◆映画『フィフス・ウエイブ』の作品情報
- 【原題】The 5th Wave
- 【監督】J・ブレイクソン
- 【脚本】スザンナ・グラント、アキヴァ・ゴールズマン、ジェフ・ピンクナー
- 【原作】リック・ヤンシー
- 【出演】クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン 他
- 【配給】コロンビア・ピクチャーズ、ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント
- 【公開】2016年
- 【上映時間】112分
- 【製作国】アメリカ
- 【ジャンル】SF、スリラー、アクション、サバイバル
- 【視聴ツール】Netflix、吹替、自室モニター、Anker Soundcore Liberty 5
◆キャスト
- キャシー・サリヴァン:クロエ・グレース・モレッツ 代表作『キック・アス』(2010年)
- ベン・パリッシュ(ゾンビ):ニック・ロビンソン 代表作『ジュラシック・ワールド』(2015年)
- エヴァン・ウォーカー:アレックス・ロー 代表作『リングス』(2017年)
- ヴォーシュ大佐:リーヴ・シュレイバー 代表作『スポットライト』(2015年)
- リンガー:マイカ・モンロー 代表作『イット・フォローズ』(2014年)
◆ネタバレあらすじ
ある日、巨大な宇宙船が地球上空に現れ、人類は未知の存在“アザーズ”に怯えながら日常を失っていきます。彼らは直接攻撃するのではなく、段階的に「波」と呼ばれる手段で地球を追い詰めていきます。第一波は大規模な電子パルスによる文明の停止、第二波は地殻変動による大津波、第三波は鳥インフルエンザを利用した疫病。そして、第四波では“人間に寄生する侵略”が始まり、人類は誰を信じて良いのか分からなくなります。
高校生のキャシーは、混乱の中で母を失い、さらに軍に保護されるはずだった弟サムとも離ればなれになってしまいます。唯一の家族である弟を救うため、キャシーは拳銃を手に荒廃した世界を生き抜こうとします。一方、同じ高校に通っていた少年ベンは軍の訓練施設へ連れていかれ、“人類を守るため”の戦闘要員として育成されていきます。
迫る第五波が何を意味するのか分からないまま、キャシーは弟を追って危険な地帯へ踏み込み、自分を救った青年エヴァンとの出会いによって大きな選択を迫られていきます。
ここからネタバレありです。
▼ 後半(ネタバレあり)
キャシーは移動中に負傷し、青年エヴァンに助けられます。彼は優しく協力的ですが、どこか秘密を抱えているようで、キャシーは警戒心を持ちながらも弟を救うため彼と行動を共にします。一方その頃、軍の訓練施設にいるベンたち子供部隊は、特殊なゴーグルを使って“寄生された人間”を見分ける訓練を受けていました。しかし仲間の少女リンガーが疑いを持ち検査装置を外したことで、恐るべき事実が明らかになります。軍こそが“アザーズ”に乗っ取られており、寄生を見分けるという説明は嘘だったのです。つまり第五波とは、“子供たちを兵士にして、人類を襲わせる計画”でした。
キャシーは基地に潜入し、偶然ベンと再会します。ベンは真実に気づき、キャシーと共にサムを救おうと決意します。そこにエヴァンが現れ、彼こそが潜伏していたアザーズの一員であったことを明かします。しかしキャシーへの想いから人類側に立ち、基地を爆破してキャシーたちの脱出を助けます。
キャシー、ベン、そしてサムは辛くも生き延び、崩壊した世界の中で“まだ終わりではない”という希望を胸に前へ進んでいくのでした。
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◆考察と感想
弟サムと離れ離れになってしまったキャシー。ここから彼女の“弟を取り戻す旅”が始まる。
【モテ男目線の考察】
キャシーの行動原理は“守りたい存在がいる男の本能”に近い。モテ男は、ただ強いだけではなく、「誰を守るか」を自分で選び、その決意で行動する。ベンもエヴァンもキャシーを見て心を動かすが、共通しているのは“嘘のない想い”だ。モテる男は外見よりも、この“揺るぎない軸”を持っている。周りが疑いに染まっても、自分だけは信じたい人を信じ抜く。それが最終的に女性の心を動かす。『フィフス・ウェイブ』は、モテ男の条件を静かに教えてくれる作品だ。
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◆教訓、学び
混乱の世界でも、一人だけは信じ抜く――その揺るぎない覚悟こそが、最もモテる男の条件だ。
◆似ているテイストの作品
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『アイ・アム・レジェンド』(2007年/アメリカ)
人類が崩壊した世界で、“感染”と“孤独”に立ち向かう生存者の物語。
文明崩壊後のサバイバルと、人間不信の恐怖は『フィフス・ウェイブ』と非常に近い。 -
『すべての終わり』(2018年/アメリカ)
原因不明の大災害の中、人々が疑心暗鬼に陥り暴走していくサバイバルスリラー。
