🎬 作品情報
- 脚本:槌谷健、及川真実、李正美、谷碧仁、守口悠介、北浦勝大
- 演出:加藤亜季子、金井紘
- 出演:阿部寛、永野芽郁、道枝駿佑、月城かなと 他
- エンディング:tuki.「騙シ愛」
- 放送チャンネル:TBS系列
- 放送期間:2025年4月~6月 全10話
- 放送時間:日曜 21:00~21:54
- ジャンル:社会派・報道系サスペンスドラマ
- 視聴方法:U-NEXT、自室モニター
📖 第1話「毒を独で刺す男」
大手製薬会社の内部告発を受けた進藤(阿部寛)は、有害物質の使用を隠蔽した研究開発部門の不正を暴こうとする。だが、関係者は口をつぐみ、情報提供者も姿を消す。唯一証言を残したのは、退職した元研究員の男。彼が命を懸けて訴えた真実を、進藤はどう伝えるのか。
📖 第2話「オンライン賭博とスポーツの闇」
スポーツ界を揺るがす不正賭博事件。進藤は現役選手と裏社会の繋がりを追うが、放送局側はスポンサーへの配慮から放送を渋る。華(永野芽郁)は匿名取材を試みるが、思わぬ脅迫に直面。報道の自由とスポンサーの力、そのはざまでチームは葛藤する。
📖 第3話「美しき科学者の罠~新細胞は存在します!」
「画期的な細胞再生技術」がメディアを賑わせる中、進藤はその裏にある倫理違反を察知。研究成果を誇る若き女性科学者には、秘密の資金提供者がいた。美しさと頭脳を武器にメディアを操る彼女の罠に、報道はどこまで踏み込めるのか。
📖 第4話「盗撮&闇サイト殺人」
盗撮映像が違法サイトで拡散され、そこに映る一人の女性が殺害される。事件の真相を追う進藤と華は、ネットの闇と、若者たちの無自覚な加害性に直面。正義と私刑の境界が曖昧になる中、視聴者の“見る責任”が問われる。
📖 第5話「テレビ局の内通者は誰?」
局内のスクープ情報が外部に漏れていた。情報源の特定に奔走する進藤たちだが、そこには同僚の嫉妬や権力争いが渦巻いていた。華が見つけたのは、意外な人物が持つ“正義の暴走”だった。
📖 第6話「スクープと死」
公共工事の談合問題を掘り起こす進藤。その報道により地元議員の不正が明るみに出るが、反発する住民たちとの対立が激化。報道が人々の生活をどう変えるのか──スクープの裏で、一人の関係者が命を落とす。
📖 第7話「命か?違法手術か?」
治療不可能と診断された難病患者の命を救ったのは、違法な幹細胞手術だった。医師と患者、家族、そして法──それぞれの“正しさ”がぶつかり合う。進藤と華は、その是非をどう伝えるか葛藤する。
📖 第8話「山火事に隠された秘密」
自然災害とされた山火事。しかし現地を取材した華は、異常なタイミングと不審な出火原因に違和感を抱く。取材を進めるうちに、森林伐採計画と地域住民の対立が浮かび上がる。
📖 第9話「キャスター降板なんかクソくらえ!」
視聴率低迷により、進藤のキャスター降板が局内で検討され始める。進藤は自らの信念を貫く報道を続ける一方、プロデューサーは番組存続を賭けた方向転換を迫る。番組の“顔”は誰のためにあるのか。
📖 第10話「国民に知られてはいけない秘密」
国家が隠していた情報が、進藤の手元に届く。政府関係者への取材が進む中、局への圧力が激化。情報公開か、報道機関としての存続か──最終決断を下す時が来る。
📝 考察と感想
本作、『キャスター』は、テレビ報道の現場で起こる“正義と現実”のせめぎ合いを描いた作品だった。主役の進藤(阿部寛)は、どこか時代遅れに見えるほどまっすぐで、信念を曲げない男。だが、その不器用さこそが今のメディアに足りない熱さを象徴していたように思う。
物語は回を追うごとに重層的になっていき、SNS、研究不正、闇バイト、政治圧力と、現代日本の社会問題を取り上げながら、報道の限界と可能性を問う構成になっていた。中でも印象的だったのは、第6話「スクープと死」と第10話「国民に知られてはいけない秘密」。一つの報道が地域を混乱に巻き込み、やがて命を奪う展開は、“伝える側”の覚悟を突きつけてくる。
永野芽郁演じる華の成長物語も、このドラマの柱だ。最初は空気を読むだけの若手アナだったが、進藤の背中を見て、やがて自分の言葉を持ち始める。第3話で彼女が科学者に対して見せた問いかけ、第7話で違法手術を巡る現場の声を拾おうとした行動からは、報道が人を変える力を感じさせられた。
一方で、ドラマとしてはやや詰め込みすぎな部分もある。1話完結の形を取りながら、裏に通底する“誰が真実を曲げているのか”というテーマに迫るには、もう少し全体を俯瞰できる伏線の回収があってもよかったかもしれない。とくに終盤の展開は唐突に感じた部分もある。
とはいえ、報道がエンタメになりすぎた時代に「真実を伝えるとは何か?」を投げかけるこの作品の姿勢には拍手を送りたい。進藤という人物の“しぶとさ”は、視聴者にとっては理想論にも映ったかもしれないが、それでもなお、こういう男がいないと社会は腐る。
最終回では、国家の圧力に屈しそうになる放送局の中で、進藤と華が覚悟を決めて情報を出す姿が描かれた。そこにあったのは勇気でも使命感でもなく、「誰かがやらなければ」という“男の責任”だった。報道とは手段であって、目的はあくまで人のため。その当たり前を思い出させてくれた。
💡 教訓・学び
男前とは、真実から逃げない覚悟を持つこと。
🧭 教訓
言葉と覚悟を持って、自分の信念を貫く──それが本当の男前だ。
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