【映画】『ヒットマンズ・ボディガード』(2017年)レビューと考察
アクション × コメディ × バディムービーが交差する痛快護送劇
作品情報
コメディ
バディムービー
吹替
自室モニター
キャスト
役名 | 俳優 | 代表作 |
---|---|---|
マイケル・ブライス | ライアン・レイノルズ | 『デッドプール』(2016年) |
ダリウス・キンケイド | サミュエル・L・ジャクソン | 『パルプ・フィクション』(1994年) |
ヴラディスラフ・デュコビッチ | ゲイリー・オールドマン | 『ダークナイト』(2008年) |
アメリア・ルーセル | エロディ・ユン | 『デアデビル』(2016年/Netflixドラマ) |
ソニア・キンケイド | サルマ・ハエック | 『フリーダ』(2002年) |
あらすじ(前半ネタバレなし/後半ネタバレあり)
『ヒットマンズ・ボディガード』は、腕利きのボディガードと凄腕の殺し屋がタッグを組むことになり、次々と襲いかかる敵から逃れながら国際司法裁判所へと向かう痛快アクション・コメディです。主人公マイケル・ブライスはかつてトップクラスのボディガードとして名を馳せていましたが、ある任務の失敗をきっかけに評判を落とし、今では細々とした護衛で生計を立てています。一方、伝説的な殺し屋ダリウス・キンケイドは、国際裁判で独裁者の罪を立証する重要な証人となることを条件に、刑務所から護送される立場にありました。ところが護送の途上で襲撃を受け、インターポールの若手捜査官アメリアは窮地に陥ります。そこで彼女は元恋人であるマイケルに助けを求め、しぶしぶながら彼は任務を引き受けることになります。正反対の性格と立場を持つ二人は、幾度となく衝突しながらも目的地ハーグを目指すことになるのです。
ここからネタバレありです
マイケルとキンケイドは互いの因縁を抱えながらも、デュコビッチ配下の刺客たちから逃れるため共闘を余儀なくされます。用心深く計画的なマイケルと、直感で動き大胆不敵なキンケイド。性格は正反対ですが、次第に互いの力量を認め合い、敵に立ち向かうことで奇妙な信頼関係が芽生えていきます。アムステルダムでの激しい銃撃戦やカーチェイスを経て、二人は裁判所へたどり着き、キンケイドの証言によってデュコビッチの有罪は確実となります。しかしデュコビッチは最後の抵抗としてテロを仕掛け、混乱の中でマイケルを銃撃します。瀕死の相棒を前に激怒したキンケイドは、単身でデュコビッチを追い詰め、壮絶な末に彼を葬り去ります。重傷を負ったものの生き延びたマイケルとキンケイドは、互いに無事を喜び合い、犬猿の仲から奇妙な友情へと関係を変えていきます。物語は、脱獄して妻ソニアと再会するキンケイドの姿で締めくくられます。
考察と感想
『ヒットマンズ・ボディガード』は、アクションとコメディのバランスが絶妙な作品だ。俺は最初、ただのドタバタ系のアクションコメディかと思って観始めたが、ライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンの掛け合いを見ているうちに、単なるドタバタ以上のものを感じた。そこには男同士の矛盾だらけの友情と、正義と悪の境界を揺さぶるような面白さが潜んでいた。
マイケル・ブライスはプライドの高い元トップのボディガードで、失敗によって零落している。自分の仕事に徹底的にこだわり、規律や手順を守ることに価値を置くタイプだ。一方のダリウス・キンケイドは、暗殺という裏社会の極みを生き抜いてきた人間で、状況を大胆にひっくり返すことを楽しむような豪快さを持っている。真逆の二人が協力しなければならない状況に放り込まれることで、物語はスリルと笑いを同時に生み出していく。
俺が特に印象に残ったのは、アムステルダムでのアクションシーンだ。狭い街中を縦横無尽に駆け回るボートや車、街角での銃撃戦。ハリウッド的な派手さを維持しつつも、ただの見せ場に終わらず二人の関係性を強調する場になっている。マイケルは慎重に計画を立てようとするが、キンケイドは「考えるより撃て」というスタイルで突っ込んでいく。結果的に命を救い合うことで、互いに相手の生き方を認めざるを得なくなる。この過程がとても人間臭く、観客としては二人の距離が縮まる瞬間を目撃しているようで心地よかった。
