【映画】『デスノート the Last name』(2006年) 究極の頭脳戦、運命を賭けた最後の対決――月とLの勝敗が決まる | ネタバレあらすじと感想

サスペンス/スリラー

【映画】『デスノート the Last name』(2006年)レビュー

頭脳戦×心理戦が完結する後編。月とLの最終対決。

作品情報

監督 金子修介
脚本 大石哲也
原作 大場つぐみ・小畑健『DEATH NOTE』
出演 藤原竜也、松山ケンイチ、戸田恵梨香、中村獅童、鹿賀丈史 他
配給 ワーナー・ブラザース映画
公開 2006年
上映時間 140分
製作国 日本
ジャンル サスペンス、サイコ・スリラー
視聴ツール Netflix、自室モニター、AirPods 4

キャスト

  • 夜神月:藤原竜也 代表作『バトル・ロワイアル』(2000年)
  • L(エル):松山ケンイチ 代表作『ノルウェイの森』(2010年)
  • 弥海砂:戸田恵梨香 代表作『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010年)
  • 夜神総一郎:鹿賀丈史 代表作『プロゴルファー織部金次郎』(1993年)
  • 高田清美:片瀬那奈 代表作『海猿 ウミザル』(2004年)


📝 あらすじ

世界的に社会現象を巻き起こしたデスノート事件。警視庁やICPOは、連続して起きる犯罪者の不審死の背後に「キラ」と呼ばれる存在がいると断定し、極秘に捜査を進めていました。キラの正体は、デスノートという死神のノートを手にした天才大学生・夜神月。彼は新世界の神となるという野望を胸に、ノートを駆使して自らの理想社会を築こうとしていました。一方、月を追い詰めるのは、冷静沈着で抜群の推理力を持つ世界的探偵L。前作で月は弥海砂という新たな所有者を得て優位に立ちますが、Lの鋭い頭脳と推理は依然として彼を脅かす存在です。正義と正義が衝突する極限の心理戦は、さらに熾烈さを増していきます。そして今作では、月とLの対決がいよいよ最終局面に突入。ノートをめぐる攻防の果てに、どのような結末が待ち受けているのでしょうか。

ここからネタバレありです

▼ ネタバレあらすじを表示する
Lは月とミサを強く疑い、監視と推理を駆使して二人を追い詰めていきます。しかし月もまた一歩先を読み、デスノートを巧妙に利用してLの網をすり抜けようと画策します。やがて第2のキラであるミサが危険に晒されると、彼女を守ろうとする死神レムの存在が大きな意味を持つようになります。レムはミサを救うため、ある重大な決断を下すのです。Lは月の正体に確信を抱きつつも、証拠を掴むにはあと一歩届かない状況に追い込まれます。そして物語は、月の野望とLの正義が真正面から激突するクライマックスへ。映画版独自の展開によって、原作とは異なる形で二人の頭脳戦に決着がつきます。ラストには衝撃的な運命が待ち受け、観客に強烈な余韻を残すのです。

考察と感想

本作、映画『デスノート the Last name』を改めて観直して、やっぱり感じたのは、この作品がただの漫画実写化に留まらず、人間の正義観や生き方に踏み込んでいるということだ。前編から続く月とLの対決は、この後編で最終局面を迎える。原作ではニアやメロといった後継者たちが登場して長い物語が描かれるが、映画はそこを大胆に省略して、月とLの直接対決にすべてを集約している。これは賛否が分かれるところかもしれないけれど、俺は映画という尺を考えると潔い判断だったと思う。観客が求めていたのはやはり月とLの決着であり、そのぶつかり合いを最後まで描き切ったことで、一本の映画としてのまとまりが出たと感じる。

月というキャラクターは、冷静で知的な青年であると同時に、心の奥底にある支配欲や万能感を抑えきれない人間臭さを持っている。前編では正義の皮をかぶった救世主のように振る舞っていたが、後編ではその欲望が露わになり、より危うい存在として描かれている。藤原竜也の演技は少し誇張気味にも見えるが、それが逆に月の内面の狂気を強調していて印象に残る。対するLを演じる松山ケンイチの存在感も圧倒的で、奇妙な姿勢や仕草の一つひとつが、観客に「この人は本当にLなんだ」と信じさせてくれる。二人の演技がぶつかり合う緊張感は、まさにスクリーンでこそ映えるものだった。

