【映画】『スクリーム』(2022年)それはいつも、あなたの知っている誰か。信じた瞬間、殺される。スクリーム、恐怖は再び始まる | ネタバレあらすじと感想
- 原題:Scream
- 監督:マット・ベティネッリ=オルピン、タイラー・ジレット
- 脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト、ガイ・ビューシック
- 原作:ケヴィン・ウィリアムソン
- 出演:デヴィッド・アークエット、ネーヴ・キャンベル 他
- 配給:パラマウント・ピクチャーズ
- 公開:2022年1月
- 上映時間:114分
- 製作国:アメリカ
- ジャンル:ホラー、スラッシャー、サスペンス、ミステリー
- 視聴方法:U-NEXT、吹替/自室モニター
キャスト
- サム・カーペンター:メリッサ・バレラ(『イン・ザ・ハイツ』(2021年))
- タラ・カーペンター:ジェナ・オルテガ(『ウェンズデー』(2022年))
- リッチー・カーシュ:ジャック・クエイド(『ザ・ボーイズ』(2019年~))
- シドニー・プレスコット:ネーヴ・キャンベル(『スクリーム』(1996年))
- ゲイル・ウェザーズ:コートニー・コックス(『フレンズ』(1994年~2004年))
ネタバレあらすじ
本作、『スクリーム』(2022年)は、1996年に始まった人気ホラーシリーズの第5作目であり、現代における“再起動(リブート)”と“続編”の両方の役割を担う作品です。物語の舞台はシリーズおなじみの小さな町ウッズボロー。かつて「ゴーストフェイス」と呼ばれる仮面の殺人鬼によって数々の惨劇が起きたこの町に、再び血の惨劇がよみがえります。
物語は、女子高校生タラ・カーペンターが何者かに襲撃されるシーンから始まります。命は取り留めたものの、その事件はウッズボローに長らく潜んでいた恐怖を呼び覚まし、かつての生存者たちと新たな若者たちを巻き込んでいきます。
タラの姉であるサム・カーペンターは、長年離れていた故郷に戻り、妹を襲った事件の真相を追い始めます。彼女には誰にも言えない過去があり、その秘密が事件の核心に大きく関わっていくのです。サムの恋人リッチーとともに調査を始める中、彼女たちは次々と起こる連続殺人事件に直面します。
再び登場するのは、初代からシリーズを支えてきたシドニー・プレスコット、ゲイル・ウェザーズ、そして元保安官デューイ・ライリー。新旧の登場人物たちが交錯しながら、物語は緊迫の展開を見せていきます。
事件の調査が進む中、サムの出生の秘密が明かされます。彼女は初代ゴーストフェイスであるビリー・ルーミスの実の娘だったのです。この事実はサムにとって大きな葛藤を生みます。
殺人の舞台は過去の事件を想起させる場所ばかり。特に終盤の舞台となるのは初代作と同じスチュの家。旧作ファンにとっては「帰ってきた」という強烈な演出です。
犯人はなんとリッチーとタラの親友アンバー。動機は「本物のスクリーム映画を作るため」という狂気じみたファンダムの信仰でした。SNS時代の風刺も込められた、鋭いメタ批評が光ります。
クライマックスではサムがビリー譲りの凶暴性を発揮し、リッチーをナイフで殺害。自身の過去を受け入れ、妹タラを守る決意を貫きます。アンバーも焼死し、事件は終結へ。
物語の最後には、サムとタラが新たな一歩を踏み出す姿が描かれ、再びマスクが映る不穏なラストが、次なる物語の余韻を残します。
考察と感想(淀川長治風)
皆さん、こんばんは。お元気ですか?映画ってほんとうにいいもんですね。
さて今夜ご紹介しますのは『スクリーム』(2022年)。いやあ、びっくりしましたよ。懐かしい顔が出てくる、出てくる。あのシドニーさん、ゲイルさん、デューイさん。もう20年以上のお付き合いですからね。再会できた嬉しさと、再び血の匂いがする町に戻ってきた哀しさが入り混じって、涙が出そうになりました、ほんとに。
この映画、いわゆるリブートなんですが、ただの再始動じゃありません。「続編でもない、完全新作でもない、“リクエル”です」なんて言葉が飛び出してきます。登場人物がホラー映画の法則を語り合うんですから、もうメタ中のメタ。怖いのに笑っちゃう、笑ってるのに突然殺されちゃう。まるでジェットコースターに乗ってるような、スリル満点のエンターテインメントですよ。
今回の物語の軸となるのが、新ヒロインのサムさん。この方、ただの現代の若者ではございません。実は初代ゴーストフェイスの娘さんなんです。過去を隠して生きてきた彼女が、再び故郷に戻り、殺人鬼と対峙する──その姿はね、まるで「運命と血」との闘いそのものですなあ。心の中に潜む暴力性と、それでも人を守りたいという想い。その葛藤が、静かに、そして力強く描かれていて、私は感動いたしました。
そしてね、この作品の一番の衝撃は、やはり犯人たちの動機なんですよ。「続編の出来が悪いから、自分たちで“本物”のスクリームを作る」って……! いやはや、ここには現代の映画文化、ファンダムの恐ろしさが詰まっております。観る側が作り手をも乗っ取ろうとする時代──これはホラーなんてレベルじゃありません。まさに現代社会の歪みを突いた、鋭い風刺でございます。
そして、旧作ファンにとってはたまらない演出の数々。舞台となるあの家、聞き覚えのある音楽、会話の端々に散りばめられた“あの頃”の記憶。これらが自然に盛り込まれているから、懐かしさと新しさが見事に両立しているんですなあ。シリーズを知る人にはうれしい仕掛け、そして初見の方にはきっちり怖い。このバランス感覚が、たいしたもんです。
いやあ、ホラー映画というのはね、ただ脅かすだけのものじゃありません。人の心の闇や、社会の歪みを映し出す鏡でもあるんです。この『スクリーム』は、その意味で非常に現代的で、そして考えさせられる一作でした。
ほんと、映画って、いいもんですねえ。
ではまた、お会いしましょう。さようなら、さようなら、さようなら。
教訓・学び
『信じていたその人が、最も危険な存在かもしれない──油断と信頼は時に命取りとなる』
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