🎬 作品情報
- 脚本:槌谷健、及川真実、李正美、谷碧仁、守口悠介、北浦勝大
- 演出:加藤亜季子、金井紘
- 出演:阿部寛、永野芽郁、道枝駿佑、月城かなと 他
- エンディング:tuki.「騙シ愛」
- 放送チャンネル:TBS系列
- 放送期間:2025年4月~
- 放送時間:日曜 21:00~21:54
- ジャンル:社会派・報道系サスペンスドラマ
- 視聴方法:U-NEXT、自室モニター
📘 第1話「暴かれた沈黙」
低視聴率に悩む報道番組『ニュースゲート』に突如現れたのは、公共放送から移籍した進藤壮一。彼は初回から政治家の裏金疑惑を暴露し、番組は一気に注目を浴びる。しかしその報道の裏では、医療リソースの配分に関する混乱が生じ、一人の少年が救われなかったという“副作用”が浮かび上がる。
📘 第2話「栄光と賭けの狭間」
次なるターゲットはスポーツ界。進藤はオリンピック候補の陸上選手・名和と企業のオンライン賭博に関わる癒着を追う。名和はスポンサー契約を盾に沈黙するが、報道後に炎上。真実を伝えたはずの報道が、選手の人生を狂わせたことで、華は進藤の手法に違和感を覚え始める。
📘 第3話「捏造された科学」
新細胞「iL細胞」の発表で脚光を浴びた研究者・篠宮。だがその裏では、研究データの改ざん疑惑が浮上していた。進藤は証拠を掴み報道するが、世間からは“潰し報道”だと批判される。科学と報道の距離、そして“真実”の捉え方に揺れる回となる。
📘 第4話「切り取られた真実」
中学バスケ部の体罰疑惑がSNSで拡散。進藤は映像の真偽を徹底検証し、切り取られた映像であると暴く。しかし教師の指導の在り方、生徒のメンタルケアといった本質的な問題も見えてくる。“事実を報じる”ことが果たして“全て”なのかが問われる。
📘 第5話「正義の代償」
番組内部の不正告発が進藤のもとに届く。制作費の架空計上、スポンサーとの癒着──進藤はこれを生放送で公開するが、告発者は局を追われる。進藤の姿勢に感化される者がいる一方で、現場は疲弊し、華は「報道が人生を壊していないか」と深く葛藤する。
📘 第6話「現場が叫ぶとき」
地方の公共事業の不正を追った進藤。だがスクープが引き金となり、現地では住民の大規模抗議が勃発。進藤は現場で責任を問われ、番組は炎上。報道の“影響力”が暴走し始め、ついに華と進藤の間にも明確な亀裂が入る。番組の未来にも不穏な空気が漂い始めた。
📝 考察と感想
『キャスター』を第6話まで観て、強く感じるのは「報道の暴力性」だ。進藤壮一というキャラクターは、正義の仮面をかぶりながらも、その実、鋭すぎるナイフのようだ。第1話の政治スキャンダル、第2話のスポーツ選手の炎上、第3話の科学者潰しと、彼が暴く真実には社会的意義がある。しかし、そのたびに誰かの人生が壊れていく。進藤はそれを承知で進むのか、それとも見えていないのか──この曖昧さが恐ろしい。
対する華は、視聴者目線に立ち続けようとする人物だ。だがその視点は、組織の中では“甘い”とされる。第5話では内部告発者が職を失う現実を目の当たりにし、第6話では報道による社会的混乱が起きたことで、ついに彼女の信念が揺らぎ始める。真実を暴けばそれでいいのか? 報道は誰かを救うものでなければならないのではないか? 華の苦悩はそのまま視聴者の疑問を代弁している。
このドラマのすごさは、進藤が悪人でないことにある。彼には信念があり、正義がある。ただその“正義”が、他人にとっては破壊的であることを本人が十分に理解していない。だからこそ、華の存在がドラマを成立させている。彼女の揺らぎが物語に人間味を与え、進藤の“正しさ”にブレーキをかけてくれる。
報道がスクープを追い、視聴率を求め、社会にインパクトを与える。それがエンタメと紙一重であることを、この作品は見せてくれる。正義を信じる者こそが、最も危険になり得る。進藤が壊れるとき、華はどう動くのか。今後の展開が気になって仕方がない。
💡 教訓・学び
「真実を伝えることは時に、誰かを深く傷つける。その覚悟がなければ、報道に触れる資格はない。」
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