【映画】『すべての終わり』(2018年) 終末の理由も行き先もわからない――愛する人を救うため、混乱と恐怖の大陸横断が始まる | ネタバレあらすじと感想

Netflix

◆映画『すべての終わり』作品情報

【原題】 How It Ends
【監督】 デヴィッド・M・ローゼンタール
【脚本】 ブルックス・マクラーレン
【出演】 テオ・ジェームズ、フォレスト・ウィテカー 他
【配給】 Netflix
【公開】 2018年
【上映時間】 113分
【製作国】 アメリカ
【ジャンル】 終末サバイバル、パニック、スリラー
【視聴ツール】 Netflix、吹替、自室モニター

◆キャスト

  • ウィル:テオ・ジェームズ 代表作『ダイバージェント』シリーズ(2014〜2016年)
  • トム:フォレスト・ウィテカー 代表作『ラストキング・オブ・スコットランド』(2006年)
  • サム:カテリーナ・グレアム 代表作『ヴァンパイア・ダイアリーズ』(2009〜2017年)
  • リッキー:グレイス・ドーヴ 代表作『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015年)
  • ジェレマイア:マーク・オブライエン 代表作『ミッドナイト・ミート・トレイン』(2008年)

◆ネタバレあらすじ

【映画】『すべての終わり』(2018年)あらすじ

アメリカで突然発生した謎の大規模災害により、通信や交通網が寸断され、人々は混乱に陥ります。主人公ウィルは婚約者サムと結婚の話を進めていましたが、災害発生時は遠く離れた都市にいました。彼はサムの父トムと共に、彼女を救出するため車でシアトルへ向かうことになります。道中、彼らは異常な天候、物資不足、暴力的になった人々といった数々の障害に直面します。信頼関係の薄かったウィルとトムは、危険な状況を共に乗り越える中で少しずつ絆を築きます。しかし、何が災害の原因なのかは依然として不明で、時間が経つにつれ状況はさらに悪化。希望と不安が交錯する中、二人はサムの安否を信じて前進を続けます。

ここからネタバレありです

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ウィルとトムは険しい道のりを進みながらも協力関係を築きますが、途中で武装した男たちや略奪者に遭遇し、命の危険にさらされます。トムはサムを救うための道中で負傷し、最終的に命を落としてしまいます。悲しみの中、ウィルは一人でシアトル近郊まで辿り着き、ついにサムと再会します。しかし、周囲の空は赤黒く染まり、大地は激しく揺れ、何らかの大規模破壊が迫っていました。サムは近隣の男性と共に避難の準備をしており、ウィルもそこに加わります。三人は車で荒廃した都市を離れますが、災害の正体は最後まで明かされず、終末の中での逃避行が続く形で物語は幕を閉じます。この結末は、原因不明の恐怖と人間関係の変化を強く印象づけるラストとなっています。

◆考察と感想

本作、『すべての終わり』は、世界の終焉を描くというよりも、人間の内面や関係性の変化に焦点を当てた終末ロードムービーだった。観終わった率直な印象としては、スケール感のあるディザスター映画を期待すると肩透かしを食らうが、人間ドラマとしては非常に緊張感があった。特に、主人公ウィルと婚約者サムの父トムとの関係性が、物語の背骨になっている点が面白い。序盤ではほぼ犬猿の仲だった二人が、危機的状況の中で互いを理解し合い、信頼を築いていく過程は、典型的ではあるが説得力を持って描かれていた。

この作品の一番の特徴は、「災害の原因を最後まで説明しない」という選択だ。空が赤く染まり、大地が揺れ、通信が途絶える。普通のディザスター映画なら、その原因(隕石、戦争、環境崩壊など)を明示するが、この作品では最後まで明かさない。これは観る者に賛否を分けるだろう。俺としては、この不透明さが物語全体を不気味で不安定な空気に包み込み、より人間ドラマに集中させる役割を果たしていたと思う。人間は未知の恐怖に直面したとき、理由を知るよりもまず「どう生き延びるか」に本能的に動く。そのリアリティを狙った構成だと感じた。

