【映画】『クロガラス1』(2019年) 歌舞伎町を舞台に、闇を生きる解決屋たちが織り成す緊迫のサバイバルドラマ | ネタバレあらすじと感想

サスペンス/スリラー

【映画】『クロガラス1』(2019年)レビュー・考察

歌舞伎町の闇に挑む「解決屋」たちの活躍を描いた、崎山つばさ初主演作。

◆作品情報

  • 監督・脚本:小南敏也
  • 出演:崎山つばさ、植田圭輔、最上もが、西川俊介 他
  • 配給:エイベックス・ピクチャーズ
  • 公開:2019年
  • 上映時間:80分
  • 製作国:日本
  • ジャンル:サスペンス、アクション、クライムドラマ
  • 視聴ツール:Netflix、自室モニター

◆キャスト

  • 黒斗:崎山つばさ 代表作『ミュージカル 刀剣乱舞』(2016年〜舞台)
  • 悠哉:植田圭輔 代表作『舞台 弱虫ペダル』(2012年〜舞台)
  • 日菜:最上もが 代表作『闇金ウシジマくん Part3』(2016年)
  • 和輝:西川俊介 代表作『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015年)
  • 舞衣:出口亜梨沙 代表作『不能犯』(2018年)

◆あらすじ

東京・新宿歌舞伎町。華やかなネオンの裏で、人々の欲望とトラブルが渦巻く街を舞台に物語は始まります。ホストクラブ「EDEL」で働き始めた新人ホスト・和輝は、少しずつ客を増やし、街に馴染んできた矢先に窮地に立たされます。常連客の舞衣が突然600万円ものツケを残したまま姿を消してしまったのです。店から突きつけられた条件は厳しく、「1週間以内に舞衣を見つけ出すか、ツケを肩代わりして支払え」というものでした。絶望的な状況の中、和輝は街で噂される存在に最後の望みを託します。それは「どんな依頼も解決する」と恐れられる解決屋──クロガラス。カリスマ的なリーダー黒斗と、行動派の悠哉を中心とした彼らの手に、和輝の運命は託されるのでした。

ここからネタバレありです

ネタバレあらすじを開く

和輝が依頼したクロガラスは、冷静沈着な黒斗と仲間想いの悠哉を中心に舞衣の行方を追います。報酬は300万円という高額でしたが、背に腹は代えられません。調査を進めるうちに、舞衣が単なる遊び人客ではなく、裏社会に関わる人物であることが次第に判明します。彼女の背後には違法な資金の流れや危険な組織があり、失踪の理由は想像以上に深刻でした。クロガラスと和輝は真相に近づくにつれて、命を狙われるほどの危険に巻き込まれていきます。舞衣が抱える秘密が暴かれたとき、和輝は自分自身の弱さや覚悟と向き合うことになります。そして黒斗や悠哉の信念や過去も垣間見え、解決屋としての彼らの生き様が鮮明に描かれていきます。果たして和輝は舞衣を救い、店の危機を脱することができるのか──最後まで緊張感が続く展開となっています。

◆考察と感想

本作、『クロガラス1』を観てまず感じたのは、「歌舞伎町」という舞台装置が持つ魔力でした。煌びやかでありながらどこか不安定で、表と裏が紙一重で繋がっている。そこで生きる人々の選択や弱さが、鮮やかに映し出されていたと思います。主人公の和輝は新人ホストとして自分の場所を探している最中に、いきなり巨額のトラブルを抱え込みます。その状況は決して特別なことではなく、欲望に翻弄される街だからこそ誰にでも降りかかり得るリアルさがありました。和輝はただの被害者ではなく、自分自身の甘さや覚悟不足が露呈してしまう。そこに物語の普遍的なテーマが潜んでいると感じました。

そして物語を引き締めているのが「解決屋クロガラス」の存在です。黒斗と悠哉という対照的なキャラクターが、ただのアウトローに見えて実は確固たる信念を持ち、依頼人の人生を左右する仕事に臨む姿が印象的でした。特に黒斗の冷徹さの裏にある責任感、悠哉の仲間を思う優しさが、単なるアクション映画ではなく人間ドラマとしての厚みを生み出していたと思います。彼らは金で動く存在に見えますが、その過程で依頼人の弱さや社会の矛盾を直視させる役割を担っているようにも感じました。

