◆【映画】『ブラックアダム』の作品情報
- 【原題】 Black Adam
- 【監督】 ジャウム・コレット=セラ
- 【脚本】 アダム・スティキエル、ロリー・ヘインズ、ソーラブ・ノシルヴァーニ
- 【原作】 オットー・バインダー、C・C・ベック『ブラックアダム』
- 【製作・出演】 ドウェイン・ジョンソン
- 【出演】 サラ・シャヒ、オルディス・ホッジ、ノア・センティネオ 他
- 【配給】 ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
- 【公開】 2022年
- 【上映時間】 125分
- 【製作国】 アメリカ
- 【ジャンル】 アクション、スーパーヒーロー、アメコミ映画(DC)
- 【視聴ツール】 U-NEXT、吹替、自室モニター、Anker Soundcore AeroClip
◆キャスト
- テス・アダム/ブラックアダム:ドウェイン・ジョンソン
代表作『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019) - カーター・ホール/ホークマン:オルディス・ホッジ
代表作『インビジブル・マン』(2020) - ケント・ネルソン/ドクター・フェイト:ピアース・ブロスナン
代表作『007/ゴールデンアイ』(1995) - アトム・スマッシャー:ノア・センティネオ
代表作『好きだった君へ』(2018) - アドリアナ・トマズ:サラ・シャヒ
代表作『ブラックリスト』(2013〜)
◆ネタバレあらすじ
【あらすじ(ネタバレなし)】
古代カーンダックに伝わる伝説の戦士ブラックアダム。5000年前、圧政に苦しむ人々を救ったと語られるその存在は、やがて歴史から姿を消し、神話として語り継がれてきました。
現代のカーンダックは、インターギャングと呼ばれる武装組織に支配され、市民は自由を奪われた生活を強いられています。考古学者アドリアナは、国を救う鍵とされる“サバックの王冠”を探る中で、封印されていたブラックアダムを偶然復活させてしまいます。
目覚めたブラックアダムは、圧倒的な力と破壊的な戦闘力でインターギャングを瞬時に撃退。しかし、その苛烈で容赦ない戦いぶりはヒーローとは程遠く、国際社会からは「危険すぎる存在」として警戒されます。
そこで彼の暴走を止めるため、スーパーヒーローチーム「JSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)」が派遣され、ホークマン、ドクター・フェイト、アトム・スマッシャー、サイクロンの4名がカーンダックに降り立ちます。
彼らはブラックアダムと対峙し、その力の裏に隠された過去と悲しみを知ることになります。果たしてブラックアダムは破壊神なのか、それとも救済者なのか――物語は、彼の“正義”が世界にもたらす影響を描きながら動き出します。
ここからネタバレありです。
▼ ネタバレあらすじ
アドリアナが探し求めていた“サバックの王冠”を狙っていたのは、味方に見せかけていた男イシュマエルでした。黒幕である彼は、アドリアナの息子アモンを誘拐し王冠を奪取しようとします。ブラックアダムは圧倒的な力で彼を倒しますが、勝利の裏で彼の過去が明らかになります。
実は、かつての伝説の戦士はブラックアダム本人ではなく、彼の息子フルートでした。フルートは魔術師シャザムに選ばれた真の勇者でしたが、父を救うために自らの力をアダムへ移し、その直後に兵士に殺されてしまいます。息子の死に怒り狂ったアダムは暴走し、国を破壊した罪で5000年間封印されていたのです。
一方、イシュマエルは死ぬことで“サバック”として蘇る条件を満たし、悪魔の力を得て復活します。JSAのドクター・フェイトは未来視で自身の死を悟りながらも、サバック封じのため命を懸けて戦います。フェイトの犠牲により解放されたブラックアダムは再び戦場に戻り、ホークマンと共闘してサバックを撃破します。
最後にアダムは「王ではなく、守護者として生きる」と宣言し、“ブラックアダム”としてカーンダックを守る道を選びます。ミッドクレジットではスーパーマンが登場し、二人の対話が未来への布石として描かれます。
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◆考察と感想
『ブラックアダム』は、DC映画の中でも明確に “王道ヒーローの枠を外した” 作品だと感じた。普通のヒーロー映画が「成長」や「葛藤」を通して正義に目覚めていく流れを描くのに対し、この作品はスタート地点からして違う。主人公はそもそも“ヒーローになる気がない”。むしろ自分を破壊神と認識し、力をふるうことへの迷いさえほとんどない。ここがまず面白い。

ドウェイン・ジョンソン演じるテス・アダム。尋常でないくらい強い。
そして、ブラックアダムの過去が明かされるまでの構成が巧妙だ。観客は最初、彼を“古代に選ばれた救世主の生まれ変わり”のように受け止める。しかし、息子フルートこそが真の勇者で、アダムはその怒りによって暴走しただけの存在だったという真実が、中盤以降のドラマを大きく揺さぶる。個人的にはこの“勇者すり替え”の真相が作品の芯になっていると思った。息子に命を託され、それを守れなかった罪悪感。その後悔と喪失が、5000年の時を超えてアダムに影を落としている。彼の破壊的な振る舞いは、ただの暴力ではなく、喪ったものの大きさを示す“嘆き”のようにも見える。
JSAが登場すると作品の空気は一気にヒーロー映画らしくなるが、ここでも軸はあくまでアダムの孤独だ。ホークマンとの衝突は、価値観のぶつかり合いであり、ヒーローであることの意味そのものを問う対比にもなっていた。ホークマンは“正義にはルールが必要だ”と信じ、アダムは“力は目的を果たすために使えばいい”と信じている。この対立は、単なる善悪の枠を超えていて、どちらも完全に間違っているとは言えない。だからこそ、アダムの立ち位置が最後まで揺れ続け、観客も“この男をどう捉えるべきか”を試される。