演出面では、アクションや派手な爆発シーンは少ない。代わりに、車の中や道中での緊迫感のある会話、物資を巡る衝突、略奪者との遭遇など、地味だがじわじわと圧をかけてくる展開が続く。この“じわじわ感”が好きな人には刺さるだろうが、娯楽性を求める人には物足りないかもしれない。また、途中で出会う武装した男や、妙に好意的な人物など、サイドキャラクターの背景があまり描かれず、唐突に去っていくのはやや勿体なかった。もっと脇役を掘り下げれば、世界崩壊後の多様な人間模様が描けたはずだ。

トムというキャラクターは、保守的で頑固だが実は愛情深い父親像として描かれる。ウィルとの関係性は、「義父と娘婿候補」という立場以上に、人間同士としての信頼関係の再構築を象徴していた。トムの死はあまりに急で、しかも劇的な犠牲というよりは避けられない運命に押し潰される形だったが、それが逆にリアルだった。終末においては、英雄的な死よりも、無情な偶然による死のほうが多いだろう。

ラストは、サムと再会した喜びも束の間、迫りくる破壊と混乱からの逃避で幕を閉じる。観客は「彼らはこの先どうなるのか?」という疑問を抱えたまま映画館を後にすることになる。ハリウッド的なカタルシスはなく、終末は続き、未来は不透明なまま。これは非常にアンチクライマックス的だが、監督の狙いは「結末よりも過程」を見せることだったのだろう。つまり、何が起きたかよりも、そのとき人間がどう振る舞うかにこそ意味があるというメッセージだ。

個人的に評価したいのは、映像の質感と音響設計だ。曇天や赤く染まる空の描写は、不気味さと現実感を両立していたし、音の使い方も効果的だった。特に通信障害のシーンや、遠くで何かが爆発しているような低音は、視覚以上に緊張を煽った。また、車での長距離移動の中で少しずつ燃料や食料が減っていく描写は、地味ながらも確実に状況の深刻さを観客に伝える。

一方で、欠点としては「説明不足感」が強いこと。謎を残すのは効果的だが、もう少し世界の崩壊の背景や災害の規模感を描いても良かったのではないかと思う。特にラスト直前の“空の異変”や“地震”は唐突で、観客が想像で補うしかない。あえて解釈の余地を残したかったのかもしれないが、その分、観終わった後にモヤモヤが残る。

総じて、『すべての終わり』は、派手さを排して終末における人間関係の変化をじっくり見せた作品だった。俺はこういう静かな終末ドラマも嫌いではない。大規模破壊をスクリーンで楽しむ映画ではなく、人間心理とサバイバルのリアルを噛みしめる映画として観るべきだと思う。もしこれを観る人がいるなら、「原因解明」よりも「人間模様」に注目すると、より深く味わえるはずだ。

◆モテ男視点の考察

終末の中でもウィルが魅力的だったのは、状況に適応する柔軟さと、守るべき人のために動く覚悟だ。トムとの衝突を乗り越え、協力関係を築いたことで信頼を勝ち取った。モテる男は危機的状況でも冷静に判断し、人を安心させる行動を取る。この映画は、外見や肩書きよりも「困難を共に乗り越える経験」が、最も強い魅力を生むことを教えてくれる。

◆教訓・学び

危機的状況でも冷静さと行動力を持ち、大切な人を守り抜く姿勢こそが最大の魅力となる。

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環境変化に適応するための極限実験と人間の進化を描くSFサスペンス。
『すべての終わり』同様、極限状況での人間心理と選択が物語の焦点となっています。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 18 / 20 最後が何のことか分からないので何とも言えないが、父との関係性は面白かった。
演技 18 / 20 見事な演技だった。
映像・演出 18 / 20 あの最後の煙はなんだったのだろうか?
感情の揺さぶり 18 / 20 それほど感情の抑揚は無かった。
オリジナリティ・テーマ性 19 / 20 オリジナリティーはあったと思う。それでもNetflix作品らしい雰囲気はあった。
合計 91 / 100 題名が全てなのだろう。それが何を意味するかは観る者に委ねられている。

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