🔎 作品情報
- 監督前田哲
- 脚本橋本裕志
- 原作瀬尾まいこ
- 出演永野芽郁、田中圭、岡田健史、石原さとみ、大森南朋 他
- 配給ワーナー・ブラザース映画
- 公開2021年
- 上映時間137分
- 製作国日本
- ジャンルヒューマンドラマ感動ドラマ
- 視聴ツールAmazon Prime/自室モニター
※「脚本」は一般に橋本裕志表記。配給はワーナー・ブラザース映画です。
🎭 キャスト
- 森宮優子:永野芽郁 代表作『君は月夜に光り輝く』(2019年)
- 梨花:石原さとみ 代表作『シン・ゴジラ』(2016年)
- 森宮壮介:田中圭 代表作『あなたの番です 劇場版』(2021年)
- 早瀬賢人:岡田健史 代表作『中学聖日記』(2018年/ドラマ)
- 水戸秀平:大森南朋 代表作『ハゲタカ』(2007年/ドラマ)
🎬 あらすじ
高校3年生の森宮優子(永野芽郁)は、優しい父・森宮壮介(田中圭)と2人で静かに暮らしています。どんな時も笑顔を絶やさない優子は、周囲から「明るい子」と思われていますが、その笑顔の裏には“泣くことが苦手な自分”を隠していました。卒業式ではピアノ伴奏を任されるものの、自信がなく不安でいっぱい。それでも彼女は懸命に練習を続けます。クラスメートの早瀬賢人(岡田健史)はそんな優子を静かに見守り、少しずつ惹かれていきます。優子の家庭は一見穏やかですが、過去には複雑な家族の歴史がありました。実の母・梨花(石原さとみ)と暮らしていた幼少期、そして父親が何度も変わるたびに名字も変わった優子。けれどそのたびに、彼女の周囲には“優しい誰か”がいてくれたのです。これは、血のつながりよりも「想い」で結ばれた家族の物語。誰かが誰かに愛を託し、形を変えながら続いていく——そんな“人生のバトン”を描いた感動のヒューマンドラマです。
ここからネタバレありです
幼い頃の優子は「みぃたん」と呼ばれ、母・梨花と二人暮らしをしていました。梨花は一見気まぐれで奔放な女性に見えますが、実は娘を幸せにするために人生をかけて行動していました。ピアノを弾きたいという娘の願いを叶えるため、梨花はピアノのある家に嫁ぎ、次に娘を安心して育ててくれる父親を探しながら、環境を整えていったのです。その後、梨花は森宮壮介と再婚しますが、彼に優子を託して姿を消します。月日が流れ、高校生となった優子は卒業式でのピアノ演奏を見事に成功させ、彼女を支え続けた壮介に深く感謝するのでした。やがて恋人の賢人と結婚を決意した優子のもとに、梨花の訃報が届きます。実は梨花は重い病を隠しながら、娘の幸せを願い続けていたのです。式の日、3人の父が一堂に会し、壊れそうで強い“親子の愛”が静かに繋がっていく——。その瞬間、優子は確かに感じました。自分の人生には、確かに愛という“バトン”が渡され続けてきたのだと。
🎞 考察と感想
『そして、バトンは渡された』を観て、最初に感じたのは「家族」という言葉の重さと、そこに潜む“やさしさの形”の多様さだった。血のつながりがなくても、確かに心の奥でつながっている。そう思わせてくれる物語だった。特に印象的なのは、石原さとみ演じる梨花の存在だ。最初は奔放で自由気ままな母親に見えるが、物語が進むにつれて、彼女がどれだけ深く娘を愛していたかが分かる。自分の命が長くないことを知りながら、娘の未来を考え、最良の“父親”を次々に選んでいく。その生き方は、常識的には理解されにくいが、母としての本能と愛の極致にある。愛を与えるというより、託していく覚悟。そこにこの映画のタイトルの意味が凝縮されている気がした。
永野芽郁が演じる優子は、笑顔の奥に切なさを隠している。泣くことが苦手で、笑うことで自分を守る。彼女の笑顔は無邪気さではなく、悲しみを飲み込むための防波堤のようだった。そんな優子がピアノを弾くシーンは、音のひとつひとつに「これまでの人生」が乗っているようで、観ている自分まで静かに心を震わせられた。永野芽郁の演技は清らかで、それでいて感情の振れ幅が大きく、観る者の共感を引き出す力がある。涙を見せないことで、逆にこちらの涙腺を刺激するという不思議な演技だった。
一方で、田中圭演じる壮介の存在もこの映画の支柱だった。血のつながりがなくても、優子を本気で守ろうとする。その優しさは、静かで堅実で、まさに“父の理想像”だった。梨花が彼を最後に選んだ理由が、観終わったあとにははっきりと理解できた。彼は愛を押し付けることなく、そっと隣に立ち続ける男。娘に「無理に笑わなくていい」と言ってくれる存在。そういう言葉が、どれほど人を救うのかを教えてくれた。