“何が起きているのか分からない恐怖”と“人間同士の危険性”が本作と強く響き合う。
◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 19 / 20 |
五つの“波”で人類を追い詰める異星人の侵略設定が分かりやすく、サバイバルとミステリーの両方を楽しめる構成だ。 家族から引き離されたキャシーと、軍に組み込まれたベンという二つの視点が交互に進むことで、物語にリズムとスケール感が生まれている。 「第五波=子どもたちを兵士として利用する計画」という真相もテーマ性があり、終盤まで引っ張る力を持ったストーリーだと言える。 |
| 演技 | 18 / 20 |
クロエ・グレース・モレッツは、普通の女子高生が“弟を救うために戦う姉”へと変わっていく過程を自然体で演じており、作品の感情面をしっかり支えている。 ニック・ロビンソンも、罪悪感と責任感の板挟みになるベンの葛藤を丁寧に表現し、若い兵士たちの不安を体現している。 リーヴ・シュレイバーやマイカ・モンローら脇を固めるキャストも安定していて、全体として安心して観られる演技レベルだ。 |
| 映像・演出 | 19 / 20 |
第一波の停電、第二波の津波、第三波の感染と、段階的に地球が追い詰められていくビジュアルが印象的で、世界の崩壊を視覚的に理解しやすい。 荒廃した街並みや軍の基地内部、夜の森でのサバイバルなど、ロケーションの変化もテンポ良く、最後まで飽きさせない。 超大作級のスケールというよりは中規模のSFとしてバランスよくまとまっており、若者向け作品としては十分ハイクオリティな映像だ。 |
| 感情の揺さぶり | 19 / 20 |
母の死、父との別れ、そして弟サムとの強制的な離別と、序盤からキャシーに襲いかかる喪失体験が重く響く。 ベンが“人類を守るため”と信じて引き金を引いた行為が、後に大きな罪悪感へと変わる展開も切なく、若い兵士たちの心の揺れを感じさせる。 エヴァンの正体が明かされてからの関係性の変化や、ラストでキャシーたちがかろうじて希望をつなぐ姿も、胸の奥を静かに揺さぶる。 |
| オリジナリティ・テーマ性 | 19 / 20 |
「直接攻撃ではなく、段階的な波状攻撃で人類を追い詰める」というコンセプトがユニークで、侵略SFとしてしっかり差別化されている。 とくに“第五波=人間同士を戦わせる計画”というアイデアは、「最大の脅威は人間不信そのもの」というテーマを強く印象づける。 YA小説原作らしく、ティーン世代の視点から“誰を信じるか”“自分はどう生きるか”を描いた点も現代的で、考えさせられる作品になっている。 |
| 合計 | 94 / 100 |
異星人の侵略という王道SF設定に、家族愛と人間不信のドラマを乗せたサバイバル青春映画。 圧倒的な革新性こそないが、物語・演技・映像・テーマ性のバランスが高水準でまとまっており、ジャンル作として十分に満足度の高い一本だ。 「信じる相手を選ぶこと」の重さと、若者たちが希望を手放さない姿が心に残る作品です。 |
◆総括
『フィフス・ウェイブ』は、“段階的に人類を追い詰める侵略”という設定を軸に、サバイバルドラマ・青春群像・ミステリーを融合したYA系SF作品だ。第一〜第四波の破壊的要素で世界の崩壊を一気に描きつつ、物語の本質は第五波=“人間不信を利用した侵略”に置かれている。つまり、真に恐ろしいのはアザーズそのものではなく、「疑いあうことで自ら破滅していく人間社会」だという構図である。
主人公キャシーは特別な能力を持つわけでもなく、軍の訓練を受けた兵士でもない。ただの女子高生が、家族を失い、弟を救うために“選ばれざる者”として荒廃した世界を歩む。この“普通の少女の視点”こそが作品の強みであり、観客を感情的に物語へ引き込む。対になるベンのパートでは、若者が軍に組み込まれ、信じていたものが虚構だったと知る絶望が描かれ、価値観の揺らぎが作品に深みを与えている。キャシー、ベン、そしてエヴァンという三者三様の立場は、世界の混乱を多面的に映し出している。
映像面では、波状攻撃のスケール感とサバイバルの臨場感のバランスが良く、中規模作品として高水準の仕上がり。とくに第二波の津波シーンや荒廃した都市の描写は、世界崩壊の説得力を強めている。テーマとしては「誰を信じるか」「自分は何を守るか」という普遍的な問いが軸にあり、YA作品でありながらも大人が観ても響く“信頼と裏切りの物語”になっている。
総じて、本作は破壊描写の派手さよりも、“信頼の崩壊が人類最大のリスクになる”という静かな恐怖を描いた作品であり、SFの装いの裏に思想性とメッセージ性をしっかり持つ。キャシーたちが不安と喪失に飲まれながらも最後に希望をつかむ姿は、ジャンル映画としての爽快感も残しつつ、観る者に「信じることの価値」を問いかけてくる。
派手さよりもテーマ性、説明よりも感情、侵略よりも“人間の弱さと強さ”。そのバランスが本作の魅力であり、“次の波が来る前に自分は何を選ぶのか”という問いを静かに心に残す作品となっている。
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