映画『事故物件ゾク 怖い間取り』の作品情報
- 【監督】
- 中田秀夫
- 【脚本】
- 安田憲二
- 【原作】
- 松原タニシ
- 【出演】
- 渡辺翔太、畑芽育、山田真歩、滝藤賢一、吉田鋼太郎 他
- 【配給】
- 松竹
- 【公開】
- 2025年
- 【上映時間】
- 113分
- 【製作国】
- 日本
- 【ジャンル】
- ホラー、サスペンス、実話
- 【視聴ツール】
- Amazon Prime、自室モニター、Anker Soundcore AeroClip
キャスト
- 桑田ヤヒロ:渡辺翔太 — 『おそ松さん』(2022年)
- 春原花鈴:畑芽育 — 『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(ドラマ)
- 藤吉清:吉田鋼太郎 — 『日本沈没 劇場版』(2006年)ほか
- 神室:山田真歩 — 『半世界』(2019年)ほか
- 金原:じろう(シソンヌ) — 『パラサイト 半地下の家族』(吹替など)
ネタバレあらすじ
前半(ネタバレなし)
タレントの夢を諦めきれず福岡から上京した桑田ヤヒロは、ひょんな成り行きから“事故物件住みますタレント”として活動を始めます。テレビやSNSのネタ集めのために、「必ず取り憑かれる部屋」「いわくつきの古い旅館」「降霊するシェアハウス」などを転々とし、それぞれの部屋に残る出来事の痕跡と噂の由来を丁寧に探っていきます。優しすぎる性格ゆえに霊に寄り添ってしまうヤヒロには、やがて常識では説明できない現象が連鎖していきます。所属事務所の社長・藤吉や出会った春原花鈴の後押しを受けつつ、ヤヒロは“見えない何か”に導かれるように真相へ近づいていきますが、各物件の謎は一つの線で結びつき、より不気味で切実な核心を浮かび上がらせます。シリーズならではの実話ベースの寒気と、中田秀夫監督のじわじわ迫る演出が重なり、日常の隙間に潜む恐怖を体感させます。
ここからネタバレありです
後半(ネタバレあり)
ヤヒロは“取り憑かれる部屋”で、壁に額をこすりつけるような不可解な衝動に駆られる。寄り添いすぎると持っていかれる――と忠告されながらも、彼は孤独な霊に同情し、花鈴にも気遣いを見せる。ところが各所で花鈴の周りに現れる“誰か”の気配は、やがて芸能事務所社長・藤吉と切り離せないことが判明。クライマックスで明かされるのは、花鈴の実父が藤吉であるという事実、そしてヤヒロが頼りにしていた藤吉はすでにこの世の人ではなく、彼が会話していたのは“藤吉の幽霊”だったという衝撃だ。花鈴に取り憑き導こうとしていたのも藤吉であり、ヤヒロは父娘に残された感情のわだかまりと向き合うことになる。遺体との対面を経て花鈴は父を赦し、ヤヒロは“住みますタレント”として己の役目を続ける決意を固める。出来事は終わっても、部屋に残る想いは消えない――そんな余韻を残して物語は幕を下ろす。
考察と感想
考察と感想
前作『事故物件 恐い間取り』の衝撃を覚えていた者として、今作『事故物件ゾク 怖い間取り』は“続編”というより、“深化”という言葉がしっくりくる。監督の中田秀夫が描く恐怖は、単なる心霊映像の恐ろしさではなく、「人が恐怖をどう受け止めるか」「死者とどう共存できるか」という心理の闇を突き刺してくる。
主演の渡辺翔太が演じる桑田ヤヒロは、芸能界という表と裏を持つ世界に足を踏み入れた青年だ。彼は一見明るく素直だが、どこか“人の心に入り込みすぎる”危うさを抱えている。事故物件に住みながら、霊に対しても人に対しても「理解したい」という衝動が止められない。これが彼の魅力でもあり、同時に破滅への入り口でもある。
物語の前半では、霊現象を“バラエティ的なネタ”として扱う軽さが描かれる。しかし中盤以降、笑いが引きつりに変わり、空気が凍りつく。視聴者の恐怖のツボをよくわかっている。音の間の取り方、照明の落とし方、カメラのわずかなズレ。その一つひとつが、日常の“異物”を感じさせる。
そして、この映画の真の怖さは“霊そのもの”ではない。むしろ、「現世の人間が、死者よりも怖い」という構図だ。芸能事務所の社長・藤吉(吉田鋼太郎)の存在がそれを象徴している。生前の彼はヤヒロを利用し、視聴率や金のために事故物件を“商品化”していた。だが死後もなお彼はこの世に執着し、娘・花鈴(畑芽育)を守ろうとする。歪んだ愛情と後悔が霊になって現れる構成が実に中田作品らしい。