テス・アダムの力はスーパーマンにも匹敵する。空も飛べて、動きが異常に速い。
個人的に特に印象に残ったのは、ドクター・フェイトの存在だ。彼は未来が見えるがゆえに、避けられない運命に対する諦観と優しさが共存している。アダムに対しても、JSAの中で最初に“彼は怪物ではない”と感じ取っていたのはフェイトだろう。彼の犠牲はストーリー上の大きなターニングポイントであり、アダムが再び立ち上がる理由として十分に胸を打った。
サバック戦は、視覚的にも派手で、DCらしい重厚な画づくりが全開だ。アダムの強さが振り切れているので、最終決戦に“互角の敵”が必要だったことは理解できるが、悪魔サバックはややテンプレ感が強い。ただし、アダムが「王にはならない。守護者になる」と宣言する流れは綺麗にまとまっていて、キャラクターとしての方向性がはっきりした瞬間だった。彼はヒーローではない。それでも国と市民を守る存在であることを選んだ。その“不完全さ”こそ、ブラックアダムの魅力だと感じる。
興行的には好調とは言えず、批評家からの評価も割れているが、俺としては“ヒーロー映画の予定調和に飽きてきた層”には刺さるタイプの作品だと思う。特にドウェイン・ジョンソンの圧倒的な存在感は唯一無二で、アクションの説得力は言うまでもない。むしろ「ヒーローものの枠に主人公を押し込めない」という姿勢がDCの強みであり、ブラックアダムというキャラに最も合っている。
ミッドクレジットのスーパーマン登場は胸が熱くなるサプライズだったが、これが実現しにくい未来になってしまったことを考えると、なおさらこの作品がDCの一つの転換点だったように思えてくる。
総じて、『ブラックアダム』は派手なアクションの裏に、深い喪失と怒り、そして“自分にとっての正義”を探す物語が隠れている。単純なヒーロー映画としてではなく、ブラックアダムというキャラクターの存在証明として観ると、より味わい深い作品だと感じた。
【モテ男的考察】
『ブラックアダム』をモテの観点で見るなら、“傷を抱えた男の魅力”がポイントだ。ブラックアダムは圧倒的な力を持ちながら、心の奥には息子を守れなかった後悔がある。強さと弱さ、その両方を見せる男は女性の共感を呼ぶし、守る対象がある男は自然と魅力が増す。さらに、最終的に“王ではなく守護者を選ぶ”姿勢は、権力ではなく責任を背負う男の覚悟。これはモテ男の本質だと思う。
◆教訓・学び
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◆評価
| 項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| ストーリー | 18 / 20 | 息子の犠牲と後悔を軸に、ブラックアダムの誕生と葛藤を描く構成は魅力的。神話的スケールと復讐劇のバランスが良く、アンチヒーローとしての存在理由に説得力がある。 |
| 演技 | 19 / 20 | ドウェイン・ジョンソンの圧倒的な存在感が作品を支え、寡黙な中に宿る怒りと哀しみがしっかり伝わる。ピアース・ブロスナン演じるフェイトの深みと気品も物語を格上げしている。 |
| 映像・演出 | 20 / 20 | VFXの迫力はDCEU随一。空中戦、雷撃、神々の力など、アクションとビジュアルの説得力は圧巻。ジャウム・コレット=セラ監督らしいダークかつ重厚な世界観が隅々まで貫かれている。 |
| 感情の揺さぶり | 18 / 20 | 息子フルートの真実、フェイトの覚悟など、ドラマを支える感情の核がしっかり存在。派手なアクションの中でも“父としての痛み”や“選ばれなかった者の苦悩”が胸を打つ。 |
| オリジナリティ・テーマ性 | 18 / 20 | 正義の押し付けを拒む主人公という構図が独創的。ヒーロー不在の国を守る“破壊神の正義”という逆説的テーマが新鮮で、DCEUの中でも独自色が際立つ。 |
| 合計 | 96 / 100 | アクションの爽快感とアンチヒーローの哀しみが融合した力強い一作。破壊と守護の狭間でもがくブラックアダムの姿が独特の魅力を放ち、DCEUに新たな軸を提示した作品。 |
◆総括
『ブラックアダム』は、“ヒーローになりたくない男”を主人公に据えることで、従来のDC映画ともマーベル映画とも違う独自の路線を切り開いた作品だと感じる。
物語の核にあるのは、破壊でも正義でもなく、「父として失ったものへの痛み」「怒りとの折り合い」という極めて人間的なテーマだ。派手なアクションが目立つ一方で、ブラックアダムという人物の背景と感情が丁寧に積み重ねられ、ただの最強キャラではなく“喪失を抱えた男”として描かれている。
また、JSAの加入によりヒーローチーム物としての面白さも加わり、とくにドクター・フェイトの存在が作品の精神的な支柱となっている。クライマックスのサバック戦は、DCEUらしい重厚なVFXと神話的スケールが融合し、視覚的満足度は非常に高い。
一方、ストーリー面では粗さや王道展開もあるが、それを補って余りあるのがドウェイン・ジョンソンの強烈なカリスマ性だ。彼が演じることで、ブラックアダムというキャラクターが“ただの暴走神”ではなく、“守護者になれる男”へと昇華されている。
総じて本作は、「正義か悪か」に縛られない、新時代のアンチヒーロー像を提示した作品であり、アクション映画としての爽快感と、父としての苦悩が同居する稀有な一本。DCEUの中でも異色だが、確かな存在感を残した作品だった。
◆映画の臨場感を“さらに”高めたいなら
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