【映画】『ロミオ・マスト・ダイ』(2000年) 弟の死の真相を追え──愛と裏切りが交錯する戦場に、ただ一人舞い戻った男 | ネタバレあらすじと感想

アクション

◆映画『ロミオ・マスト・ダイ』の作品情報

  • 英題:Romeo Must Die
  • 監督:アンジェイ・バートコウィアク
  • 脚本:エリック・バートン、ジョン・ジャレル
  • 原案:ミッチェル・カプナー
  • 出演:ジェット・リー、アリーヤ 他
  • 配給:ワーナー・ブラザース
  • 公開:2000年3月
  • 上映時間:115分
  • 製作国:アメリカ
  • ジャンル:アクション、クライム、ロマンス、サスペンス
  • 視聴ツール:Netflix(吹替)、自室モニター

◆キャスト

  • ハン・シン:ジェット・リー 代表作『リーサル・ウェポン4』(1998年)
  • トリッシュ・オーデイ:アリーヤ 代表作『クイーン・オブ・ヴァンパイア』(2002年)
  • アイザック・オーデイ:デルロイ・リンドー 代表作『ゲット・ショーティ』(1995年)
  • カイ:ラッセル・ウォン 代表作『ジョイ・ラック・クラブ』(1993年)
  • マック:アイザイア・ワシントン 代表作『グレイズ・アナトミー』(2005年〜・TVシリーズ)

◆ネタバレあらすじ

本作、映画『ロミオ・マスト・ダイ』(2000年)は、アジア系マフィアと黒人ギャングという二大勢力が激しく対立するカリフォルニア州オークランドを舞台に、復讐と真実、そして許されぬ愛を描いたアクション作品です。主演はカンフーアクションで世界的人気を誇るジェット・リー。さらに、本作が映画初主演となったR&Bシンガーのアリーヤもヒロインとして登場し、激しい抗争の中で芽生える切ないロマンスを演じます。

物語は、黒人ギャングのボス・アイザックと、中国系マフィアのドン・チュー率いる二大組織が、土地の利権を巡って対立を深める中で始まります。この緊張状態の中、チューの次男・ポーが何者かに殺害される事件が発生。これをきっかけに、刑務所に服役していたポーの兄・ハンが、弟の死の真相を探るために香港からオークランドへ単身乗り込んでくるのです。

ここからネタバレありです。

オークランドに到着したハンは、偶然トラブルに巻き込まれたことから、ギャングのボス・アイザックの娘トリッシュと出会います。最初は互いに敵対する立場でしたが、ポーとトリッシュの兄・コリンの死をきっかけに、ハンとトリッシュは協力して事件の真相を追い始めます。

ハンは弟ポーが残した手がかりから、黒人ギャングと中国系マフィアの両陣営が土地の利権を巡って陰謀を巡らせていたことを知ります。次第に浮かび上がるのは、父チューの組織もまた、ポーの死に関与していた可能性。しかも、トリッシュの兄・コリンの死も同様に内部の裏切りによるものだったのです。

やがてハンとトリッシュは、黒幕の一人であるマックと対峙。マックは自らの私利私欲のために双方の組織を操り、殺人と陰謀を繰り返していたことが明かされます。クライマックスでは、マックとの死闘、そして実の父チューとハンの対峙が描かれます。自らの手でケジメをつけたチューは最後に命を絶ち、長年続いた抗争は終焉を迎えます。

本作は、『ロミオとジュリエット』の現代版といわれるように、敵対する二つの世界に生きる男女の運命を描きながら、スタイリッシュなカンフーアクションとサスペンス要素を巧みに融合させた一作です。アリーヤの演技も高く評価され、彼女の映画女優としての才能を印象づける作品となりました。

◆考察と感想(淀川長治風)

みなさん、こんばんは。 今宵ご紹介いたしますのは──『ロミオ・マスト・ダイ』でございます。アクション映画としての顔を持ちながら、その奥には哀しみと、家族、そして信頼と裏切りのドラマが隠されている、そんな一本でございました。

主人公・ハンを演じるのは、ジェット・リー。登場から圧倒的な存在感でございました。無駄のない動き、鋭い目つき、その一挙手一投足に、わたしはもう画面から目が離せませんでしたよ。弟を殺された男が、その真相を探る──それだけで物語はもう始まっております。

そんなハンが出会うのが、アリーヤ演じるトリッシュ。歌手でありながら女優としても堂々たる演技。彼女がただのヒロインで終わらないのが、またいいんですな。彼女のまなざしに、強さと優しさが同居している。ハンとの距離が少しずつ近づいていく様子が、じつに自然で美しい。

この映画ね、ただ敵を倒して終わりではないんです。物語の軸には「家族とは何か」「誰を信じるのか」といった、人間の根っこの部分があるんですね。弟の死の背後にある真実。それはなんと、自らの父親にまでつながっていた──これには、わたしも思わず息を飲みました。

終盤のあの場面。ハンが父に銃を手渡し、「自分でけじめをつけろ」と静かに告げる。あれですよ、あれ。涙こそ見せないけれど、そこには父と子の決裂、そしてひとつの赦しが描かれておるんです。ああ、映画って本当にいいものですね。

『ロミオ・マスト・ダイ』──タイトルに隠された意味が、ラストでじんわりと効いてくる。まるで静かに燃えるロウソクのように、観終わった後も心のどこかを照らしてくれる。そんな余韻の残る作品ですな。

アクション映画を観るつもりだった方も、ぜひこの作品の「物語」にも目を向けていただきたい。バトルの中にある哀しみ。疾走の裏にある想い。それらすべてが、この映画の深みを作っております。

みなさん。 この映画を観終えたあと、きっとあなたも誰かを思い出すことでしょう。そして、そっと心の中でつぶやくはずです──「ありがとう」と。

それでは、みなさん、ごきげんよう。
──さよなら、さよなら、さよなら。

◆教訓・学び

『真の敵は外ではなく、信じていた身内の中にいることもある──信頼と裏切りを見極める目が、生き残る鍵となる』

コメント

タイトルとURLをコピーしました