【映画】『クロガラス3』(2021年) 裏切りの記憶と宿命の対決――新宿歌舞伎町で解決屋たちの真実が暴かれる | ネタバレあらすじと感想

サスペンス/スリラー

映画『クロガラス3』(2021年)レビュー・考察

◆作品情報

  • 監督・脚本:小南敏也
  • 出演:崎山つばさ、植田圭輔、渡部秀、越智ゆらの 他
  • 配給:エイベックス・ピクチャーズ
  • 公開:2021年
  • 上映時間:70分
  • 製作国:日本
  • ジャンル:サスペンス、クライム、アクション
  • 視聴ツール:Netflix、自室モニター

◆キャスト

  • 黒斗:崎山つばさ 代表作『ミュージカル 刀剣乱舞』(2016年〜舞台)
  • 悠哉:植田圭輔 代表作『舞台 鬼滅の刃』(2020年〜舞台)
  • 真柴理玖:高橋健介 代表作『ウルトラマンX』(2015年)
  • 権藤の秘書・宮村:渡部秀 代表作『仮面ライダーオーズ/OOO』(2010年)
  • 沙織:越智ゆらの 代表作『トモダチゲーム 劇場版FINAL』(2017年)

◆あらすじ

ネタバレなし

新宿・歌舞伎町を舞台に、裏社会のトラブル解決屋として暗躍する黒斗と悠哉の物語が描かれます。2人は「クロガラス」という屋号を掲げ、金さえ払えばどんな依頼でも請け負う冷徹かつ迅速なプロフェッショナルとして知られていました。夜の街に潜む人間模様や欲望、組織の思惑に巻き込まれながらも、彼らは独自の流儀で案件を解決してきたのです。そんなある日、かつて歌舞伎町の四天王の一角と呼ばれた男・真柴理玖が姿を現します。裏切りと失踪の過去を背負った理玖は「ホワイトナイト」という新たな解決屋を立ち上げ、街で再びのし上がろうとしていました。理玖と因縁を持つ悠哉は、彼の登場に激しく動揺します。さらに、政治家の愛人である女性・沙織が突如行方不明となり、クロガラスとホワイトナイトの双方に捜索依頼が舞い込みます。街に2つの解決屋は必要ないと考える裏社会の勢力が暗躍する中、2つのチームは同じ依頼を追うことになり、歌舞伎町の均衡は大きく揺らぎ始めるのです。

ここからネタバレあり

沙織の行方を追う中で、黒斗と悠哉は組織の影と複雑な人間関係に巻き込まれていきます。依頼を仕掛けたのは、歌舞伎町を牛耳る加奈井組の組長でした。彼は「街に2つの解決屋は不要」と考え、クロガラスとホワイトナイトを同じ依頼で競わせ、互いを潰し合わせようとしていたのです。やがて捜索の果てに明らかになるのは、沙織が単なる失踪者ではなく、権力者たちの欲望と陰謀の渦中で翻弄される存在であるという事実でした。理玖の野心と過去の裏切り、そして悠哉の心に刻まれた傷が再び抉られ、チーム内に亀裂が走ります。黒斗は冷静に事態を見極めようとする一方で、仲間を守る決意を固めます。最終的にクロガラスとホワイトナイトの対立は避けられず、街の覇権を巡る戦いが激化していきます。沙織の運命をめぐる真実が暴かれたとき、黒斗と悠哉は仲間として、そして「解決屋」としての存在意義を問われることになるのです。物語は、裏社会に生きる者の矜持と宿命が交錯する衝撃の展開へと進んでいきます。

◆考察と感想

本作、『クロガラス3』を観てまず強烈に感じたのは、このシリーズが単なる裏社会アクションではなく、人間の矛盾や絆を濃厚に描いた群像劇へと深化しているという点だ。新宿歌舞伎町という土地柄、表と裏が交差する街の空気感は、シリーズを通じて一貫した舞台装置である。しかし今作では、その舞台に新たに「ホワイトナイト」という解決屋が登場し、物語の構図がぐっと複雑化する。黒斗と悠哉の「クロガラス」と、真柴理玖率いる「ホワイトナイト」。同じ“解決屋”でありながら、過去の因縁や組織の思惑が交錯し、彼らがただの依頼請負人ではなく、街の均衡そのものを左右する存在になっていく様が面白い。

