作品情報
- 英題:The Match
- 監督・脚本:キム・ヒョンジュ
- 脚本:ユン・ジョンビン
- 出演:イ・ビョンホン、ユ・アイン、コ・チャンソク 他
- 配給:BY4M STUDIO、ギャガ
- 公開:2025年
- 上映時間:116分
- 製作国:韓国
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 視聴ツール:Netflix(吹替、自室モニター)
キャスト
- チョ・フンヒョン:イ・ビョンホン 代表作『甘い人生』(2005年)
- イ・チャンホ:ユ・アイン 代表作『バーニング 劇場版』(2018年)
- イ・チャンホの父:コ・チャンソク 代表作『国家が破産する日』(2018年)
- チョ・フンヒョンの妻:ムン・ジョンヒ 代表作『ハウスメイド』(2010年)
- 若き日のイ・チャンホ:キム・ガンフン 代表作『椿の花咲く頃』(2019年)
ネタバレあらすじ
韓国囲碁界のレジェンドであるチョ・フンヒョン(イ・ビョンホン)は、ある日、囲碁の才能を持つ少年イ・チャンホ(キム・ガンフン)と出会います。彼の才能を見抜いたチョは、イ・チャンホを内弟子として迎え入れ、囲碁の技術だけでなく、礼儀や精神力も厳しく指導します。やがて青年となったイ・チャンホ(ユ・アイン)は、師匠とは異なるプレースタイルを確立し、次第に頭角を現していきます。そして、師弟はついに公式戦で対決することになります。
――ここからネタバレありです――
イ・チャンホは、師匠であるチョ・フンヒョンの攻撃的な「動」の囲碁とは対照的に、守りを重視した「静」の囲碁を貫きます。その結果、彼は数々の強敵を打ち破り、ついには師匠との決勝戦に臨みます。この対局でイ・チャンホは勝利を収め、師匠を超える存在となります。
敗北を喫したチョ・フンヒョンは、自身の衰えを痛感し、一時は引退を考えます。しかし、彼の中にある勝負師としての気質が再び燃え上がり、再起を決意します。彼は再び碁盤に向かい、かつての弟子であり、今や最大のライバルとなったイ・チャンホに挑戦します。
映画は、師弟関係の変化と、それぞれの内面の葛藤を丁寧に描いています。師匠を超えた弟子の複雑な心情や、敗北から立ち上がる師匠の姿は、多くの観客の心を打ちました。囲碁の知識がなくても楽しめる作品であり、人間ドラマとしての深みがあります。また、静かに石を打つ音や一手に込められた心理戦が、観る者に深い余韻を残します。勝負とは単なる勝ち負けではなく、相手を敬い、自らを超える過程なのだと、この映画は静かに語りかけてくるのです。
考察と感想(淀川長治風)
皆さん、こんばんは。お元気ですか?さて本日はですね、これはもう静かに心を打つ、まさに「静の情熱」とでも申しましょうか──『スンブ:二人の棋士』をご紹介いたします。
囲碁というのはね、音もなく、ただ碁石が盤の上に置かれていく。それだけの世界。でもね、そこには人間の欲望、葛藤、尊敬、嫉妬、そして深い愛情がすべて詰まっているんですな。この映画を観て、ああ、人間というのはやはり「誰かを越えたい、でも越えたくない」、そんな矛盾を抱えて生きているものだと改めて思いました。
チョ・フンヒョン先生という名棋士。演じますは我らがイ・ビョンホンさん。あの表情の奥にある哀しみ、誇り、威厳、すばらしかったです。そして弟子のイ・チャンホ。若き天才にして、やがて師匠を超える男。その成長の過程を、ユ・アインさんが実に繊細に、そして熱く演じております。二人の演技はね、まさに打てば響く──いや、置けば響く、でしょうか。石が盤に置かれるたびに、観る者の心にまで響いてくるんです。
さてこの映画、師弟の物語でありますが、ただの「教える者と教えられる者」ではありません。師匠が抱える葛藤、弟子の中に芽生える超克の意志、そしてそれでも切っても切れない深い縁。盤上の勝負が進むにつれ、まるでその石たちが、二人の心情を語っているようで──これはもう、しびれました。
とりわけ私が好きだったのは、終盤のあの一局。師匠を乗り越えた弟子が、それでもなお師を敬い、尊敬し、そして超えていく。その姿に、涙が止まりませんでした。越えていくからこそ見える景色があり、そして越えられるからこそ遺せるものがある。まさに人生の真理です。
映画が終わったあと、しばらく私は席を立てませんでした。ああ、人生とは、教えることであり、学ぶことであり、受け継ぐことである。そんな深いメッセージが、静かに、でも確実に、私の胸に刻まれたのであります。
では皆さん、ごきげんよう、さようなら、さよなら、さよなら。
教訓・学び
『越えることは裏切りではなく、継承である』
🎧 自宅を囲碁の勝負場に──高音質で味わう、師弟の静寂
『スンブ:二人の棋士』の繊細な感情描写や静かな対局シーンは、高音質のスピーカーでこそ真価を発揮します。映画の世界に没入するなら、このサウンドバーがおすすめです。
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