物語の終盤、梨花の真意が明かされる場面は圧巻だった。彼女の行動のすべてが、娘の未来のためだったという真実。表面的には“母親失格”に見えても、深層では“究極の母親”だった。死を覚悟して、自分がいなくなっても娘が幸せに生きられるように仕組んでいた。その発想は、命のリレーそのものであり、人間の愛の極みだと思う。タイトルの「バトン」という言葉は、単に家族間の引き継ぎではなく、“愛と責任の継承”を意味していたのだ。
観終わった後の余韻が本当に長い。家族というものを「血」ではなく「想い」で捉え直させるこの映画は、派手さはないけれど、確実に心の奥を温めてくれる。涙を誘う感動作というよりも、“優しさが静かに沁みる作品”だった。誰かのために何かを手放す勇気、自分の幸せより他人の未来を信じる強さ——そうした人間の美しさが、映像と音楽、そして演技のすべてに流れている。
個人的には、SHE’Sの「Chained」が流れるエンドロールで心が一気に解けた。あの歌詞がまるで梨花の手紙のようで、涙が止まらなかった。バトンを渡す側も、受け取る側も、どちらも幸せであってほしい。そう願いたくなる映画だった。
『そして、バトンは渡された』というタイトルには、“愛の循環”という意味が込められている。誰かがいなくなっても、想いは次の誰かに受け継がれていく。人生はそうやって繋がっていくのだと、静かに教えてくれる。観終わったあと、自分の過去の人間関係や、親との時間を思い出してしまう。あの時の優しさも、厳しさも、全部バトンだったのかもしれない。そう思うと、少しだけ生きることが優しく感じられた。これは単なる家族ドラマではなく、“人が人を想う力”そのものを描いた映画だった。
💬 モテ男目線での考察
この映画の本質は“受け取る優しさ”にある。モテる男って、結局「自分が何を与えるか」よりも「相手の想いをちゃんと受け取れるか」で決まるんだよな。森宮壮介のように、焦らず見守れる男は強い。優子のように笑顔で生きる女性を、無理に変えようとせず、寄り添える人間でありたい。愛って、派手な言葉よりも静かな行動で伝わる。この映画は、モテる男の“理想の優しさ”を教えてくれる作品だと思った。

momoko
「泣けるわ。。。石原さとみさんが凄い!」

yoribou
「俺はやっぱり永野芽郁かな。良い役者さんだなー。」
🧭 教訓・学び
本当にモテる人間とは、愛を与えるよりも、相手の想いを丁寧に受け取れる“優しさのバトン”を持っている人だ。
🎥 似ているテイストの作品
-
『PLAN75』(2022年/日本)
老いや孤独、生きる尊厳を静かに問いかけるヒューマンドラマ。
社会の中で見過ごされがちな「優しさ」や「選択の尊重」を描く点が、『そして、バトンは渡された』と共鳴する。 -
『渇水』(2023年/日本)
無関心な社会の中で、他人を思いやることの意味を問い直す作品。
静かな演出と人間の温かさが、血のつながりを超えた絆を描く本作の余韻と重なる。
⭐ 評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 19 / 20 | 血のつながりを超えて愛が受け継がれていく構成が美しい。母から娘へ、そして父たちへと繋がる“愛のリレー”が自然で心に響く。 |
演技 | 20 / 20 | 永野芽郁の繊細な表情、石原さとみの慈愛と切なさ、田中圭の静かな包容力。全員が感情を抑えつつも、深い愛情をリアルに伝えている。 |
映像・演出 | 18 / 20 | 過剰な演出を避け、光と影、色調で感情を描く演出が秀逸。ピアノ演奏や家族の場面転換が、静かな余韻を生み出している。 |
感情の揺さぶり | 19 / 20 | 母の真意が明かされるラストで涙が溢れる。与えられる愛より、託される愛の重さを感じる構成が見事で、心が優しく満たされる。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 19 / 20 | “家族とは何か”という普遍的テーマを、愛のリレーという比喩で新たに描き出した点が秀逸。邦画らしい温もりと哲学を併せ持つ。 |
合計 | 95 / 100 | 静かで深い愛が世代を超えて受け継がれていく——。観終えたあと、誰もが自分の“バトン”を思い出す温かな感動作。 |
🎁 子どもの“ちょっとオシャレ”をバトンに。お出かけ・発表会・記念日に。
『そして、バトンは渡された』は、想いが受け継がれる物語。
記念日やお出かけにさりげなく写真映えする小物をひとつ足すだけで、家族の記録がもっと素敵に残せます。
- やわらか素材で持ち歩きやすいぬいぐるみ
- 式典・発表会にも合う上品カラーの小物
- 写真に映えるワンポイント(リボン・くま・星)
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