🎬 映画『PLAN75』(2025年)レビュー
◆作品情報
監督・脚本:早川千絵
出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実 他
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公開:2022年
上映時間:112分
製作国:日本
ジャンル:ヒューマンドラマ、近未来ディストピア
視聴ツール:Amazon Prime、自室モニター
◆キャスト
- 角谷ミチ:倍賞千恵子 代表作『男はつらいよ』シリーズ(1969年~)
- ヒロム:磯村勇斗 代表作『東京リベンジャーズ』(2021年・2023年)
- マリア:ステファニー・アリアン 代表作『Ang Larawan(肖像)』(2017年)
- 岡部:たかお鷹 代表作『Shall we ダンス?』(1996年)
- イチロウ:大方斐紗子 代表作『海街diary』(2015年)
◆あらすじ
少子高齢化が深刻化し、高齢者が“お荷物”とされる近未来の日本。政府は75歳以上の国民に対し、自ら死を選べる制度「PLAN75(プラン75)」を導入します。この制度は、自発的な生の終結を支援するもので、対象者には手厚いサポートや金銭的補助も用意されており、福祉の一環として静かに広まっていきます。
そんな社会のなかで、75歳を迎えた角谷ミチ(倍賞千恵子)は、ホテルの清掃員として慎ましく働きながら一人で生活していました。しかし職場での人員整理により職を失い、居場所を失いかけたミチは、「プラン75」の存在と向き合わざるを得なくなります。制度を運営する若い職員ヒロム(磯村勇斗)や、家族の治療費を稼ぐために来日しプランの業務に関わるフィリピン人マリア(ステファニー・アリアン)ら、制度に関わる側の人々もまた、それぞれに葛藤と向き合っていました。
「命の選択」をめぐる人間たちの静かな物語が、静謐な映像美とともに丁寧に描かれていきます。
🔽 ここからネタバレあり
職を失ったミチは、生活に行き詰まりながらも「PLAN75」への登録を決意します。登録時には職員が丁寧に制度の説明をし、希望すれば「死の時」までの生活支援も提供されます。ミチは制度を淡々と受け入れるものの、心の奥底では迷いや不安が拭えません。
一方、制度の窓口で働くヒロムは、仕事のなかで偶然ミチがかつて自分の親戚だったことに気づきます。プランに関わる立場でありながら、制度の冷たさと人間の尊厳の間で揺れ動く彼の葛藤は深まっていきます。また、マリアは老人の回収業務に関わるなかでミチと触れ合い、制度に対する疑念を強めていきます。
ミチは死の前に一度だけ会いたい人の名を申請し、制度のガイドラインに沿って最期を迎える準備を進めていきますが、日常のなかで交わされる些細な優しさや他者とのつながりに触れることで、心に小さな変化が生まれます。
そして迎えるラストでは、ミチの選択が示唆されるような余白のある結末が描かれます。制度が個人にとって救いとなるのか、それとも社会の暴力なのか――観る者に深い問いを投げかける作品です。
◆考察と感想
『PLAN75』を観た俺は、胸の奥がズシンと重くなるような感覚を味わった。これは単なるフィクションじゃなく、俺たちが生きる現実と地続きの物語だ。舞台は高齢者が75歳になると「死を選ぶ権利」が与えられる近未来の日本。一見、制度的には「本人の自由意志」とされてるが、その裏にあるのは社会が“お荷物”と感じる人たちを静かに排除する空気だ。それがジワジワと怖い。
主人公の角谷ミチを演じた倍賞千恵子の存在感は圧巻だった。静かで品のある演技なのに、彼女の一言一言、一つ一つの表情に重みがある。75歳という年齢で、長年働いてきた職場を失い、頼る家族もいない。そんな状況に追い込まれたとき、国が用意した“穏やかな死”という選択肢がどう映るか。「自分だったら…」と何度も考えさせられた。
この映画のすごいところは、「悪人」が出てこない点だ。プラン75の制度に関わる職員も、清潔感があって親切だし、書類の説明も丁寧。磯村勇斗が演じたヒロムも、ただの事務作業員かと思いきや、自分の仕事が誰かの人生にどう関わっているかに悩み始める。つまり、誰もが“普通の人”なんだ。それがリアルで、逆に怖い。自分も知らないうちに、この制度の一部になってしまうかもしれないというゾッとする感覚がある。
個人的に印象に残ったのは、フィリピン人女性マリアのエピソードだ。祖国に病気の子どもを残し、日本で高齢者のケアをしている。最初は仕事として割り切っていたけど、ミチと出会って、命の重さと制度の残酷さを肌で感じていく過程が切なかった。日本という国の「やさしさ」が制度にすり替えられていく様を、彼女の視点を通して見せられた気がした。
映像も静かで美しくて、騒がしいBGMは一切ない。生活音や無音のシーンが多くて、その「静けさ」こそがこの映画の本質を物語っていると思う。誰かが大声で怒るわけでもなく、派手な演出もないのに、どんどん追い詰められていくミチの姿に心が締めつけられた。
この映画の最大のテーマは「生きる自由」と「死ぬ自由」、そして「社会に必要とされていないと感じた人間はどうなるか」だと思う。ミチが最期に見せた表情や、彼女の選択は明言されないけど、その“余白”がむしろ観る者に問いを投げてくる。制度の問題だけじゃない。人と人とのつながりがどれだけ重要か、それがあるかないかで人の心は大きく揺れる。
俺自身、日々の忙しさに追われて、親のこととか、高齢者の問題をどこか他人事にしてた部分がある。でも、この映画を観て、それが一気に自分ごとに引き寄せられた気がした。これは「遠い未来のディストピア」じゃなく、「明日訪れるかもしれない現実」だ。静かな映画だけど、確実に心に爪痕を残す一本だった。
◆もて男視点/考察
『PLAN75』は、社会制度が人の命を“選別”する怖さを描いてるけど、逆に言えば、人と人との関係こそが生きる意味をくれるって話でもある。ミチが心を動かされたのも、ほんの小さな優しさや会話だった。つまり、他人に気を配れる男は、それだけで誰かを救える。だからこの映画、モテにもつながるヒントあるぞ。
◆教訓・学び
さりげない優しさと傾聴こそが、人の心を救い、モテる男の本質である。
◆映画評価
項目 | 点数 | コメント |
---|---|---|
ストーリー | 18 / 20 | こんなに怖い映画だったとは知らなかった。しかも、この趣旨を知っていないとこの作品をどう見たら分からない。 |
演技 | 18 / 20 | 決して明るくない作品なだけに笑顔は殆どない。 |
映像・演出 | 17 / 20 | PLAN75という題名の意味が分かれば映像・演出どころじゃない。 |
感情の揺さぶり | 16 / 20 | 怖い作品だったとしか言いようがない。 |
テーマ性 | 18 / 20 | オリジナリティーありすぎ。しかも、未来が無い。 |
合計 | 87 / 100 | 本作は、救いが無い。何を見せられているか分からなかった。 |
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