🔍 作品情報
- 原題:Balle perdue 3 / Lost Bullet 3
- 公開:2025年5月
- 監督・脚本:ギョーム・ピエレ
- 脚本:キャリル・フェレ
- 出演:アルバン・ルノワール、ニコラ・デュヴォシェル、ステフィ・セルマ 他
- 配給:Netflix
- 上映時間:111分
- 製作国:フランス
- ジャンル:アクション、クライム
- 視聴方法:Netflix(字幕/吹替)
👥 キャスト
- リノ:アルバン・ルノワール 代表作『ロストブレッド』(2020年)
- アレスキ:ニコラ・デュヴォシェル 代表作『ポリス』(2004年)
- ジュリア:ステフィ・セルマ 代表作『10%〜エージェントたちの舞台裏〜』(2015年)
- レズ司令官:ジェラール・ランヴァン 代表作『ギャング・ストーリー』(2011年)
- モス:パスカル・アルビヨ 代表作『カリフォルニア・ドリーム』(2007年)
📝 あらすじ
映画『ロストブレッド3』は、フランス発のカーアクションシリーズの最終章として、主人公リノの復讐と正義の決着を描く作品です。前作で仲間を殺されたリノは、腐敗した警察組織に立ち向かいながら、宿敵アレスキを追い続けます。物語は、追う者と追われる者が複雑に交錯する中で、過去の因縁と向き合いながら進行していきます。
元自動車整備士だったリノは、驚異的なドライビング技術と改造スキルを武器に、警察の協力者として裏社会との戦いを続けてきました。本作では、スペインに拘束されていたリノがフランスへ移送されるところから物語が始まります。彼の目的はただひとつ、兄貴分のシャラスと恋人を殺した男――アレスキに裁きを下すことです。
◆ここからネタバレあらすじです
リノは、腐敗警官たちに操られる警察の現状を知り、内部告発の準備を進めます。しかし、彼の前に再び現れたアレスキは、死んだと思われていた過去を背負いながら逃走中でした。実はアレスキ自身も、警察組織のボス・レスに切り捨てられ、命を狙われる立場に追い込まれていたのです。
アレスキを利用し、レスの悪行を暴こうとするリノとジュリア。しかしレスは用意周到に証拠を隠滅し、逆にリノたちを追い詰めていきます。そこでリノは、特殊装備を施したレッカー車を作り上げ、正面突破による突入を決意します。重装備のヘリにさえ対抗できるその車は、彼の怒りと信念の象徴とも言えます。
クライマックスでは、アレスキがリノに引き渡される直前、レスの部下であるユーリが裏切り、レスを射殺。混乱の中、アレスキは再び逃げ出しますが、リノは執念の追跡を続け、ついに彼を捕らえることに成功します。警察の腐敗構造は白日の下にさらされ、ジュリアの尽力により改革が始まります。
最後、リノはサラのガレージで静かな時を過ごします。全ての戦いを終え、彼の瞳にはわずかに安堵の色が浮かんでいました。燃えるような復讐心で突き進んできた男が、ようやく平穏な日々へと一歩を踏み出す姿が印象的です。
🧠 考察と感想(淀川長治風)
皆さま、こんばんは。今日はですね、久しぶりにお話ししたくなるような、骨のあるアクション映画をご紹介いたしましょう。それがこの『ロストブレッド3』という、フランスから届いた“弾丸のような映画”でございます。いやぁ皆さん、やっぱり映画ってのは「スピード」と「感情」が命です。
この作品、まさにその両方がギュッと詰まっております。最初から最後までエンジン全開、心臓を鷲掴みにするような展開が続きますが、ただのカーアクションだと思ったら、それは早とちり。これはですね、人間ドラマでもあるんです。
主人公リノ、この男が実にいい。前作で愛する者たちを奪われ、怒りに身を焦がしていたリノが、今回は復讐の終着点を探す旅に出るわけです。ええ、ただの“仕返し”じゃありません。彼の行動には、仲間の誇りと、自分の中にある正義を証明したいという、まるで火のような意思があるんですな。
で、またこのリノが乗るクルマがすごい。レッカー車にロケットランチャーを積んで走るんですから、ええ、これはもう“走る戦車”です。ですが皆さん、派手なアクションに目を奪われるだけじゃ、この映画の真価はわかりません。大切なのは、“誰のために戦うのか”ということ。そう、リノは自分のためだけでなく、失った者たちの声を代弁するように戦うんですねぇ。
そして忘れてはいけません、ジュリアという女性。強くて聡明で、なによりリノを信じ抜く姿がね、観ていて心が温まるんですよ。荒んだ世界に咲く、一輪の花のような存在です。男たちが暴力で物事を解決しようとする中、彼女は理性と信念で未来を切り拓こうとする。これはもう、作品の中でいちばん美しい部分です。
それからね、悪役たちもよくできている。とくにアレスキとレス、このふたりは単なる敵じゃありません。それぞれの思惑、立場、恐怖が交錯することで、リノの苦悩がより浮き彫りになる。ああ、映画ってのは、敵の描き方ひとつで深みが変わるもんなんですなぁ。
最後に皆さん、この映画、ちゃんと“終わり”があるのがいいんです。リノは自分の怒りを消化して、静かな場所へと戻っていく。それを観てね、「人は復讐じゃ救われない、でもその道の先に何かを見つけることはできる」と、私はそう思いましたよ。
というわけで、『ロストブレッド3』。シリーズを観てきた方にはたまらないラスト、そして初めての方でも楽しめるスピードと情熱。まさに“男の映画”、でも“人間の映画”でもありますな。それでは皆さま、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ――。
💡 教訓
怒りに駆られても、最後に選ぶべきは正義と信頼である。
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