【映画】『カマキリ』(2025年) Netflix独占配信 殺し屋業界の秩序崩壊、鎌を振るう新星が愛と誇りを懸けて挑む! | ネタバレあらすじと感想

Netflix

レビュー

『カマキリ』(2025年)

英題:Mantis/ジャンル:アクション、ノーワール/配信:Netflix
スピンオフ:『キル・ボクスン』世界観
上映時間:113分
製作国:韓国

◆映画『カマキリ』の作品情報

【英題】 Mantis
【監督・脚本】 イ・テソン
【脚本】 ヒョン・ソンヒョン
【出演】 イム・シワン、パク・ギョヨン、チョ・ウジン 他
【配給】 Netflix
【公開】 2025年
【上映時間】 113分
【製作国】 韓国
【ジャンル】 アクション、ノーワール
【視聴ツール】 Netflix、自室モニター

◆キャスト

イ・ハヌル(カマキリ):イム・シワン

代表作『ミセン-未生-』(2014年)
シン・ジェイ(トカゲ):パク・ギュヨン

代表作『Sweet Home -俺と世界の絶望-』(2020年)
トッコ爺:チョ・ウジン

代表作『キングメーカー 大統領を作った男』(2021年)
ベンジャミン・チョ:チェ・ヒョヌク

代表作『二十五、二十一』(2022年)
チャ・ミンギュ(MK代表):ソル・ギョング

代表作『1987、ある闘いの真実』(2017年)


◆ネタバレあらすじ

映画『カマキリ』(2025年)あらすじ

◆ネタバレなし(概略/約500字)

Netflix映画『カマキリ』は、イム・シワン演じる殺し屋ハヌルが主人公のアクション・クライム作品です。
舞台は前作『キル・ボクスン』で揺らいだ暗殺業界。大手組織MK社が弱体化し、群雄割拠の時代が訪れます。
長期休暇から韓国へ戻ったハヌルは、かつて“カマキリ”の異名をとるMKのエース暗殺者でした。彼は同期でありライバルの女性キラー・ジェイ(パク・ギュヨン)と手を組み、新しい“殺人請負会社”を設立します。
しかし、会社経営は想像以上に厳しく、依頼がなかなか舞い込まず苦戦続き。さらに業界では古参の師匠・トッコ爺(チョ・ウジン)が復帰し、秩序を取り戻そうと暗躍を始めます。
やがて業界の権力争いにハヌルとジェイも巻き込まれ、友情とライバル心が交錯するなかで、次第に二人の関係は緊張感を増していきます。
両手鎌や剣、トンファーといった多彩な武器を駆使したスタイリッシュな殺陣と、暗殺業界の“企業戦争”という独自の切り口が、本作の大きな見どころとなっています。

ここからネタバレアリです

ネタバレあらすじ(詳細/約500字)を開く

ハヌルは師匠のトッコからMK社に戻るよう誘われますが、弱体化した組織へ戻る気はありませんでした。彼はジェイや仲間と共に「カマキリ・カンパニー」を設立し、業界に新風を吹き込もうとします。
一方、ゲーム会社CEOベンジャミン・チョ(チェ・ヒョヌク)は殺し屋ビジネスに興味を持ち、ハヌルとジェイに接触。しかしその歪んだ欲望により、業界を混乱へと導きます。
やがてジェイはかつての弟分に襲われ、命懸けの戦いに突入。裏で糸を引いていたのはベンジャミンでした。
さらにトッコは「ジェイはお前に一生勝てない」と評された過去を暴露し、彼女のプライドに火をつけます。ジェイはハヌルに決闘を挑み、ハヌルはわざと負けを装いました。だが評判は地に落ち、会社も苦境に陥ります。
最終的にハヌル・ジェイ・トッコの三つ巴の決闘が勃発。ハヌルは本気を出しトッコを圧倒しますが、トッコを刺したのはジェイでした。
ジェイは涙ながらに剣を置き、二人は互いの距離を認め合う形で物語は幕を閉じます。ラストでは、ハヌルが依頼を受けてベンジャミンを葬り、業界に新たな秩序を築く決意を固めるのでした。

※ネタバレ部分はクリックで開閉できます。

◆考察と感想

本作、映画『カマキリ』を観終えてまず感じたのは、「韓国映画の暗殺者ユニバースが本格的に動き出した」という確信だ。前作『キル・ボクスン』は母性と仕事の二重構造を軸にした人間ドラマであり、アクション以上に“シングルマザーが暗殺者であることの哀愁”が心に残った。しかし『カマキリ』は明確にベクトルが違う。大手組織と中小企業のせめぎ合い、同期ライバルの愛憎、師匠との世代交代というテーマを前面に出し、より男性的な「競争」「プライド」「友情」の物語へと舵を切った作品だ。

イム・シワン演じるハヌルは、典型的な“表向きは頼りなさそうなのに実は最強”というキャラクターだ。殺し屋業界の元エースでありながら、ジェイの前ではわざと負けるフリをする。そこに彼の人間味が表れている。普通なら勝ちたい、認められたいと願うものだが、彼は自分が勝つことでジェイのプライドが傷つくのを避けた。これは単なる優しさではなく、彼女を思うあまりに自分を矮小化する青臭い恋情の表れだと感じた。俺からすると、この部分がもっとも興味深かった。強さを隠してでも相手を守りたいという気持ちは理解できるが、それが本当に相手のためになるのかという葛藤が最後まで突きつけられていた。