特に、真柴理玖というキャラクターの存在感は圧倒的だ。彼はかつて仲間を裏切り、金を持ち逃げしたという過去を持つ。その裏切りが、今作で悠哉の心を大きく揺さぶる。過去を忘れたいのに忘れられない、裏切られた怒りを抱えながらも冷静に立ち振る舞おうとする悠哉。その内面は観客に強い共感を呼ぶだろう。俺自身、過去に信頼していた人間に裏切られた経験があるからこそ、この心理描写が妙にリアルに響いた。信じた仲間が敵になる、あるいは再び同じ舞台に現れる。この緊張感は人間関係の縮図でもあり、舞台が裏社会でなくても通じる普遍性がある。

一方で黒斗は、常に冷静で俯瞰的な立場に立つ。彼は感情を爆発させることが少なく、状況を把握し、最終的な落とし所を見つける調停者のような存在だ。彼の静かな視線や台詞の間に込められた重みは、このシリーズが単なる暴力映画にとどまらず、“選択”と“覚悟”を描いていることを物語っている。黒斗と悠哉の対比は、シリーズの軸でありながら、今作でさらに強調されていたと感じる。

物語後半で浮かび上がる「沙織失踪の真相」も、単純な捜索劇にとどまらない。沙織は権力者の愛人であり、表の社会に属する存在のはずだが、いつの間にか裏社会の駒のように扱われていく。その姿は、社会の中で弱い立場に置かれた人間が、欲望と権力のせめぎ合いの中で翻弄される象徴だ。俺は彼女の描写に、現実社会の縮図を見た気がした。弱者はしばしば声を奪われ、物語の中心ではなく装置のように扱われる。それでも彼女の存在が物語を動かす鍵になっていることが、逆に皮肉で、胸に刺さった。

また、加奈井組組長が仕掛けた「2つの解決屋を競わせる」という構図は、シンプルながら見事な舞台設定だ。勝者だけが生き残り、敗者は排除される。裏社会に限らず、ビジネスの世界や人間関係にも通じる残酷なルールを、極端な形で提示している。俺はこの競争の構図に、社会で生き抜くための厳しさを重ねてしまった。結局、誰もが生き残るために戦い、選択を迫られる。そこに善悪の単純な二元論はなく、それぞれの正義と事情がある。だからこそ、観ている俺自身も「自分ならどちらの側につくのか」と考えさせられる。

演出面でも、夜の歌舞伎町を舞台にした映像美は圧巻だった。ネオンの明滅、薄暗い路地、クラブやホテルの影。そこに生きる人間たちの息遣いがリアルに伝わってくる。安っぽさがなく、都市の匿名性と狂騒が絶妙に切り取られていた。俺はこの映像表現があるからこそ、物語にぐっと没入できたと思う。

総じて『クロガラス3』は、裏社会の抗争劇でありながら、人間の感情の深淵を見つめさせる作品だった。特に「裏切りと再生」「信頼と疑念」「競争と共存」というテーマは、普遍的でありながら生々しく描かれている。俺は観終わったあと、ただのアクションや抗争ではなく、「人間とは何を信じ、どう生き抜くのか」という問いを突きつけられた気がした。シリーズの中でも屈指の重厚さを持つ一作であり、見応え十分だと言い切れる。

◆モテ男の考察

『クロガラス3』を観て感じたのは、モテる男は「仲間を裏切らない」という一点に尽きるってことだな。理玖のように金や野心のために人を裏切る男は、一瞬は派手に見えても最終的には信用を失う。逆に黒斗のように冷静で、仲間を守り抜く姿勢を持つ男は周囲から信頼される。女性はその安定感に惹かれるもんだ。結局モテは外見や派手さじゃなく、信頼と覚悟から生まれるんだなと実感したぜ。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 19 / 20 本作品は一応の締めになるはずだが、まだ続く雰囲気が有る中終わっていく。これからどうなる?
演技 18 / 20 2トップが舞台出身と言うだけあって、演技が演技に映らない。自然と観ていられる。
映像・演出 18 / 20 安い製作費だろうが、うまくストーリーが展開している。「ヤクザと言ったら、加奈井組」と言うくらいに組織名が1組しか出てこないのが、違和感がある。
感情の揺さぶり 17 / 20 何故、黒斗がこの生業をし始めたかが不明。悠哉が黒斗から誘われたのは分かったが。
オリジナリティ・テーマ性 17 / 20 オリジナリティやテーマ性は、闇金ウシジマくんが壁のようにあるので、どうやっても内容が似てくる。
合計 89 / 100 さて、「クロガラス4」がいつになるかが楽しみ。

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