【映画】『ベッキー、キレる』(2023年) 16歳の少女の怒り、それは地獄よりも恐ろしい | ネタバレあらすじと感想

アクション

🎥 作品情報

  • 原題:Becky
  • 公開年:2023年
  • 上映時間:119分
  • ジャンル:アクション、サバイバル、リベンジ
  • 視聴方法:Amazon Prime Video(配信時点)

◆キャスト

  • ベッキー:ルル・ウィルソン
  • ドミニク:ケヴィン・ジェームズ
  • ジェフ(父):ジョエル・マクヘイル
  • ケイラ:アマンダ・ブルゲル

📝 あらすじ(ネタバレなし)

母を亡くしたばかりの少女ベッキーは、父と山奥の別荘で静かに過ごす予定だった。しかし、そこに突然現れたのは脱獄囚の一団。目的不明の彼らは暴力的に屋敷を占拠し、家族の命を奪おうとする。恐怖の中、ベッキーは自ら立ち上がり、驚くべき知恵と残酷さで反撃を始める──。

⚠️ ネタバレありの展開

💭 考察と感想

『ベッキー、キレる』を観終えて、まず感じたのは「怒り」の爆発力だった。タイトルだけ見ると、ふざけた青春映画かと思ってしまいそうになるけど、実際は全く違う。これはもう、完全に“血の報復劇”であり、感情を爆発させた一人の少女のサバイバル・リベンジムービーだ。正直、観ていて何度か顔をしかめるくらい容赦がない。にもかかわらず、なぜか目を離せない。それは主人公ベッキーの怒りに、どこか共感してしまうからかもしれない。

物語の核はシンプルで、家族を失った少女が犯人に復讐する──ただそれだけだ。にもかかわらず、そこに深みを感じさせるのは、やはりベッキーの描き方だと思う。彼女は最初から“戦う少女”として描かれているわけじゃない。いじめられても黙っている普通の子。だが、追い詰められた時、怒りを燃料に変えていく過程が非常にリアルで、その変化にグッと引き込まれた。

特に印象的だったのは、復讐の過程で彼女がまったく迷わない点だ。この映画では「少女は弱者」という前提がない。むしろ、冷静で残酷な手段を選ぶ様子に、敵役である大人たちの方が怯えていく。ルル・ウィルソンの無表情な演技がそれを支えていて、彼女の目線ひとつで空気が変わるのがすごい。感情が爆発する場面よりも、静かに怒りを溜めているシーンの方が恐ろしかった。

一方で、敵のリーダー・ドミニクを演じたケヴィン・ジェームズも、なかなか見ごたえがあった。普段はコメディの印象が強い彼が、あえて冷酷なネオナチ役に挑んでいるのは面白いし、そのギャップがベッキーの怒りをより際立たせていた。彼の存在が、単なる“悪党”ではなく“支配者”としての象徴にもなっていたことで、戦いの構図がより鮮明になった。

ストーリーに関しては、正直あらは多い。展開はかなり強引だし、犯人たちの行動にも「そんなバカな」と思う場面がある。だが、それを補って余りあるのがテンポと演出の勢い。観客に細かい理屈を考える暇を与えないまま、次々と衝撃的なシーンが連発される。ある意味で、理屈抜きに“怒りのカタルシス”を味わえる作品だ。

それにしても、ここまでダークで痛快な“少女映画”は珍しい。ベッキーのように、怒りを押し殺さず行動に移すキャラクターは、今の映画界でも数少ない気がする。俺はベッキーの行動を完全に肯定するわけではないけど、でも「怒ってもいい」と言ってくれる存在がいてもいいと思った。特に、現代社会では“怒り”を持つことすら許されない空気がある中で、ベッキーの行動はある種の“許可”のようにも感じられた。

最後に──これは間違いなく“ジャンル映画”だ。ストーリーの完成度よりも、キャラクターの熱量と映像の強さで押し切るタイプの作品だと思う。だからこそ、観終わった後に何かが残る。派手さと痛み、怒りと悲しみ、それらすべてが混ざり合った一本として、俺の記憶にしっかりと刻まれた。観る人は選ぶかもしれないけど、俺はこういう“突き抜けた作品”が、やっぱり好きだ。

📌 この映画から得られる教訓

  • 怒りは時に人を超人的にするが、失うものも大きい。
  • 「子どもだから」と侮ってはいけない。極限下では本能が覚醒する。
  • トラウマは癒えるものではなく、形を変えて残る。

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