パク・ギュヨン演じるジェイは、ただのヒロインではなく、ハヌルと対等なライバルとして描かれていたのが良かった。彼女は“トカゲ”という異名を持ち、しなやかな剣技を武器にする。だがその根底にあるのは「ハヌルには勝てない」というコンプレックスだ。トッコ爺が「お前はハヌルに一生勝てない」と言った過去のエピソードが、彼女を追い詰めてきた。俺はこのシーンで「強さの基準を他人に委ねてしまう人間の弱さ」を突きつけられた気がした。ジェイは戦闘能力に劣るわけではなく、むしろ十分強い。問題は“勝てない相手”がいることをどう受け止めるかだ。結果的に彼女は最後、涙を流しながら剣を置いた。その姿は敗北ではなく、自己受容への一歩だったのだと思う。

チョ・ウジン演じるトッコ爺の存在も見逃せない。彼は業界の古参であり、ハヌルの師匠であり、時代の象徴だ。彼が復帰することで、古い掟と新しい世代の衝突が具体的な形となった。最終決戦で三者がMK本社で刃を交える場面は、単なるアクションではなく「世代交代」の儀式のように見えた。ハヌルがトッコを圧倒しながらも「引退するなら殺さない」と言った瞬間、俺は彼が本当に新しい世代を背負う存在なのだと確信した。だが、その直後にジェイがトッコを刺す。この展開には衝撃を受けた。師弟関係に決着をつけるのは弟子ではなくライバルだった、という皮肉な構造が、作品に深みを与えていた。

アクションに関して言えば、確かに『キル・ボクスン』の緊張感やハリウッド級の演出には及ばない部分もある。特に“二刀の鎌”を使ったカマキリの戦いはもっと掘り下げてほしかった。俺としては、武器の特性を活かしたバリエーションをもっと見せて欲しかったのが正直な感想だ。だが、イム・シワンとパク・ギュヨンのアクションが全て本人によるものであることを考えると、十分見応えがあった。過剰なVFXに頼らず、俳優の動きを中心に構成された点は評価できる。

また面白かったのは“殺し屋スタートアップ”という設定だ。起業と暗殺を同列に描くブラックユーモアは韓国映画ならではだろう。依頼が来ない、営業が必要だ、赤字続き…という台詞を聞きながら、俺は現実のベンチャー企業の苦労と重ねて笑ってしまった。そこに血塗られたアクションが乗るのだから、シュールなコントラストが強烈だった。

総じて『カマキリ』は、『キル・ボクスン』と比べるとテーマ性や完成度ではやや劣る印象を受けた。それでも「ユニバースの拡張」「世代交代」「友情とライバルの葛藤」という新しい視点を提示した点は大きな価値がある。俺にとっては、ただのスピンオフではなく、次に続く物語のための布石のような作品に思えた。できれば『キル・ボクスン2』にこのキャラクターたちを再登場させ、さらに大きな物語に繋げてほしい。ハヌルとジェイの関係性はまだ決着していない。二人の関係が友情に昇華するのか、それとも再び刃を交えるのか、その答えを観てみたいと思った。
(約1803字)

◆モテ男目線

ハヌルがジェイにわざと負けてプライドを守ろうとする姿は、モテの極意を示していると思った。強さや結果を誇示するのではなく、相手の心情に寄り添い“引き立て役”を演じられる男は確かに魅力的だ。だが同時に、過剰な優しさは相手を苦しめることもある。モテ男として大事なのは「支える」と「頼られる」のバランスだ。『カマキリ』は、愛する人にどう向き合うかの究極のケーススタディになっていた。

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momoko
「この男の人と女の人って仲良くできないなんてかわいそう。」

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yoribou
「この映画は、この二人が自分の気持ちとは裏腹に動かないとならないところが面白いんだよ。運命って言えばかわいそうな運命だね。」

◆教訓、学び

本当のモテは、自分の強さを誇示するよりも、相手のプライドを守れる余裕に宿る。

◆似ているテイストの作品

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 14 / 20 ライバル関係や師弟対決を軸に展開されるが、『キル・ボクスン』ほどの深みや新鮮味には欠けていた。
演技 15 / 20 イム・シワンとパク・ギュヨンの掛け合いは魅力的で、特にジェイの葛藤をパク・ギュヨンがしっかり体現していた。
映像・演出 14 / 20 鎌や剣を使った近接アクションはスタイリッシュだったが、ハリウッド級の迫力には一歩届かなかった。
感情の揺さぶり 13 / 20 友情とプライドの狭間で揺れる二人の関係は面白いが、観客の感情を強烈に揺さぶるまでは至らなかった。
オリジナリティ・テーマ性 14 / 20 「殺し屋スタートアップ」という発想はユニークで笑いも誘うが、ユニバース展開としてはやや物足りなさを感じた。
合計 70 / 100 ユニバース拡張として楽しめたが、前作の完成度と比べると物足りなさが残った。

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