◆映画『ストレンジャー・コール』の作品情報
- 原題:When a stranger calls
- 監督:サイモン・ウェスト
- 脚本:ジェイク・ウェイド・ウォール
- 原作:スティーヴ・フィーク、フレッド・ウォルトン(オリジナル脚本)
- 出演:カミーラ・ベル、トミー・フラナガン 他
- 配給:ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント
- 公開:2006年
- 上映時間:87分
- 製作国:アメリカ
- ジャンル:スリラー、ホラー
- 視聴ツール:Netflix、吹替、自室モニター
◆キャスト
- ジル・ジョンソン:カミーラ・ベル
代表作『10,000 BC』(2008年) - ティファニー・マドセン:ケイティ・キャシディ
代表作『エルム街の悪夢』(2010年) - ボビー:ブライアン・ジェラティ
代表作『ハート・ロッカー』(2008年) - 本物のメアリー=アン:マディー・ハッソン
※2006年版には未出演(おそらく混同)
代わりに:ローザ:ティッサ・フェレール
代表作『エンド・オブ・ウォッチ』(2012年) - ザ・ストレンジャー(犯人):トミー・フラナガン
代表作『サン・オブ・アナーキー』(TVシリーズ・2008年〜)
◆ネタバレあらすじ
2006年公開の映画『ストレンジャー・コール』は、ある女子高校生が経験する一夜の恐怖を描いた、サイコスリラー作品です。舞台は主に、静かな郊外にある一軒家。その日、主人公ジルは、携帯電話の使用を制限された状態で、ベビーシッターのアルバイトに入ります。両親が留守の間、広い家に子どもたちはすでに眠っており、ジルは一人で夜を過ごすことに。最初は平穏な時間が流れるものの、やがて不審な無言電話が繰り返し鳴るようになります。発信元も不明で、内容もただの静寂や、謎めいたささやき。やがてジルは、自分が見知らぬ何者かに監視されているような違和感を覚え始めます。玄関の外、屋根裏、家の中の影…。どこかに何かがいるのではないかという不安が、徐々に恐怖へと変わっていきます。この映画は、観客の心理的な恐怖を巧みに引き出す演出が特徴で、「電話」がただの連絡手段から恐怖の象徴へと変貌する過程が見どころです。
ここからネタバレありです
ジルは電話の発信元を調べてもらうため警察に通報します。しばらくして警察から驚くべき報告が届きます──「電話は家の中からかかってきている」。この一言が、ジルの置かれている状況を一変させます。犯人はすでに家の中に侵入していたのです。ジルは怯えながらも、子どもたちの安否を確認しようと動き出します。犯人は言葉を発することなく姿を見せ、静かに恐怖を煽る存在。その目的や正体は最後まで不明なままですが、観客の緊張感を極限まで引き上げる演出で展開されていきます。ジルは、機転と勇気を振り絞って子どもたちとともに脱出を図りますが、犯人との対峙は避けられません。屋敷の中で繰り広げられる追跡劇は、暗闇、足音、ささやきといった音による演出が強烈な印象を残します。最終的にジルは命からがら逃げ出しますが、その出来事は彼女の心に深い傷を残します。本作は、派手なアクションではなく、身近な恐怖をじわじわと積み重ねることで、観る者に強烈な不安と緊張を与える秀作です。
◆考察と感想
本作、『ストレンジャー・コール』(2006年)は、正直ストーリー自体はすごくシンプルだ。ほぼワンシチュエーションで、登場人物も少ない。大がかりな展開があるわけでもないし、ラストに衝撃のどんでん返しがあるわけでもない。だけど、怖い。とにかく、身近な恐怖をここまでリアルに引き出してくるのはすごいと思った。
特に印象的だったのは「音の使い方」だ。無音の間、かすかな足音、電話のコール音、それらが観る側の神経をじわじわと削ってくる。ホラー映画って、視覚的な驚かせ方が多いけど、この作品は音と空間の使い方で攻めてくるタイプ。だからこそ、静かな時間がめちゃくちゃ怖い。何も起きてないのに、心臓がバクバクしてしまうあの感じは、サウンドデザインとテンポの妙だと思う。
ジルという主人公もリアルだった。特別タフなヒロインじゃない。普通の高校生。ちょっと感情的になったり、パニックになったり、でもなんとか踏ん張って動こうとする。そのバランスがちょうど良くて、「もし自分があの立場だったら」と置き換えてしまう。だからこそ、恐怖が自分ごとになる。
あと、序盤の「携帯使用禁止」「大きな家」「子どもはすでに就寝」「一本の無言電話」という、いかにも何か起きそうな布石が自然に配置されていて、無理がない。脚本がよく練られてるなと思った。特に警察が「電話は家の中からかかってきている」と告げる場面、あれは何度観てもゾッとする。今の若い世代にはちょっとピンとこないかもしれないが、固定電話文化だからこそ成立する恐怖なんだよな。
ただ、犯人のキャラクター造形はあえて曖昧にされていて、そこに物足りなさを感じる人もいると思う。動機が語られないから、ただの狂人にしか見えない。でも逆に言えば、「なぜこんなことをするのか分からない」という得体の知れなさが、不安感を増幅させているとも言える。説明しないことで恐怖を拡張してるわけだ。
全体としては、ジャンプスケア(いきなり驚かせる演出)は少なめで、心理的な恐怖を重視した作りになっている。派手さはないけど、質の高い恐怖体験ができる映画だ。ホラーというよりサスペンスに近いとも言えるかもしれない。人によっては「何も起きなさすぎる」と感じるかもしれないが、逆にそこが良さでもある。俺はこういう「じわじわ来る系」のスリラーが好きだ。
最後に、観終わったあと自宅の電話が鳴ったとき、本気でビビった。それだけリアルで、余韻が長く残る作品だった。
■もて男の目線で考察
この映画、恋愛要素ゼロだけど、逆にジルの純粋さが際立ってよかったな。ああいう子、守りたくなるタイプだよね。電話っていう日常的なツールが恐怖の源になるのがうまいし、ジルの恐怖に寄り添うことで「俺だったらこう守る」って妄想してしまう。モテる男としては、あの状況で冷静に対処できる器を見せたいところだね。怖がる子に頼られるのって、正直キュンとくる。
教訓・学び
モテるとは、非常時にこそ冷静に守れる安心感のある男である。
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