🎬 作品情報
- 英題:Stay Alive
- 監督:本広克行
- 脚本:君塚良一
- 出演:柳葉敏郎、福本莉子、斎藤潤、筧利夫、小泉今日子、織田裕二
- 配給:東宝
- 公開:2024年11月
- 上映時間:117分
- 製作国:日本
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ミステリー
- 視聴ツール:U-Next、自室モニター
👥 キャストと代表作
- 室井慎次:柳葉敏郎 代表作『容疑者 室井慎次』(2005年)
- 日向杏:福本莉子 代表作『ディア・ファミリー』(2024年)
- 森貴仁(タカ):斎藤潤 代表作『カラオケ行こ!』(2024年)
- 桜章太郎:松下洸平 代表作『ミステリと言う勿れ』(2023年)
- 日向真奈美:小泉今日子 代表作『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年)
📖 あらすじ(ネタバレあり)
警視庁の幹部・室井慎次が、再びスクリーンに帰ってきました。本作は『踊る大捜査線』シリーズのスピンオフであり、かつての事件の記憶と新たな因縁が交錯するヒューマンドラマであり、サスペンス映画です。
物語は、警察庁から地方へと異動し、養育中の少年と穏やかな日々を過ごしていた室井のもとに、ある未解決事件と、かつて対峙した殺人犯の「娘」の登場によって波紋が広がっていくところから始まります。
ここからネタバレありです
物語の発端は、室井が育てている里子・森貴仁(タカ)が関わったとされる暴行事件。少年の無実を信じる室井は、地元警察の強引な取り調べに疑問を抱き、自ら真相究明に乗り出します。
やがて、その事件の背後には、室井自身が20年前に逮捕した連続殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の存在が浮かび上がります。
日向真奈美の娘・日向杏(福本莉子)が突如室井の前に現れ、母の冤罪を訴えます。母の事件に疑念を抱く杏は、自分の手で真相を確かめようとしており、室井は複雑な思いを抱きながらも協力を申し出ます。
再び浮上する当時の捜査ミスや隠蔽の可能性により、室井はかつての仲間や上層部と対立することに。
やがて、日向真奈美の過去の供述には裏があることが明らかになり、真犯人が別に存在していたことが判明。杏の執念と室井の信念が重なり、事件は新たな展開を迎えます。
最終的に、森貴仁の無実は証明され、杏は母の真実に向き合う道を選びます。
室井は、自身の正義を貫いたことで再び警察組織と距離を置くことになりますが、心の中に芽生えた「守るべきもの」への想いは揺るぎないものとなりました。
📝 考察と感想
『室井慎次 生き続ける者』は、『踊る大捜査線』という日本テレビドラマ史に残るシリーズの中でも、もっとも静かで、もっとも熱い人物——室井慎次という男の、その後を描いた作品だ。
あの「青島くん、事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだよ!」の名台詞が世間に知られた時代から、実に25年以上が過ぎた。
その中で、室井は一貫して「正しさ」を信じ、「組織」と「現場」の狭間で葛藤してきた。
本作は、そんな彼の”その後”に改めて向き合う物語である。タイトルが象徴的だ。「生き続ける者」。
これは単に命が続いているという意味ではなく、信念を曲げず、自らの過去と向き合い、他者と関わり続けるという、室井の生き様そのものを表している。
映画の冒頭では、彼は地方に異動し、ひとりの少年・森貴仁を育てながら、穏やかな生活を送っている。
けれど、かつての因縁が再び動き出すことで、彼は再び「闘う者」としての自分に戻っていく。
特に印象的なのは、小泉今日子演じる殺人犯・日向真奈美の「娘」である杏の登場だ。
シリーズを追ってきた者としては、彼女の娘が今になって登場することに、正直驚かされた。
柳葉敏郎の演技は、静かながら芯が通っており、年齢を重ねた今のほうが「室井慎次」というキャラクターをよりリアルに感じさせる。
目の奥には、青島俊作や和久さんといった過去の仲間たちの記憶が宿っているようにも見えた。
かつてのフジテレビ、湾岸署、そして仲間たちを思い出しながら観るこの映画は、
まさに『踊る』シリーズに心を揺さぶられた人々への”答え合わせ”とも言える作品だった。
💡 教訓・学び
正しさを貫くには、過去と向き合い、他者の痛みに寄り添う覚悟が必要である。
ヒューマンドラマとサスペンスが絶妙に絡み合った本作。室井慎次という人物が歩んできた「正義」の道を、じっくり味わいたい方におすすめなのがDVDスタンダード・エディションです。
かつての『踊る大捜査線』ファンも、初めて室井の物語に触れる方も、自宅でゆっくりその余韻に浸ってみませんか?
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