【映画】『サリュート7』(2017年) 宿敵と腐敗警察に挑む、天才ドライバーの最終決戦。魂を燃やす復讐のラストラン! | ネタバレあらすじと感想

SF

🔍 作品情報

  • 英題:Salyut-7
  • 公開:2017年
  • 監督・脚本:クリム・シペンコ
  • 出演:ヴラディミール・ヴドヴィチェンコフ、パーヴェル・デレヴィヤンコ 他
  • 配給:カルチュア・パブリッシャーズ
  • 上映時間:118分
  • 製作国:ロシア
  • ジャンル:SF、歴史
  • 視聴方法:Amazon Prime(吹替あり、自室モニター)

👥 キャスト

  • ウラジーミル・フィオードロフ少佐:パーヴェル・デレヴィヤンコ 代表作『ザ・エグザイル 遠い日の記憶』(2011)
  • ヴィクトル・アレクサンドロヴィチ・アリョーヒン中佐:ウラジーミル・ヴドヴィチェンコフ 代表作『リヴァイアサン』(2014)
  • ソロモン医師:マリヤ・ミローノワ 代表作『スキャンダラスな彼女』(2009)
  • 国際宇宙管制センター責任者:アレクサンドル・サモイレンコ 代表作『ナイト・ウォッチ』(2004)
  • 通信担当官:リュボフ・アクショーノワ 代表作『インフルエンス』(2020)

📝 あらすじ

ソ連が誇る宇宙ステーション「サリュート7」は、1985年のある日、突然地上との通信を絶ちます。原因不明のトラブルにより、軌道上を無人で漂うステーションの軌道は徐々に崩れ、このままでは地球への落下という大惨事につながりかねない状況に陥ります。地上の宇宙局は、この緊急事態を解決すべく、かつてのベテラン宇宙飛行士フィオードロフと、若手のアリョーヒンを再召集。危険極まりない修復ミッションが発令されます。

◆ここからネタバレありです──

フィオードロフとアリョーヒンは「ソユーズT-13」に搭乗し、サリュート7へと向かいます。しかし、遠隔操作も機能していないサリュート7へのドッキングは、通常の手順が使えない極めて困難なものでした。アリョーヒンの冷静な操縦とフィオードロフの経験によって、手動での奇跡的なドッキングに成功します。

ステーション内は、機器の凍結と真空により想像以上の荒廃状態でした。生命維持装置の再起動、電源系統の回復など、一つひとつ手作業での修復が求められます。地上の命令は厳しく、場合によってはミッション中止=宇宙船の放棄も視野に入れられていましたが、二人はあきらめません。

任務の終盤、地上では米国もサリュート7に関心を寄せていることが判明します。軍事的意図を含む偵察衛星の接近情報により、二人はソ連の威信を守るため、命を懸けてステーションを再生させる決断を下します。すべての修復が完了し、無事に地球への帰還を果たす二人。地上で待つ家族や仲間たちは、拍手と涙で彼らを迎えます。

実話に基づくこの映画は、冷戦時代の宇宙開発の裏側を描くと同時に、極限状態における人間の勇気と絆を深く描写しています。

🧠 考察と感想(淀川長治風)

皆さま、こんばんは。お元気でいらっしゃいますか。

本日ご紹介いたしますのは、ロシア映画『サリュート7』でございます。いやあ、これは驚きました。ただの宇宙映画ではありません。いえいえ、たしかに宇宙は出てまいります。しかし皆さま、描かれておりますのは宇宙の話ではなくて、「人間の心の宇宙」なんですねぇ。

さて、この映画の背景には実話がございます。1985年、ソビエト連邦の宇宙ステーション「サリュート7」が、突然地球との通信を絶った。まさにそのとき、世界は冷戦の真っ只中でございました。軍事衛星、宇宙開発、国家の威信――何もかもが張り詰めておりました。その中で、二人の宇宙飛行士が命を懸けて宇宙へ向かう。これはねぇ、もう“任務”じゃない。“覚悟”なんです。

一人はベテランのフィオードロフ。もう一人は若きアリョーヒン。この二人がね、まるで過去と未来が同じ宇宙船に乗り込んでいるような、不思議な対比を生むんです。音楽も静かで、演出も決して派手ではない。でも、その分、宇宙の静寂が心に沁みてまいります。

特に印象的だったのは、手動でのドッキングシーン。これ、手汗かきましたよ。遠隔操作が効かない宇宙ステーションに、生身の人間の感覚だけで近づいていく。まるで命綱を使わずに崖を登るようなものでしてね。その緊張感たるや、映画館の空気も止まってしまいそうでございました。

でもね、見どころはアクションだけではないんです。宇宙という極限の環境の中で、彼らが見せる「誠実さ」や「諦めない心」。これはどんなドラマよりも胸を打ちます。宇宙に漂うステーションの中で、凍りついたパネルを一つひとつ溶かしていく。その姿はまるで、傷ついた人の心を、少しずつ温めていくようでもあるんですね。

そして終盤には、アメリカの偵察衛星の存在が明かされます。これはつまり、国家間の“見えない戦争”でございます。ただの技術トラブルと思わせておいて、物語は一気にスパイ戦の様相を帯びてくる。これがまた面白い。映画というものはね、ジャンルを一つに絞らない方がいい。いろんな側面があることで、観る人に何層もの感情を与えてくれるんです。

それにしても、俳優陣が素晴らしい。演技に一切のムダがない。表情で語る。沈黙が重い。それでいて押しつけがましくなく、淡々と日常をこなすかのように命をかけている。あれが本当のプロフェッショナル。観ていて「かっこいい」と思わされました。

最後に帰還した彼らを、地上で迎える拍手と涙――もうね、涙腺がゆるんでしまいましたよ。命をかけた者にしか見えない景色がある。観終わったあと、静かな余韻が残る。これこそ映画の力です。

皆さま、宇宙という言葉に少し距離を感じておられる方も、この作品だけはご覧になってください。これは“宇宙映画”でありながら、“人間映画”でございます。

それでは皆さま、夜空を見上げる前に、ぜひこの『サリュート7』をご覧ください。きっと、星が少し違って見えるはずですよ。さよなら、さよなら、さよなら。

💡 教訓

極限状況においても、人間の勇気と信念が不可能を可能にする。



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