅力。

🗣 思い出語り(筆者コメント)

淀川長治、水野晴郎、小森和子――いずれもよく覚えている。当時はテレビが絶頂期で、『●曜洋画劇場』なんてタイトルを見つけただけで、もうTVにかじりついていた記憶がある。もちろん、俺もまだおこちゃまだったが、それぞれの語り口や風貌、そして「さよなら、さよなら、さよなら」「いやぁ、映画って本当にいいものですね」といった決め台詞は、今も心に残っている。解説の声が、その映画の入口だった。映画を“観る”ことと“聴く”ことが、あの頃はセットだったんだ。

2.🎨 エンタメと個性の “多様性期”

名前 活動時期 特徴・スタイル
LiLiCo 2000年代〜 明るくポップな語り口でエンタメ重視。ワイドショーや映画祭でも活躍。
町山智浩 2000年代〜 米在住ジャーナリスト。社会背景を交えた深掘り解説が特徴。
宇多丸(ライムスター) 2007年〜 TBSラジオの映画批評で人気。緻密な分析とカルチャー愛に満ちた語り。
有村昆 2010年代〜 映画プレゼンやクイズ番組でも活躍。作品知識の広さが売り。
三谷紬 2020年代〜 YouTubeや配信で映画レビューを発信。若者視点で人気。

🎞 思い出語り:映画語り手と“記憶”の交差点

LiLiCoは本当に映画が好きだった。画面越しにその情熱が伝わってきて、「この人は心から映画を愛してる」と思わせた。

有村昆については、北海道出身の自分にとっても忘れがたい印象がある。彼がかつて結婚していた丸岡いずみさんを“捨てた”という話は今でも耳に残っている。

語り手の背景やキャラが、映画の印象にも影響する。どんなに知識があっても、“人となり”が見えるコメンテーターの方が記憶に残る。

3.📚 社会派と視点重視の “知性派期”

町山智浩はアメリカ在住という視点を活かし、作品の背景にある社会問題や歴史を深く掘り下げるスタイルが特徴。解説を通じて「映画を通して世界を知る」というアプローチを日本に定着させた。

🎤 思い出語り:次の語り手に求めたいこと

町山智浩は、確かに知性派だ。でも、あまりにも理詰めで語られると、映画ってそんな風に切り分けて考えるもんじゃない…と、どこか違和感を覚えることもある。

映画はもっと感情に寄り添ってくるものだし、時に理屈じゃ説明できない“心の動き”を伝えるものだ。だからこそ、次に来る語り手には、こうあってほしいと思う。

  • ちょっと癖があっていい。
  • でも、その人の“人となり”が伝わってくる。
  • 映画が好きで好きで、一生懸命語る人。

知識よりも情熱。論理よりも共感。そんな、“映画を通じて人間が見える”語り手が、これからの時代には求められるんじゃないか。そんな気がしている。