【映画】『TAXI NY』(2004年)レビュー&考察
美女強盗団を追え!最速タクシーとドジ刑事の爆走NYアクション
作品情報
キャスト
- ベル・ウィリアムズ:クイーン・ラティファ ― 代表作『シカゴ』(2002年)
- アンディ・ウォッシュバーン:ジミー・ファロン ― 代表作『フィーバー・ピッチ』(2005年)
- ヴァネッサ:ジゼル・ブンチェン ― 代表作『デビル・ウェアーズ・プラダ』(2006年)
- マータ・ロビンス:ジェニファー・エスポジート ― 代表作『クラッシュ』(2004年)
- ジェシー:ヘンリー・シモンズ ― 代表作『NYPDブルー』(TVシリーズ/2000年頃)
あらすじ
ニューヨークの街を舞台に、自由奔放でスピード狂のタクシードライバー、ベルが物語の中心となります。彼女は元メッセンジャーとして街の隅々まで熟知しており、改造タクシーを操ってどんな場所にも最速で到着する腕前を持っています。一方、警察官のウォッシュバーンは車の運転が壊滅的に下手で、任務のたびに失敗を繰り返し、同僚からは馬鹿にされ、上司からも愛想を尽かされていました。そんな折、ニューヨークの銀行で謎の美女集団による連続強盗事件が発生します。犯人を追う足を失ったウォッシュバーンは、偶然出会ったベルのタクシーに乗り込み、いやいやながら彼女を巻き込む形で事件を追跡することになります。タクシーに搭載されたスーパーチャージャーと、ベルの抜群のドライビングスキルが加わり、凸凹コンビの追跡劇が始まるのです。スピード感あふれるカーチェイスと、笑いを誘う掛け合いが交錯しながら、二人は強盗団を追い詰めていきます。
ここからネタバレありです
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強盗団の正体は、リーダーのヴァネッサを筆頭にしたモデルのような美女4人組でした。彼女たちは銀行襲撃を繰り返し、巨額の現金を手にしていました。やがて警察署長でありウォッシュバーンの想い人でもあるマータが人質に取られる事態が発生し、二人の追跡は一気に緊迫したものとなります。ベルは元メッセンジャー時代の人脈を駆使し、さらにタクシーの改造機能を最大限に発揮して犯人の逃走ルートを突き止めます。犯人たちの計画が「ゴミ収集車に現金を回収させる」という巧妙なものであることを見抜いたベルとウォッシュバーンは、ついに決戦に挑みます。激しいカーチェイスの末、工事中の高速道路に強盗団を追い込み、決着をつけることに成功します。しかし銃撃戦の中でベルが負傷し、ここで初めてウォッシュバーンが自ら運転の壁を乗り越えて彼女を病院へ送り届けます。事件解決後、ベルは被害銀行の支援を受けてプロのレーサーとして活躍する道を歩み出し、ウォッシュバーンも刑事として一歩成長を遂げるのでした。
考察と感想
映画『TAXI NY』は、フランスの大ヒットシリーズ『TAXi』をアメリカ流に翻案した作品だ。リュック・ベッソンが原案と製作に関わっているだけあって、スピード感あるカーアクションの魅力はそのままに、舞台をニューヨークに変えることでポップさと明るさが強調されている。正直に言うと、オリジナル版の硬派でスリリングなトーンを期待していた俺にとって、最初は少し物足りなさを感じた。しかし見進めるうちに、これは単なるアクション映画ではなく「凸凹バディもの」「サクセスストーリー」として味わうべき作品だと気づかされた。
主人公のベルは、元メッセンジャーからタクシードライバーに転身した女性だ。クイーン・ラティファが演じるベルは存在感が圧倒的で、パワフルでユーモラスなキャラクターを体現している。彼女の改造タクシーがスーパーカーに変形するシーンは、子供のようにワクワクさせられる。俺自身、あのギミックには妙に心をくすぐられた。改造タクシーが車高を落とし、スーパーチャージャーを効かせて爆走する姿は、CGに頼らない実写ならではの迫力を持っていた。
