- 原題:Godzilla vs Kong
- 監督:アダム・ウィンガード
- 脚本:エリック・ピアソン、マックス・ボレンスタイン
- 原案:テリー・ロッシオ、マイケル・ドハティ、ザック・シールズ
- 原作:東宝『ゴジラ』、エドガー・ウォーレス、メリアン・C・クーパー『キングコング』
- 出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、小栗旬 他
- 配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ、東宝
- 公開:2021年
- 上映時間:113分
- 製作国:アメリカ
- ジャンル:アクション、モンスター映画、SF
- 視聴ツール:Amazon Prime、吹替、自室モニター
キャスト
- ネイサン・リンド博士:アレクサンダー・スカルスガルド
代表作『ターザン:REBORN』(2016年) - アイリーン・アンドリュース:レベッカ・ホール
代表作『ザ・タウン』(2010年) - マディソン・ラッセル:ミリー・ボビー・ブラウン
代表作『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年〜) - ジア:ケイリー・ホトル
代表作『ゴジラ×コング』(2021年) - バーニー・ヘイズ:ブライアン・タイリー・ヘンリー
代表作『バレット・トレイン』(2022年)
『ゴジラ×コング』(2021年)あらすじ
世界が未曾有の混乱に包まれる中、古代からの守護神・コングは、未だ知られざる故郷“ホロウ・アース”への旅に出ます。その案内役には、地球空洞説を提唱するネイサン博士と、コングと心を通わせる少女ジアが同行。人類はコングを最後の希望として、その潜在能力に賭けることにします。
一方その頃、海底から突如現れたゴジラが、世界各地の施設を次々と攻撃し始めます。これまで人類の味方だったはずのゴジラが、なぜ急変したのか。地球のバランスを保つために、そして人類の未来を守るために、二大巨獣が激突する運命が刻一刻と迫っていました。
壮大なスケールで描かれるこのバトルには、人智を超えた力、過去の因縁、そして地球の真実が隠されています。果たして勝つのはゴジラか、それともコングか――。
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ネイサン博士らは、地球の奥深くに存在する「ホロウ・アース」へとコングを導くために南極のゲートを通り、未知のエネルギー源を探しに向かいます。そのエネルギーこそ、怪獣たちの力の源であり、ある巨大企業がそれを利用して“人造の脅威”を創り出そうとしていたのです。
一方、ゴジラはその異変を察知し、香港へ向かって突進。ついにゴジラとコングが激突します。激闘の末、いったんはコングが劣勢となるも、地底で得たエネルギーにより復活。両者の戦いは都市を破壊しながら最高潮に達しますが、真の脅威――人間によって造られた「メカゴジラ」が出現。圧倒的な破壊力で暴走を始めたメカゴジラを止めるため、ゴジラとコングは一時的に共闘。人類の未来を賭けた三者の戦いは、想像を超えた結末へと突き進んでいきます。
考察と感想
怪獣映画と聞くと、爆発と雄叫びとパニックばかりを思い浮かべる人もいるかもしれない。だが『ゴジラ×コング』は、そうした過去のイメージを踏まえつつ、まったく新しい次元へと進化していた。単なる「怪獣プロレス」では終わらない、“神話性”と“文明批判”が、意外なほど繊細に込められていた作品だと俺は思っている。
まず感じたのは、コングの人間性だ。いや、「怪獣に人間性?」と思われるかもしれないが、この映画のコングは、もはや単なる巨大な猿ではない。目の奥の感情表現、ジアとの心の交流、そして「自分の居場所を探す」というテーマが、観る者の共感を引き寄せる。特に南極からホロウ・アースへと降りていくあのシーン。重力の転換や光のゆがみを利用した映像は圧巻で、まるで“神の領域”に足を踏み入れるかのようだった。
一方で、ゴジラの存在は対照的だ。感情というより本能、理性というより秩序の象徴。人間がバランスを崩したとき、ゴジラはそれを正そうとする自然の守護者のような存在として描かれている。つまり、コングが「内なる探求」を続ける個の物語なのに対し、ゴジラは「地球規模の調律者」として外の世界を巡回する存在。そう考えると、この二体の激突は、単なるバトルではなく、哲学的な問いでもあった。「本当の王とは何か?」「誰がこの星を守るべきなのか?」
この映画の素晴らしさは、その問いに明確な答えを提示しないところにある。ゴジラもコングも「勝者」として終わらない。むしろ、互いに認め合い、必要なら共闘できるということを示したあのラストこそが本質だったんじゃないかと思う。人間側のストーリーにはややご都合主義もあったし、メカゴジラの暴走理由も雑だった印象は否めないが、それすらも「人間の傲慢さ」への警鐘として読むと腑に落ちる。
印象に残ったのは、ホロウ・アースのビジュアルと音響だ。従来の怪獣映画では見られなかった“重力のない異世界”が、観客を没入させる。あれは明確に、マーベル的宇宙観やDCの暗黒神話とは異なる、独自のモンスターバース的美学だ。特にコングが「斧」を手にした場面。あれは単なる武器ではなく、「怪獣の血統」「王の象徴」として意味づけられていたと思う。
また、この映画はアクションに頼るだけではなく、怪獣たちの「目線」にしっかりカメラを合わせている点も評価したい。地響きとともに見上げる群衆の視点ではなく、コングが見下ろす世界、ゴジラがにらむ敵の構図。それはまるで、“神の視点”だ。人間では到底知覚できないスケールの世界を覗き見るような感覚になった。
ただ一つ残念だったのは、ドラマパートがやや弱かった点だ。ネイサン博士やマディソンたちの行動が、全体の物語にそこまで強い影響を及ぼしていない。もう少し人間ドラマに厚みがあれば、怪獣と人間の対比構造がより際立ったはずだ。とはいえ、そこを差し引いても『ゴジラ×コング』は怪獣映画としての“新たなスタンダード”を打ち立てたと俺は感じた。
世界観、ビジュアル、スケール、メッセージ――すべての要素が過去作を凌駕していた。アニメでもなくCG過多の空虚さでもなく、“巨獣”の尊厳と知性をしっかり描いたこの映画は、まさに「神話の現代化」だったと言える。
『ゴジラ×コング』モテ男視点のひと言考察(約200字)
コングがジアと心を通わせる姿、あれは完全に“守れる男”の体現だよな。強さだけじゃなく、共感力と信頼関係があってこそ真の男って感じ。しかも最後は、ライバルのゴジラとも“認め合い”で終わる。これ、恋愛でも仕事でも同じで、「相手をリスペクトできるか」が鍵なんだよ。あれを観て「俺ももっと器を広げよう」って思った男、きっとモテると思うわ。
◆教訓・学び
本当にモテる男は、力を誇示するんじゃなく、共感とリスペクトで信頼を築けるやつだ。
◆映画評価
項目 | 点数 | コメント |
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ストーリー | 17 / 20 | 新鮮な視点は少ないが、王道の展開でしっかり魅せる。 |
演技 | 17 / 20 | 主役は怪獣たち。人間側はやや薄味。 |
映像・演出 | 19 / 20 | 圧倒的な映像表現。迫力満点。 |
感情の揺さぶり | 16 / 20 | 心動かされる瞬間は少なめ。 |
テーマ性 | 18 / 20 | 神話性と共存のメッセージ性が強い。 |
合計 | 87 / 100 | 怪獣映画としての完成度は非常に高く、“現代神話”として成立している。 |
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