【映画】『コカイン・ベア』（2023年）実話ベースの暴走クマ映画！ネタバレあらすじと感想

作品情報

1985年、ジョージア州チョタフーチー国有林の空に、一機の小型飛行機が出現。麻薬密売人が大量のコカインを積み込み、上空から投下していた。その行為は、後に大惨事を招くとは思いもよらなかった。

森に落ちたコカインの一部を、1頭の野生のツキノワグマが偶然摂取。クマは瞬く間に凶暴化し、理性を失ったように森に足を踏み入れた者たちを次々と襲い始める。

ここからはネタバレになります →→→

最初の犠牲者は、登山中のカップル。彼らは奇妙な動きをするクマに遭遇し、逃げる間もなく襲われてしまう。その一方で、森に入った子どもたち・ディーディーとヘンリーも、コカインの影響でハイテンションなクマに追われ、必死に木の上に逃げる。

娘の安否を心配する母親サリは、森林警備員リズと共に森へ捜索に入る。一方、コカインを回収するよう命じられたギャングのエディとダヴィードも森へ向かっていた。エディは妻を亡くした喪失感から無気力な日々を送っていたが、仲間と共に次第に恐怖の渦へと巻き込まれていく。

さらに、ギャングの動きを追って刑事ボブも現場に現れる。次第にそれぞれの人間模様が交錯し、凶暴化したクマの襲撃が森を支配していく。

事態は想像以上に深刻だった。クマの巣にたどり着いた人々は、そこに子グマたちまでが存在し、すでに母親クマと同様にコカイン中毒となっている事実を目の当たりにする。巣の中には大量のコカインが溜め込まれており、まさに“薬物中毒の温床”となっていた。

サリは娘を救い出すため命がけで立ち向かい、ヘンリーやエディと協力し、ついに脱出に成功する。一方、コカイン回収に執着するギャングのボス・シドは巣に乗り込むが、クマに惨殺されてしまう。

森は再び静寂を取り戻すかのように見えるが、ラストにはまだ生き延びている“コカイン・ベア”たちの存在が仄めかされ、物語は不穏な余韻を残して幕を閉じる。

皆さまこんにちは。今日はですねえ、まあ珍しい映画でございますよ。題して『コカイン・ベア』。クマがコカインを食べて大暴れするという、まあ普通ならお笑い草のようなお話。しかしこれが、意外や意外、非常によくできておりましてね。

まず驚きますのが、これが“実話にインスパイアされた”という点。1985年、実際に起きた事件をベースにしておりまして、そこに大胆な脚色とブラックユーモアを加えて仕上げております。まさにアメリカ映画らしい、風刺の効いたエンタメでございますな。

サリ母子のエピソードには家族愛がにじみ、ギャングの青年たちには人生に迷う若者の悲哀が、そして森林警備員や刑事には、それぞれの“正義”が描かれております。つまり、ただのB級パニック映画ではない、群像劇のような奥行きを持っているんですなあ。

そして何と言っても、コカイン・ベアそのものの存在感。これがもう、恐ろしいやらおかしいやら。木に登ったり、巣にコカインを貯め込んでいたり、しまいには子グマまで中毒というんですから、笑いと同時に冷や汗も出てくる。ええ、自然をなめたらあきません。

監督のエリザベス・バンクスさん、これはお見事。暴力と笑いを絶妙なバランスで織り交ぜ、観る者に“笑っていいのか悩む恐怖”を届けてくれる。これはもう、現代社会への皮肉でもありましょう。コカイン、麻薬、依存──すべてが無責任な人間の手によって生まれる悲劇ですな。

レイ・リオッタさんの遺作という意味でも、ちょっと感慨深いものがございます。あの厳しい表情でギャングを演じる姿、最後にクマに食われてしまうという皮肉──笑いながらもちょっと泣ける、そんな余韻が残ります。

というわけで皆さん、これはただの“クマ映画”ではございません。笑って怖がって、でもふと社会の矛盾に気づかされる──そんな映画でございます。さあぜひ、Netflixでご覧あれ。

それでは皆さん、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ！

『自然は人間の過ちを映す鏡であり、軽率な行動は思わぬ形で命を脅かす』

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