一方のウォッシュバーン刑事は、運転下手がトラウマになっているダメ刑事だ。ジミー・ファロンが演じることで、コミカルさが一層際立っている。車のギアを間違えて店に突っ込むシーンなど、オリジナル版ではありえないドジさだが、そこに「アメリカらしい笑いの要素」が加えられていた。ベルとウォッシュバーンは、性格も能力も真逆だからこそ、衝突しながらも補い合う。これは典型的なバディムービーの魅力であり、観客としては安心して笑いながら見られる要素になっていた。
強盗団の設定も面白い。フランス版では冷酷な男性犯罪者集団だったが、こちらではモデルのような美女4人組。特にジゼル・ブンチェンがリーダーを演じており、その存在だけで画面が華やぐ。カーチェイスで追いかけているのに、どこかファッションショーを見ているようなスタイリッシュさがある。犯罪行為はもちろん悪だが、こうしたキャスティングの遊び心はアメリカ版ならではだと感じた。
物語としては王道で、銀行強盗事件に巻き込まれた二人が協力して犯人を追い詰める、というシンプルな流れだ。だがラストでベルが負傷し、運転を克服したウォッシュバーンが彼女を病院へ運ぶシーンには、思わず胸を打たれた。ここで初めて「ドジ刑事が成長する瞬間」が描かれるのだ。映画全体のトーンが軽い分、この場面は余計に心に残った。
また、ベルが最終的にプロのレーサーとして羽ばたくという結末も爽快だった。銀行のスポンサーを得るというのはややご都合主義ではあるが、彼女のキャラクターに似合う夢のあるエンディングだと思う。オリジナル版が持っていた庶民感や泥臭さに比べると、ハリウッド版は「夢と成功」を強調している。それは一見浅く感じられるが、エンタメとしては大正解だ。観客は肩肘張らずに楽しみ、最後には少し元気をもらえる。
個人的に印象的だったのは音楽の使い方だ。ナタリー・コールの「This Will Be」が繰り返し流れ、ウォッシュバーンにとって特別な意味を持つ曲として描かれている。笑いの中にも人間的な温かさを感じさせる要素で、アクションコメディの枠を超えてキャラクターに厚みを与えていた。
全体を通して感じたのは、この作品はオリジナル版と比較して評価するのではなく、別物として楽しむべきだということだ。『TAXi』が持つスピードとスタイルを引き継ぎながら、ハリウッド流のユーモアとポップさを掛け合わせた作品。それが『TAXI NY』の本質だろう。俺としては、シリアスさよりも軽快さを求める時にこそ観たい映画だと思った。派手なカーアクションと笑いを同時に味わえる稀有な一本だと評価したい。
モテ男視点の考察
『TAXI NY』は、女性ドライバーのベルと不器用な刑事ウォッシュバーンの関係性が最大の魅力だ。モテる男の視点で見ると、ウォッシュバーンの成長こそがポイントになる。失敗を重ねても諦めず、最後には大切な人を守るために苦手を克服する。その姿は女性の心を動かすし、強さや完璧さよりも「不器用でも前に進む勇気」が結果的に人を惹きつけるのだと感じる。
教訓
モテる男とは、どんな修羅場でも女性を守る誠実さを失わない男だ。
評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 16 / 20 | 古さが目につき没入しづらい場面もあったが、王道の起承転結は快走。 |
演技 | 16 / 20 | コメディ色が強く、やや大仰。好み次第だがノれない瞬間も。 |
映像・演出 | 17 / 20 | 車両の旧さは否めないが、実写スタントの迫力と街の疾走感は小気味よい。 |
感情の揺さぶり | 16 / 20 | 軽快なトーンゆえ深掘りは浅いが、終盤の成長ドラマは刺さる。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 17 / 20 | ハリウッド流リメイクのポップ化は賛否も、娯楽の潔さは明快。 |
合計 | 82 / 100 | 近作の洗練と比べつつも、肩肘張らず楽しめる良質ポップ・カーアクション。 |
一言コメント: NYを駆けるタクシー×凸凹バディ、軽やかで爽快な一本。
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