【映画】『ターミネーター:新起動/ジェネシス』(2015年) 未来は変えられる。運命を超えろ――新たに創造された「ターミネーター」の世界が始動する | ネタバレあらすじと感想

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🎬 映画『ターミネーター:新起動/ジェネシス』レビュー

◆作品情報

  • 原題:Terminator Genisys
  • 監督:アラン・テイラー
  • 脚本:レータ・カログリディス、パトリック・ルシエ
  • 原作:ジェームズ・キャメロン、ゲイル・アン・ハード
  • 出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェイソン・クラーク 他
  • 配給:パラマウント映画
  • 公開:2015年
  • 上映時間:125分
  • 製作国:アメリカ
  • ジャンル:SF、アクション、スリラー/サスペンス
  • 視聴ツール:Netflix、吹替、自室モニター

◆キャスト

  • T-800(守護者):アーノルド・シュワルツェネッガー
    代表作『ターミネーター2』(1991年)
  • サラ・コナー:エミリア・クラーク
    代表作『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011年~2019年)
  • カイル・リース:ジェイ・コートニー
    代表作『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(2013年)
  • ジョン・コナー:ジェイソン・クラーク
    代表作『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(2014年)
  • T-1000:イ・ビョンホン
    代表作『グッド・バッド・ウィアード』(2008年)

📝 あらすじ

映画『ターミネーター:新起動/ジェネシス』は、1984年のロサンゼルスを舞台に物語が始まります。未来の機械軍によって壊滅寸前となった人類社会を救うべく、ジョン・コナー率いる抵抗軍は、過去へとターミネーターと戦士を送り込み、歴史を変えようと試みます。
主人公のカイル・リースはジョンの母親・サラを守るため1984年に送り込まれますが、そこには彼が想定していない世界がありました。サラはすでに訓練された戦士で、老いたT-800と行動を共にしていたのです。
新たなタイムラインが切り開かれ、人類の運命を巡る壮絶な戦いが始まります。

▼ ここからネタバレ有りです(クリックで展開)

カイルが到着した1984年は、彼が知る歴史とは異なる時間軸。サラ・コナーは幼少期にT-800に救われて育ち、未来への覚悟が備わった戦士でした。
スカイネット誕生を防ぐべく行動を始めた彼らの前に、なんとジョン・コナー自身が「T-3000」として登場。サイバー・ダイン社のジェネシス計画を巡る攻防戦が展開され、過去と未来、技術と人類の存亡をかけた壮絶な戦いが描かれます。

◆考察と感想

本作、『ターミネーター:新起動/ジェネシス』は、リブートというより「もしも」シリーズ的なパラレルワールド感が強い。
過去作をなぞるようでいて、全く別の時間軸に飛び込むという構成は、往年のファンほど賛否が分かれるだろう。
俺は正直、最初は「またタイムトラベルかよ」と思った。でも観終えたあと、「これはこれでアリ」だと納得した。

まず印象的だったのは、アーノルド・シュワルツェネッガーの再登場だ。
老けたT-800という設定が見事に活きている。彼の存在が“変わってしまった過去”と“守り続けた未来”の象徴として機能していて、
シリーズのレガシーをただのノスタルジーに終わらせていない点は評価できる。
老いたターミネーターが「パパ」と呼ばれているシーンには、笑いと同時に深みを感じた。
無機質なマシンに父性を感じるなんて、初代からは想像できなかった展開だ。

サラ・コナーのキャラも刷新されていて面白い。
リンダ・ハミルトンの持つゴリゴリの軍人気質とは異なり、エミリア・クラーク版サラは若さと反骨心、そして孤独を抱えたキャラクターとして描かれている。
『ゲーム・オブ・スローンズ』のイメージが強かったが、本作ではしっかり“戦うヒロイン”として機能していたと思う。
カイルとの関係も単なるロマンスにとどまらず、価値観の衝突と協力というバランスがリアルだった。

そして何よりも本作の肝は、“ジョン・コナー”の扱いだ。
シリーズを通して希望の象徴だった彼が、まさかの敵に回る展開は、裏切りにも似た衝撃を観客に与える。
だが、そこには“運命を覆す物語”というテーマが込められている。
人類の救世主が敵になるという皮肉な構造。
これは単なるひねりではなく、「英雄もまたシステムの犠牲者になり得る」という深い問いを投げかけているように感じた。

一方で、物語のテンポや設定説明の詰め込み具合は、やや消化不良だった感も否めない。
タイムトラベルの理屈が複雑で、シリーズ初心者には少し不親切かもしれない。
ジェネシス=スカイネットというオチも、やや強引で説明不足に思えた。
ただし、これは近未来SFアクションとして割り切って観るなら許容範囲だ。
むしろ情報量が多いぶん、リピーター向きの作りとも言える。

個人的に面白かったのは、“技術への信頼”と“人間性の脆さ”というテーマの対比だ。
ジェネシスというアプリが人々に便利をもたらす一方、それがスカイネットとして暴走するという構造は、
現代のIoT社会への警鐘のようでもある。
AIやクラウドを盲目的に信じることが、どれほど危険なのか。
そのリスクは、未来の話ではなく、すでに俺たちの足元に転がっているのかもしれない。

アクションシーンは文句なしだ。
T-800とT-1000の対決、ジョンとの屋上バトル、ヘリのチェイスなど、旧作を彷彿とさせつつも新鮮な演出が多かった。
特に液体金属の表現は技術の進化を感じた。
ここでも過去と現在の融合というテーマが貫かれていて、映像的にも見応えがあった。

最終的に、すべてを“なかったこと”にするような終わり方には多少の疑問もある。
だが、それは本作が「原点を壊して、新たなスタートを切る」決意の現れだとも解釈できる。
単なるファン向けの焼き直しではなく、テーマ性と娯楽性の両立を目指した意欲作だったと俺は思う。
すべての人に刺さるわけじゃないが、「ターミネーター」という神話に一石を投じたことは間違いない。

◆教訓・学び

本当にモテる男は、力を誇示するんじゃなく、共感とリスペクトで信頼を築けるやつだ。

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一人の強靭な女性兵士が、圧倒的な敵に立ち向かう。
『ニュー・フェイト』のグレースやサラ・コナーのように、「人類の未来を背負う女戦士の闘い」を描いた、圧巻のアクション×サバイバル作品です。

◆映画評価

項目 点数 コメント
ストーリー 17 / 20 王道から外れつつも完成度は高い。ただしやや分かりにくさも。
演技 17 / 20 シュワちゃんの存在感は健在。各キャストも印象的。
映像・演出 19 / 20 現代技術と旧作オマージュが絶妙に融合。
感情の揺さぶり 16 / 20 親子愛、仲間の信頼など心を動かす場面も多い。
テーマ性 18 / 20 AIと人間、過去と未来、複雑なテーマが盛り込まれている。
合計 87 / 100 複雑さゆえに理解が追いつかない部分もあるが挑戦的な作品。

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