考察として注目したいのは、死神レムの存在だ。ミサを守ろうとするレムの行動は、人間的な感情を持たないはずの死神が「愛」に近い感情を抱いたように見える点で非常に興味深い。デスノートの世界観において、死神はただ命を奪う存在であり、人間のように誰かを思いやることはないとされている。けれどもレムは、自分の存在を犠牲にしてまでミサを守ろうとする。その行動は、物語全体に強烈な皮肉を与えている。人間である月は冷酷に人を裁き、死神であるレムは人間を守ろうとする。この逆転が、デスノートという作品のテーマ性を一層際立たせているのだと思う。

また、映画独自の展開として、Lが自分の死を見据えた上で最後の一手を仕掛ける場面がある。原作ではLは月に敗れてしまうが、映画版では彼自身が命をかけて月を追い詰める形になっている。この改変には驚いたし、最初に観たときは「ここまでやるのか」と感じた。けれども時間が経って振り返ると、この終わり方は映画にしかできない結末だったと思う。Lというキャラクターの執念深さや、真実を追い求める姿勢が強烈に表現されていて、観終わったあとに深い余韻が残った。

映像面についても触れておきたい。2006年の作品としてはVFXの質は十分で、死神リュークやレムの存在感はしっかりとスクリーンに溶け込んでいた。当時の邦画としてはかなり挑戦的で、CGと実写の融合が成功していたと思う。もちろん今の水準で観れば粗い部分もあるが、それ以上にキャラクターの演技や物語の熱量が強いので、気にならずに入り込める。音楽もまた緊張感を高める役割を果たしていて、特にクライマックスのシーンではサウンドが観客を一気に引き込んでいた。

感想として率直に言うと、この後編を観終わったとき、俺は心のどこかで寂しさを覚えた。月というキャラクターが持っていたカリスマ性や危うさが、ついに決着を迎えてしまったからだ。原作を知っている人間からすれば、「まだ先があるはずなのに」と思うかもしれないが、映画としてはしっかりと終わりを描ききっている。Lの最後の言葉や表情には、人間としての弱さや覚悟が滲んでいて、観る側の心にずしんと残る。俺はこの作品を通じて、正義とは何か、支配欲とは何かという問いを改めて考えさせられた。

もしこの作品を初めて観る人がいたら、まずは前編と合わせて続けて観てほしい。月とLの心理戦は一本通して観ることで、その緊張感と物語の濃さが一層伝わる。特に後編の展開は、登場人物たちの選択が次々と重なっていくため、テンポが速くても一気に引き込まれるだろう。俺自身、二度目三度目の鑑賞で細かい伏線や人物の視線、言葉の裏を読み取ることができて、より深い面白さを感じた。単なるサスペンス映画を超えて、心理劇としての完成度が高い作品だと断言できる。

結局のところ、この映画は月とLという二人の天才の物語であり、彼らが互いに鏡のような存在であったことを強烈に印象づける。月が「新世界の神」を自称するほどの野心を燃やす一方で、Lはその野心を止めようとする。二人の間には正義の違いがあるが、その根底には人間としての孤独や執念が流れている。だからこそ、この映画はただの頭脳戦を描いた作品ではなく、人間の心の奥底を覗き込むような体験を与えてくれるのだ。俺にとって『デスノート the Last name』は、実写映画の中でも特に印象深い一本であり、何度も観直したくなる価値のある作品だと思う。

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momoko
「みんな若いね。」

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yoribou
「満島ひかりなんかまだ小娘やん。

教訓

モテる男は力を誇示するよりも、誠実さと信念で相手を惹きつける。

評価

項目 点数 コメント
ストーリー 17 / 20 後付けで幾らでも理由が出てくるあたり、池井戸潤の作品に多くあるが、これならいくらでも話をひっくり返せるやんと思った。
演技 18 / 20 戸田恵梨香がガキっぽかったが、藤原竜也、松山ケンイチは素晴らしかった。
映像・演出 18 / 20 リューク、レムのCG以外は、そんなにお金も掛かっていないかと思った。
感情の揺さぶり 16 / 20 天才二人の戦い。観ていて少し興味がそそられた。また、藤原竜也が、最後、父親の名前を書いたのを観て、マジで?と思ったくらいか。
オリジナリティ・テーマ性 17 / 20 原作がしっかりあるので、そんなに脱線することもなくうまく出来ていたかと思った。
合計 86 / 100 ノートのページは無くならないのだろうか。あと、ちぎったら、他の人が見てちぎったことが分かるのでは?など、細かいところばかりに目が行った。
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