【映画】『さがす』(2022年)父は消えた。残されたのは殺人犯の名と、真実への地図 | ネタバレあらすじと感想

サスペンス/スリラー

🎬 映画『さがす』の作品情報

【監督・脚本】片山慎三
【脚本】小寺和久、高田亮
【出演】佐藤二朗、伊藤蒼、清水尋也、森田望智 他
【配給】アスミック・エース
【公開】2022年
【上映時間】123分
【製作国】日本
【ジャンル】サスペンス、ヒューマンドラマ、ミステリー
【視聴ツール】Amazon Prime、自室モニター

◆キャスト

  • 原田 智:佐藤二朗 代表作『ヒメアノ〜ル』(2016年)
  • 原田 楓:伊東蒼 代表作『空白』(2021年)
  • 山内照巳:清水尋也 代表作『ミスミソウ』(2018年)
  • 加奈:森田望智 代表作『全裸監督』(2019年)
  • 刑事・後藤:増田修一朗 代表作『アルキメデスの大戦』(2019年)

◆あらすじ(ネタバレなし)

大阪の下町で娘・楓と二人暮らしをしている父・原田智。ある日、智はスーパーで万引きをして捕まり、楓が駆けつけるという騒動を起こします。
店員に謝罪し、たった20円足りなかったことを知った楓は、父の無計画さとだらしなさに呆れながらも、日々の暮らしを続けていました。

そんな父が突然、「指名手配中の連続殺人犯・山内照巳を見た」と話し出します。
懸賞金300万円の話に夢を語る父に対し、楓は現実を見て働くようにとたしなめます。
ところが翌日、父・智が姿を消してしまいます。
楓は、いつも通り日雇い仕事に出かけたはずの父を探すも、現場にいたのは見知らぬ若い男。
戸惑いながらも楓は、父の失踪の真相と、連続殺人犯とのつながりを追い始めるのです。

▼ ここからネタバレありです

楓は街に貼られた指名手配ポスターと父が見かけたという男の顔が似ていることに気づき、再び父を追い始めます。
やがて訪れた父がかつて経営していた卓球教室で、楓は物入れに隠れていた男と遭遇。それは山内照巳でした。
彼は楓の目の前で逃走し、その場に父のスマホと神戸港・果林島への往復乗船券を残していきます。

楓は単身果林島へ向かい、そこで殺人事件の現場に遭遇します。
家の中に横たわる遺体を見た楓は、「お父ちゃん!」と叫び、崩れ落ちます。
果たして父は何を知っていたのか。そして何を隠していたのか。
物語はサスペンスの枠を越え、家族の絆と喪失、そして愛を静かに問いかける衝撃の結末へと向かっていきます。

◆考察と感想

本作、『さがす』は、ただのサスペンス映画だと思って観始めた。でも実際は、そんな単純なジャンルじゃ片付けられない深い作品だった。
父が突然いなくなるっていう導入はよくあるミステリーだけど、その背景にある“父と娘”の関係性、人が人を想うことのかたちが、静かに、でも鋭く描かれていて息が詰まるような感覚になった。

佐藤二朗のリアルな父親像、伊東蒼の繊細で力強い娘像、どちらも印象的だった。
中盤から不穏な空気が流れはじめ、楓の行動を通して父の真意を少しずつ探っていく。特に果林島のシーンは涙なしには見られなかった。
決して派手ではないが、じわじわと心にしみてくる、骨太な日本映画だった。

◆モテ観点での考察

この映画から“モテ”を学ぶなら、それは「相手のために動ける強さ」だと思う。
父・智がどんな形であれ、娘のために行動したその姿勢は、まさに“自己犠牲の愛”そのもの。
モテる男は、自分本位じゃなく、大切な人のために何ができるかを考えられる人間だ。
かっこつけすぎず、泥臭くてもいい。言葉より行動。

◆教訓・学び

モテる人は、言葉よりも行動で、相手を想う覚悟を示せる。

◆映画評価

項目 点数(20点満点) コメント
ストーリー 17 / 20 前後の流れが自然に頭に浮かんできて、娘の強さが印象的。
演技 19 / 20 この娘、根性ある!演技が刺さる。
映像・演出 14 / 20 田舎で場所を移したのは作品として成功だった。
感情の揺さぶり 17 / 20 ゆったりとした日本映画の空気感が逆にじわじわくる。
オリジナリティ・テーマ性 16 / 20 意外性はあったが、テーマの輪郭がぼやけた印象も。
合計 83 / 100 佐藤二朗の多面性と、娘との対比が非常に面白かった。

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