ヤヒロが花鈴に寄り添う姿は、まるで生者と死者の橋渡しのようだ。ここに“ゾク”というタイトルの意味があると思う。単に「ゾクッとする」ではなく、“続(ぞく)=つながる”という意味にも読める。死と生、親と子、芸能と現実。ありえないほど遠い世界が、恐怖を通じて一瞬つながる。その瞬間、観る側の心も冷たく震える。
終盤、藤吉の死が明かされたとき、ヤヒロはようやく理解する。恐怖は排除すべきものではなく、記憶として受け止めるべきものだと。だからこそ彼は逃げずに次の事故物件へ向かう。ここにはヒーロー的な達成感ではなく、静かな覚悟がある。
渡辺翔太の演技は、アイドル的な清潔感を保ちながらも、どこか壊れそうな繊細さを感じさせる。特に後半の泣き笑いの表情は、ホラー映画を超えて“人間ドラマ”に昇華していた。畑芽育の透明感も見事で、彼女の怯えがそのまま観客の恐怖に重なっていく。
中田監督のカメラワークは、相変わらず“見せない恐怖”の達人だ。霊を映さずに“いる”と感じさせる演出。狭い室内での長回しや、窓ガラス越しの残像など、画面の外に広がる空気が観客を掴んで離さない。CGよりも空間と音で恐怖を作る手腕に改めて感服した。
映画全体を通じて感じたのは、“恐怖と愛情は表裏一体”ということ。死者を怖がるのではなく、死者を想う気持ちが、やがて恐怖を生む。中田秀夫はそこに“人間の業”を描いている。ホラーでありながら、どこか切ない。そして最後に残るのは、背筋の冷たさではなく、胸の奥の温かさだった。
シリーズものとしても完成度が高く、単独作品としても十分に観応えがある。怖さと哀しさのバランスが絶妙で、Jホラーの真髄を再び証明した一作だ。
モテ男目線
ヤヒロの優しさは“共感力の化け物”レベルだ。怖がりながらも相手の心に踏み込む姿勢は、女性を惹きつける。恐怖の中でも相手を気遣う誠実さ、弱さを見せながら支える強さ。これこそモテ男の本質だと思う。見た目よりも「相手の痛みを感じ取る力」が人を救い、結果的に信頼と愛情を呼び寄せる。ヤヒロの生き方は、モテを超えて“人に寄り添う覚悟”そのものだった。
教訓、学び
怖さに寄り添える男は、優しさと強さを併せ持つ──恐れず心の闇に踏み込む姿が、本当のモテにつながる。
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似ているテイストの作品
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『インシディアス 序章』(2015年/アメリカ)
死者の世界と交信しようとする少女と霊媒師の物語。
“見えない恐怖”と“喪失した者への想い”が交錯し、『事故物件ゾク 怖い間取り』の哀しみを帯びた恐怖と重なり合う。 -
『第10号客室の女』(2025年/アメリカ)
豪華客船で起こる不可解な失踪事件を描いた心理サスペンス。
真実を追ううちに“現実と幻”の境界が曖昧になっていく構成が、『事故物件ゾク 怖い間取り』の不気味なリアリティと共鳴する。
評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 18 / 20 | 霊現象の恐怖を通じて、人の「後悔」と「赦し」を描く構成が秀逸。単なるホラーではなく、人間ドラマとしての深みがある。 |
演技 | 18 / 20 | 渡辺翔太の繊細な演技が光る。恐怖と優しさの狭間で揺れる心を丁寧に表現し、観る者の共感を呼ぶ。 |
映像・演出 | 19 / 20 | 中田秀夫監督らしい「見せない恐怖」の演出が冴え渡る。光と影、音の間が恐怖を増幅し、余白の美学を感じさせる。 |
感情の揺さぶり | 18 / 20 | 恐怖の中に切なさが漂う。花鈴と父の関係に涙し、ヤヒロの決意に胸を打たれる。静かな感動が残るホラーだ。 |
オリジナリティ・テーマ性 | 18 / 20 | 「死者と共に生きる」という新たな恐怖観を提示。恐れよりも“共存”を描く姿勢が、このジャンルに新風を吹き込む。 |
合計 | 91 / 100 | 恐怖の奥にある人間の情と絆を描く、静かに沁みる実話ホラー。怖いのに、なぜか温かい。 |
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