物語の本筋は、ベラルーシの独裁者を法廷で裁くために証人を護送するという王道のプロットだ。だが、そこに個人的な因縁や愛情関係が絡み合うことで、単なる護送劇以上の厚みを持たせている。マイケルは元恋人アメリアへの未練を抱えつつ、自分の失敗を引きずっている。キンケイドは妻ソニアを心から愛し、そのためなら刑務所すら脱出する覚悟を持っている。二人を突き動かすのはプロとしての誇りであり、愛する人を守りたいという気持ちだ。この対比が実に鮮やかで、物語をエモーショナルにしている。
また、俺はこの映画のユーモアの効かせ方に感心した。普通、命がけの護送というシチュエーションならシリアスに徹することが多い。しかし本作では、死と隣り合わせの状況でもキャラクターが軽口を叩き続ける。ライアン・レイノルズの皮肉交じりの言い回しと、サミュエル・L・ジャクソンの豪快な罵声の応酬は、観ているこちらを笑わせながらも緊張感を解かない。コメディで笑わせながらアクションの迫力を削がないという難しいバランスを、この二人の演技力が見事に成立させている。
考察すると、この映画の核心は「プロフェッショナルとは何か」という問いにあると思う。マイケルは規律を守ることがプロだと信じ、キンケイドは結果を出すことがプロだと考えている。どちらも一理あるが、二人が共闘する中で「人を守るために命を張る」ことこそが真のプロであると互いに学んでいく。だからこそ、最後に命を賭してデュコビッチに立ち向かう姿に説得力があるのだ。
さらに、俺個人としてはこの映画が提示する「愛のかたち」にも惹かれた。マイケルはアメリアとの復縁にこだわり、キンケイドはソニアへの愛を隠さない。二人とも愛する女性の存在が自分の軸を形づくっている。命を懸けた戦いの中で「誰のために生きるのか」が浮き彫りになる展開は、単なるバディムービーを超えた感情の深みを与えている。
総じて、『ヒットマンズ・ボディガード』は王道的なアクション映画のフォーマットを踏襲しながら、キャラクターの個性と掛け合いで独自の魅力を作り上げている作品だ。俺にとっては、笑いながらも「人を守るとはどういうことか」「愛する人を支えるとはどういうことか」を考えさせられる一本だった。表面的には派手なアクションとギャグに満ちているが、その裏には不器用な男たちの生き様が刻まれている。そうした部分にこそ、この映画の真価があると俺は思う。
モテ男視点での考察
この映画がモテにつながるのは、マイケルとキンケイドが「守る相手」を明確にしているからだ。どれほど不器用でも、命を張って女性を守ろうとする姿勢が本物の魅力になる。モテる男は派手なアクションやユーモアよりも、「誰のために生きるか」を示せるかどうかだ。女性は強さより誠実さに惹かれる。つまり、相手を笑わせ、守り抜き、信じる心を持つ男こそ、最もモテる存在なのだ。
教訓
モテる男は、ユーモアで笑わせつつも命を懸けて守る覚悟を示す。
評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 17 / 20 | コンビにこの二人、特にサミュエル・L・ジャクソンがやっているのは驚いた。 |
演技 | 18 / 20 | コメディやってる感が強く、二人はノリノリ。 |
映像・演出 | 18 / 20 | アクションが真面目にすごい。一見の価値あり。 |
感情の揺さぶり | 17 / 20 | そんなに感情が震えるようなことは無かったが、アメリカ人はこういう作品が好きというのは何となく感じた。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 18 / 20 | この面子でバディを組むのは唯一だろうと思った。 |
合計 | 88 / 100 | 凸凹コンビだからこそ観る者の感動や感情に当たるんだと思う。 |
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