【映画】『ファンタジー・アイランド』(2020年)夢が叶う島──その願いが、最悪の悪夢に変わる。真実にたどり着けるか、生きて帰れるか | ネタバレあらすじと感想
- 原題:Fantasy Island
- 監督・脚本:ジェフ・ワドロウ
- 脚本:ジリアン・ジェイコブズ、クリストファー・ローチ
- 原作:ジーン・レヴィットによる1977年のテレビシリーズ
- 出演:マイケル・ペーニャ、マギー・Q、ルーシー・ヘイル 他
- 配給:ソニー・ピクチャーズ・リリーシング
- 公開:2020年2月
- 上映時間:109分
- 製作国:アメリカ
- ジャンル:ホラー、サスペンス、ミステリー、ファンタジー
- 視聴方法:Netflix(吹替/自室モニター)
キャスト
- ローク:マイケル・ペーニャ(『クラッシュ』)
- グウェン・オルセン:マギー・Q(『ダイバージェント』)
- メラニー・コール:ルーシー・ヘイル(『プリティ・リトル・ライアーズ』)
- パトリック・サリバン:オースティン・ストウェル(『ブリッジ・オブ・スパイ』)
- J.D. ウィーバー:ライアン・ハンセン(『ヴェロニカ・マーズ』)
ネタバレあらすじ
舞台は南国の孤島「ファンタジー・アイランド」。ここは、訪れたゲストの“願い”を現実のように体験させてくれるという、まさに夢の楽園です。選ばれた数人の男女がこの島に集まり、それぞれの想いを叶えるために滞在します。島の管理人であるローク氏が彼らを出迎え、ゲスト一人ひとりの願望に耳を傾け、その願いを“島の力”によって実現してくれるのです。
しかし、最初は楽しかった夢の体験も、次第に様子が変わってきます。思い通りにいくはずだったファンタジーは、ゲストたちの深層心理をえぐるような悪夢へと変貌していくのです。それぞれの願いの背後には、罪悪感、後悔、怒りといった負の感情が隠れており、夢が叶うはずの体験は次第に恐怖へと変わっていきます。
ゲストの1人であるメラニー・コールは、かつて自分をいじめていた女性スローンに復讐することを願い、拷問を体験します。しかし、やがてそれは自分自身の残酷な一面と向き合わされる展開となります。グウェン・オルセンは、断ったプロポーズをやり直すという願いを叶えますが、それによって他人の運命が変わっていたことに気づき、苦悩します。
元警官のパトリック・サリバンは、戦死した父と過去で再会し、救おうと試みます。しかしその過程で、この島がただの夢の場所ではないことに気づき、自分がここにいる理由を問い直します。義兄弟のJ.D.とブラックスは、美女やパーティーに囲まれる生活を望みますが、突然軍事的な戦闘シナリオに巻き込まれ、生死の境を彷徨う事態へと転じていきます。
やがて、ゲストたちはそれぞれの体験がつながっていることに気づきます。実は彼らは、過去にある事件に関わっていた共通点がありました。それは、メラニーの元恋人が火災で命を落とした事件。彼の死に関わった人間たちを島に呼び寄せ、罰を与えることこそがメラニーの本当の願いだったのです。
つまり、彼女の“ファンタジー”は最初から復讐を目的としたもの。彼女は島の力を利用し、ゲスト全員を巻き込んだ仕組まれたシナリオを演出していたのです。しかし復讐は次第に暴走し、無関係な人間までも巻き込む悲劇へと発展します。
ゲストたちは協力し、島の中心にある神秘の泉と“石”の力を断ち切ろうと試みます。管理人ロークもまた、島に囚われた存在であり、亡き妻との幻を維持するためにここに留まり続けていたことが明らかになります。
最終的に、ゲストたちは島からの脱出に成功しますが、ブラックスは亡き兄J.D.の願いを継ぐ形で、島に残り「ファンタジー・アイランド」の新たな管理人になることを選びます。そして、彼が最後に語る「タトゥー」という言葉は、1970年代の同名テレビドラマの名キャラクターへのオマージュであり、懐かしさと皮肉を込めた結末となっています。
考察と感想(淀川長治風)
皆さんこんばんは。今日はですね、「願いを叶える島」が舞台の、ちょっぴり怖くて、ちょっぴり切ない──そんな映画をご紹介します。『ファンタジー・アイランド』でございます。
いやあ、夢が叶うって聞きますとね、ついついワクワクしますなあ。でもこの映画、ただの夢物語ではございません。ホラー、ミステリー、サスペンスが絡み合って、実にスリリング。行ってみたいようで、行きたくない。そんな島が舞台なんです。
物語は、夢を抱えて集まったゲストたちから始まります。けれどその夢がね、甘くない。いじめへの復讐だったり、亡き父との再会だったり、心の奥底にある未練や怒りがベースになっている。だからこそ、夢が悪夢に変わっていく。これは面白い着想でしたなあ。
演じますのは、マイケル・ペーニャ、マギー・Q、ルーシー・ヘイルと実力派が揃っております。特にルーシー・ヘイルさんの演技が良い。最初は軽い感じなんですが、だんだんと真相に近づくにつれて、目が変わってくるんですねえ。見事でございました。
そしてこの島、実はただの観光地ではない。島の“力”が人の想念を現実にする。けれど、その力を悪用すれば復讐の場になる──その怖さがじわじわと伝わってきます。夢は夢でも、人を呪うような夢なら、それは地獄に通じてしまうんですねぇ。
そして皆さん、最後のオチもお見逃しなく。「タトゥー」という言葉が出てきますが、これは1970年代のオリジナルテレビドラマへのリスペクト。こういう小ネタを仕込んでくるあたり、映画愛にあふれていて嬉しくなりました。
いやあ、願いを叶えたい──誰もが持つ想いです。でもね、叶えるには、それなりの“覚悟”と“責任”が必要なんですなあ。心の深層を見つめるきっかけになる、そんな映画でございました。
それでは皆さま、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!
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