【映画】『ザ・ガーディアン/守護者』(2022年) 極限の密室、止まらぬ感染――父は娘を守れるか? 涙と恐怖が疾走する、終着駅までのサバイバル | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『ザ・ガーディアン/守護者』の作品情報

  • 監督・出演:チョン・ウソン
  • 脚本:チョン・へシン
  • 出演:キム・ナムギル、キム・ジュンハン 他
  • 配給:クロックワークス
  • 公開:2022年
  • 上映時間:98分
  • 製作国:韓国
  • ジャンル:アクション
  • 視聴ツール:U-NEXT、吹替、自室モニター

◆キャスト

  • スヒョク:チョン・ウソン 代表作『アシュラ』(2016)
  • ウジン:キム・ナムギル 代表作『非常宣言』(2022)
  • イ・ドゥフン:パク・ソンウン 代表作『新しき世界』(2013)
  • ソ・ジンエ:キム・ジュンハン 代表作『時間離脱者』(2016)
  • シナ:パク・ユナ 代表作『SKYキャッスル』(2018)

◆あらすじ(ネタバレなし)

10年の刑期を終えて出所した男スヒョクは、かつての罪と向き合いながら、新しい人生を歩もうとしていました。愛した女性との再会、そして知らぬ間に誕生していた娘の存在が、彼の心を大きく動かします。過去の過ちを償うように、家族と共に平穏な暮らしを望むスヒョク。しかし、かつて所属していた犯罪組織は彼の離脱を許さず、再び裏社会の闇がスヒョクの前に立ちはだかります。
組織のボスは執拗にスヒョクを追い、彼の「家族」という唯一の希望を脅かしてきます。暴力ではなく“守ること”を選んだ男が、それでもなお、戦わざるを得ない状況に追い込まれていく様子が、静かな怒りと悲しみをもって描かれていきます。本作は、監督・主演を務めたチョン・ウソンが描き出す、父としての覚悟と贖罪の物語です。

◆ネタバレありあらすじ

▼ 後半あらすじ(ネタバレあり)

出所したスヒョクが訪れたのは、かつて愛した女性のもとでした。そこで彼は、自分に娘がいることを知り、驚きと共に父としての責任を感じます。家族を守り、普通の生活を手に入れようと決意したスヒョクでしたが、過去の組織は彼を簡単には手放しません。ボスは彼を裏切り者とみなし、冷酷な殺し屋を差し向けます。

スヒョクの元恋人は組織によって命を奪われ、娘は人質として連れ去られてしまいます。怒りと絶望に満ちたスヒョクは、再び暴力の世界に足を踏み入れ、娘を救い出すために単身で組織との全面戦争に挑むのです。次々と襲いかかる刺客たちとの死闘の中で、スヒョクはただ「父として娘を守る」その一点に突き動かされていきます。

暴力で奪われたものは、暴力で取り戻すしかないのか。守るとは何かという問いが、全編を通して観客に突き付けられます。単なる復讐劇ではなく、愛と贖罪の物語として強く胸に響くアクションドラマです。

◆考察と感想

正直、観る前は「俳優が監督やる作品って、ちょっと不安」と思ってた。でも、チョン・ウソンが自ら主演してメガホンも取ったこの作品、『ザ・ガーディアン/守護者』には、そんな先入観をあっさり裏切る力があった。

この映画、アクションとしても面白いんだけど、それ以上に“沈黙”の演出が抜群に効いてる。セリフで語らず、目の動き、背中の向き、そしてただ娘の絵を見つめる視線……すべてに、スヒョクという男の「もう暴力に戻りたくない」「でも守るためにはやらなきゃいけない」という葛藤が詰まってた。

スヒョクは過去に殺人を犯し、10年服役した元ヤクザ。出所してからは家族と生きる道を選ぶ。でもそんな希望はあっさり崩され、娘を奪われてしまう。この設定、ベタと言えばベタだ。だけど、チョン・ウソンの演技がとにかくリアルで、男の「守りたい」という衝動が静かに燃えてる。

特に印象に残ったのは、娘を初めて見つめるシーン。多くは語らない。抱きしめもしない。でも、あの目の奥の揺れが、どんな言葉より強く「父親になった」瞬間を伝えてくる。家族というのは、血のつながりだけじゃない。“守りたい”と思ったその時点で、もう父親なんだ。

アクションシーンも、過剰なスタイリッシュさを排除していて好感が持てた。殺し屋とのバトルも、1対多数の肉弾戦も、荒々しくて泥臭い。きれいなカット割りより、むしろ混沌とした画の中で人間の感情が剥き出しになっていく。そこがこの作品の魅力だと思う。

それと、脇を固める俳優陣も豪華。キム・ナムギルの不気味で冷徹な存在感、パク・ソンウンの狂気と哀愁の混じったキャラ、どれも印象に残った。特にナムギルは、「冷たい悪」そのもの。スヒョクの“熱”と絶妙に対比されていた。

全体を通して感じたのは、「暴力を振るう側」から「守る側」へと変化していくスヒョクの心の旅。これ、単なるヤクザものじゃなくて、“贖罪”と“父性”の物語なんだよな。誰かを守りたいと思った瞬間に、人は生まれ変わる。だけどそれは、過去を消すことじゃない。むしろ、自分の過去を認めて、それでも前に進もうとする勇気なんだと思う。

ラストは正直、賛否が分かれるかもしれない。完全なカタルシスは用意されてない。けれど、その“余白”がこの映画の誠実さだと俺は思った。観客にすべてを説明しない。でも、だからこそ自分の中でいろんな感情が膨らんでいく。

俺にとってこの作品は、ただのアクション映画じゃなかった。「何かを守るためには、自分の過去と向き合うしかない」そんな当たり前で難しいメッセージを、静かに、でも確かに届けてくれた作品だった。

◆モテ男の考察

この映画、モテ男としてはめっちゃ使える。スヒョクが娘を守るために闘う姿は、まさに「無償の愛」と「覚悟」の象徴。これ観た後で「俺も大事な人守れる男でいたいな」とかポロっと言えば、誠実さ爆上がり。しかも、静かに燃える系の演技に共感したとか言えば、「この人、内面深いかも」って思われる。アクションで魅せて、感情で惹かせる。映画も男も“ギャップ”がモテるんだよね。

◆教訓・学び

本気で誰かを守ろうとする覚悟は、言葉よりもずっと強く女性の心を動かす。

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犯罪組織に狙われた家族を守る男の覚悟。
愛する者を救うために過去と向き合うというテーマは、『ザ・ガーディアン/守護者』と通底する緊張感を持った家族サスペンスです。

◆評価

項目 点数 コメント
ストーリー 18 / 20 内容自体はそれほど難しいことはない。本作は、チョン・ウソン監督作品と言うのが売りだ。
演技 18 / 20 チョン・ウソンが手を変え品を変えても、びくともしないのが笑えた。
映像・演出 17 / 20 出演者が思いのほか多くないが、適材適所でうまくキャストされていた。
感情の揺さぶり 17 / 20 さして揺さぶられるところは無かった。
オリジナリティ・テーマ性 17 / 20 娘を思う気持ちは良く分かったが、ちょっと小粒な相手感が否めないので、結論が分かってしまった。
合計 87 / 100 チョン・ウソン監督作品、面白かった。十分、世に出せる。

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