【映画】『告白ヒストリー』(2025年)レビュー・考察
◆作品情報
英題 | Love Untangled |
監督 | ナムグン・ソン |
脚本 | チ・チュニ、ワンドゥリ |
出演 | シン・ウンス、コンミョン、チャ・ウミン 他 |
配給 | Netflix |
公開 | 2025年 |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 韓国 |
◆キャスト
- ・パク・セリ:シン・ウンス 代表作『消えた時間』(2020年)
- ・ハン・ユンソク:コンミョン 代表作『エクストリーム・ジョブ』(2019年)
- ・キム・ヒョン:チャ・ウミン 代表作『弱いヒーロー Class1』(2022年)
- ・ペク・ソンレ:ユン・サンヒョン 代表作『シュルプ』(2022年)
- ・コ・インジョン:カン・ミナ 代表作『女神降臨』(2020年)
◆あらすじ
舞台は1990年代の釜山。高校3年生のパク・セリ(シン・ウンス)は、学年一の人気者キム・ヒョン(チャ・ウミン)に憧れ、なんとか告白を成功させたいと願っている。しかし、彼女には大きなコンプレックスがあった。それは天然パーマ。どうにかストレートにしたいと悩むセリは、親友たちと協力しながら告白大作戦を進める。そんなある日、セリは海で溺れていた上級生のハン・ユンソク(コンミョン)を助ける。転校してきたばかりの彼は暗い性格ながらも優しさを秘めており、セリは次第に彼との交流を重ねていく。レトロな90年代の空気感とともに、淡い恋心と友情が瑞々しく描かれていく。
ここからネタバレありです
ネタバレあらすじを開く
セリはユンソクの母が美容室を営み最新のストレートパーマを扱っていることを知り、彼に近づくうちに心の温かさを感じ始める。修学旅行の夜、友人たちが仕掛けた告白の場面で、セリは憧れのヒョンを前にしながらもユンソクを選ぶ決断をする。その後、ユンソクはクマの着ぐるみ姿で受験に臨むセリを応援し、二人の距離は縮まっていく。しかし彼には父親のDVや母の入院、渡米の選択といった秘密があった。セリは彼の未来を思い、涙ながらにポケベルで別れを告げる。
それから1年後。大学生になったセリの前に、再びユンソクが現れる。過去を乗り越え戻ってきた彼は再び告白し、セリは受け入れる。天然パーマを隠す必要もなく、そのままの自分を受け入れてくれる存在と結ばれ、映画は青春の痛みと輝きを瑞々しく描いて幕を閉じる。
◆考察と感想
映画『告白ヒストリー』(2025年)は、韓国映画らしい甘酸っぱい青春ラブストーリーであった。舞台は1990年代の釜山。まだスマホもSNSもない時代に、若者たちが純粋な気持ちで恋に向き合い、仲間と騒ぎ、悩み、成長していく姿が描かれていた。主人公セリの天然パーマをめぐるコンプレックスと、そこから自己肯定へと至る物語は単純だが、青春の真実が宿っていると感じた。
セリは学年一の人気者ヒョンに恋をし、告白のために髪をストレートにしようとする。その小さな願望は誰もが共感できるリアルさを持つ。一方、ユンソクは暗い性格でありながらも、セリにとって居心地の良い存在になっていく。不器用な彼の優しさが光り、観客の共感を呼ぶ。
ただし、ユンソクの家庭環境設定はやや浮いており、父のDVや母の入院はもっと掘り下げてもよかったと思う。しかし作品全体のトーンは明るいラブコメ寄りなので、中途半端に感じられた部分もある。
本作の最大の魅力は「90年代の空気感の再現」である。制服、ポケベル、インスタントカメラなど、世代を超えてノスタルジーを呼び起こす演出が豊富だ。友人たちが一体となって告白を盛り上げる文化も日本と異なり、新鮮で興味深い。監督自身の体験が色濃く反映されていることも感じられた。
後半、セリがヒョンを選ばずユンソクを選んだ場面は胸を打つ。これは恋愛の選択であると同時に、自己肯定の物語であった。ラストの再会と告白も予想通りではあったが、美しい締めくくりである。主演シン・ウンスの透明感は作品を最後まで支えていた。
総じて星3つ。深みのあるドラマを求める人には物足りないが、胸キュンやノスタルジーを味わいたい人にはおすすめできる一作だ。
◆モテ男視点の考察
この映画を観て思ったのは、結局モテる男とは「外見よりも内面で安心感を与える存在」だということだ。ヒョンのようなイケメンは憧れの対象だが、選ばれたのはユンソクだった。つまり、相手のコンプレックスを受け入れ、自然体で向き合える男が最終的に勝つ。見た目を飾るより、心を開かせる力を持つこと。それが真のモテ男の条件だと感じた。
◆評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 20 / 20 | 正統なラブロマンスを久々に観られて新鮮。高校生ならではの喜怒哀楽が楽しかった。 |
演技 | 20 / 20 | コメディ要素を含みつつも堂々とした演技で魅了された。 |
映像・演出 | 20 / 20 | 映像と演出は観ているだけで十分。雰囲気作りに成功していた。 |
感情の揺さぶり | 19 / 20 | ストレートな感情表現が危うくも良い味を出していた。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 17 / 20 | パーマのモチーフ以外は王道のラブロマンス。誠実さは伝わった。 |
合計 | 96 / 100 | 役者の魅力が際立ち、作品を大きく支えていた。 |
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