【映画】『ひとよ』(2019年) 一夜の出来事が、家族の絆を壊し、つなぎ直す──15年越しの再会が心を揺さぶる | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『ひとよ』の作品情報

  • 【監督】白石和彌哉
  • 【脚本】高橋泉
  • 【原作】桑原裕子「ひとよ」
  • 【出演】佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、佐々木蔵之介、田中裕子 他
  • 【配給】日活
  • 【公開】2019年
  • 【上映時間】123分
  • 【製作国】日本
  • 【ジャンル】ヒューマンドラマ、家族ドラマ
  • 【視聴ツール】Netflix、自室モニター

◆キャスト

  • 稲村大樹:佐藤健 代表作『るろうに剣心』(2012年)
  • 稲村こはる:松岡茉優 代表作『勝手にふるえてろ』(2017年)
  • 稲村園子:田中裕子 代表作『お葬式』(1984年)
  • 稲村雄二:鈴木亮平 代表作『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)
  • 堂下道生:佐々木蔵之介 代表作『間宮兄弟』(2006年)

◆ネタバレあらすじ

15年前のある嵐の夜、稲村家の母・園子が起こしたひとつの事件は、家族の人生を大きく変えてしまいました。それ以来、3人の兄妹はそれぞれの道を歩み、家族としての絆は断ち切れたまま、月日が流れていきます。
物語は、そんな事件の夜から15年後、突然帰ってきた母・園子と、久々に顔を合わせた兄妹たちの再会から始まります。長男の雄二は地元でタクシー会社を経営しながらも過去を引きずり、次男の大樹は東京でライターとして働くものの心に空洞を抱え、末っ子のこはるは現実と理想のはざまで苦しんでいました。
久しぶりに家族が集まったことで、止まっていた時間がゆっくりと動き出します。
言葉にできない思い、許せない過去、それでも確かに残っている家族の記憶——。
それぞれが胸に抱えてきた思いや葛藤が、再び交差し、家族の在り方を問い直していく、感情に深く迫るヒューマンドラマです。

▼ ここからネタバレありです

母・園子は、かつてDVを繰り返す夫を「子どもたちを守るために」自らの手で殺害しました。その事件は「正当防衛」として処理されたものの、彼女は自首し、15年間を刑務所で過ごしてきたのです。
再び現れた園子に、3人の子どもたちはそれぞれ複雑な感情を抱きます
やがて、家族の中で少しずつ本音が交わされ始めます。事件が彼らの心に刻んだ傷は決して浅くありませんが、15年という歳月がもたらした変化と成長もありました。
彼らはそれぞれの形で「母の罪」と向き合い、壊れた絆を再構築しようとします。
『ひとよ』は、赦しとは何か、家族とは何かを静かに問いかける作品です。

◆考察と感想

この映画を観てまず感じたのは、「家族って一筋縄じゃいかねぇな」ということ。『ひとよ』は、家族の泥臭さ、痛み、そしてそれでも捨てきれない絆を、しっかりと描き切っている。15年前に母親が父親を殺した──その事実が、家族全員の人生を狂わせた

佐藤健演じる次男・大樹は、心の奥ではずっと“あの夜”を抱えていて、母親を許したいのに許せない葛藤に苦しんでる。松岡茉優のこはるは、感情の爆発がリアルで痛々しいほど。田中裕子演じる園子の覚悟の重さが、この物語の核だと思った。

そして印象深いのが、3兄妹が「それでも生きていく」姿勢を見せるところ。最終的に「どう生きるか」は自分たちで決める。その選択の積み重ねが、人生なんだって突きつけられた気がする。

許すことって、過去をなかったことにするんじゃなくて、そこにどう向き合って自分を取り戻すかなんだなって。

映像も良かった。光と影のコントラストが、人間の内面を照らし出しているようだった。セリフも過剰じゃなくて、行間で語らせるタイプ

結局、『ひとよ』ってタイトルは“一夜”のことを指してるけど、その一夜で人生が変わってしまった人たちの、長くて重い再生の物語なんだ。完璧じゃない家族の物語が、ここまで胸を打つのは、それがきっと“本物”だからだと思う。

◆モテ視点での考察

モテ視点でこの映画を観ると、キーワードは「覚悟」と「赦し」。園子の行動は“愛の究極形”とも言えるけど、それが誰かを不幸にもする。愛って時に暴力的なんだよね。でもその矛盾を、子どもたちは15年かけて飲み込もうとする。モテる人って、感情だけじゃなく、背景も全部理解しようとする姿勢がある。『ひとよ』は“愛に責任を持つ”とは何かを問いかけてる作品だね。

◆教訓・学び

相手の過去ごと受け入れる覚悟が、人としても恋愛でも一番モテる。

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