舞衣というキャラクターもまた興味深い存在でした。彼女は表面的にはただの問題客ですが、その背景には組織との繋がりや人間関係のしがらみがあり、簡単に断罪できない複雑さを持っていました。舞衣の存在を通して、借金や裏社会の問題が「単なる悪」として片付けられず、むしろ人間の弱さや孤独を映し出していることに気づかされます。観客は和輝と同じく「救うべきか、切り捨てるべきか」という葛藤に直面することになり、そこで作品は観る者に問いを投げかけてくるのです。

演出的にも、この映画は派手さよりもリアリティを重視している印象を受けました。大規模なバトルやアクションよりも、狭い路地やクラブの暗がりといった密度の高い空間で繰り広げられる緊迫感が際立っていました。カメラワークや照明も工夫されており、歌舞伎町という街の裏の顔を象徴するような陰影の強さが、物語の緊張感をさらに引き立てていました。80分というコンパクトな尺に収めつつ、人物同士のやり取りにしっかり焦点を当てていた点は好印象でした。

また主演の崎山つばさの存在感も大きいです。舞台を中心に活躍してきた彼が映画初主演ということで、芝居が大仰になるのではと危惧しましたが、実際は映画的なカメラ目線に順応しており、抑えた表情でキャラクターの緊張感を表現していました。ホストという華やかな職業でありながら、崖っぷちに立たされる不安や焦燥を的確に演じていたと思います。植田圭輔や最上もがといったキャストも舞台・アイドル畑出身でありつつ、映像の空気に馴染んでいた点が印象的でした。キャスティング自体が2.5次元舞台と映画の橋渡しのような役割を果たしており、新たな観客層への入口となっていたのではないでしょうか。

ストーリー面では、借金問題や失踪というシンプルな設定から始まりつつ、裏社会との接点が次第に露わになっていく展開がスリリングでした。誰が敵で、誰が味方なのか分からない緊張感が続き、観客を最後まで引き込む力があります。終盤にかけては、クロガラス自身の信念や過去が垣間見えることで単なる解決屋の物語を超え、人間の生き様を描くドラマへと発展していました。

総じて『クロガラス1』は、単なるアウトローアクションに留まらず、現代社会に潜む欲望や孤独を真正面から描いた作品だと感じました。歌舞伎町という舞台が持つリアリティを背景に、弱さと覚悟を抱えた人間たちの選択を見せつけられる。観終わった後に「もし自分だったらどうするか」と考えさせられるあたりに、この映画の深みがあるのだと思います。

◆モテ男の考察

『クロガラス1』を観て感じたのは、モテる男は「強さ」と「誠実さ」を兼ね備えているということです。黒斗の冷静さや悠哉の優しさは、ただカッコいいだけではなく、困難に立ち向かう覚悟を示していました。女性は表面的な派手さよりも、危機の中で頼れる姿に惹かれるものです。和輝の未熟さもまた共感を呼びますが、真のモテ男はクロガラスのように信念を持ち、仲間を大切にできる存在だと学べる作品でした。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 18 / 20 いよいよ本格始動。崎山つばさって舞台の人だったと知った。
演技 18 / 20 最上もがが、かつらを被って出ていた時は分からなかったが、出ていて驚いた。この人、うまいやん。
映像・演出 18 / 20 歌舞伎町色はちゃんと出ていた。アングラの世界を描いていて、ちょっと暗い感じの雰囲気は有るが、皆、うまい。
感情の揺さぶり 18 / 20 ハッピーエンドは、視聴者を幸せにする。
オリジナリティ・テーマ性 17 / 20 オリジナリティやテーマ性は他にも同じような作品が有るので一概に言えないが、ちょっと足りないと感じている。
合計 89 / 100 次が観たくなるだけのパワーが本作にはある。

🎬 自宅をシアターにして『クロガラス1』を楽しもう

『クロガラス1』の緊迫感ある世界観を味わうなら、自宅のテレビに配信サービスをつないで視聴するのがおすすめです。
特に Fire TV Stick があれば、リモコンひとつでNetflixやPrime Videoを大画面で楽しめます。


Fire TV Stick

コメント