🔍 作品情報
- 原題:Inside Man: Most Wanted
- 公開年:2019年
- 監督:M・J・バセット
- ジャンル:アクション、クライム、サスペンス
- 制作国:アメリカ
- 配給:ユニバーサル・ピクチャーズ・ホーム・エンターテイメント
- 日本国内販売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
- 配信形式:Netflix(ダイレクト・トゥ・ビデオ)
👥 キャスト
- レミー・ダーボン:アムル・アミーン(『メイズ・ランナー』(2014年))
- ブリン・スチュワート博士:レイ・シーホーン(『ベター・コール・ソウル』(2015–2022年))
- アリエラ・バラシュ:ロクサンヌ・マッキー(『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011–2012年))
- ジョセフ:ウルス・レヒン(『ヒトラーへの285枚の葉書』(2016年))
- アンシュ・ラマチャンドラ:アクシャイ・クマール(『パッドマン』(2018年))
📝 あらすじ
『インサイド・マン2』は、前作のスタイルを継承しつつも、独立したサスペンスとして構築された続編です。舞台は再びニューヨーク連邦準備銀行。観光ツアーの最中に武装集団が乱入し、銀行内はたちまち人質事件の現場と化します。
事件の処理にあたるのは、FBI交渉人のブリン・スチュワート博士とNYPDのレミー・ダーボン刑事。交渉と現場分析を進める中で、単なる金銭目的の強盗事件とは異なる違和感に彼らは気づき始めます。武装集団の動きには過剰な訓練と知識が見え、内部構造を把握していた形跡もあるためです。
犯人たちの真の狙いは、ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に略奪した金塊と機密文書。それらは戦後も国家によって隠されてきたが、今も銀行の地下金庫に秘匿されていました。主犯格のアリエラ・バラシュは元モサドの諜報員。彼女は過去にユダヤ系家族が奪われた歴史的財産を、正義の名のもとに回収しようとしていたのです。
ブリンとレミーは、犯人たちが人質に変装して脱出を図っていることを突き止めます。これは前作の手口と同じであり、犯人たちはあえて過去の事件を模倣していました。やがて計画の一端が露見し、アリエラは逃亡せず現場に残って自身の理念を語り出します。
最終的に彼女は逮捕されますが、その後メディアを通じて金塊と文書の存在が暴かれたことで、彼女の“告発”は成功します。事件は解決するも、残された社会と国家の責任は重く、観る者に静かな問いを投げかけてきます。
🧠 考察と感想(淀川長治風)
みなさんこんにちは。今回は『インサイド・マン2』でございます。前作をご覧の方ならば、あの“人質に紛れる”という鮮やかなトリック、お忘れではないでしょう? 本作もそれを踏襲しつつ、時代と社会を映す新たな物語となっておりました。
銀行という舞台、交渉という頭脳戦、そして歴史の闇――。犯人はただの悪人ではない。アリエラさん、実に悲しみを抱えた女性でございました。国家に奪われた過去、隠蔽された真実。それを取り戻すために罪を選んだのか、それとも罪によって正義を貫こうとしたのか。映画はそこに答えを出しません。けれど観客には深く響くのですなあ。
本作のもうひとつの見どころは、レミーという新米刑事の視点。現場経験の浅さを補う誠実さと、時折見せる直情的な判断――この若き警官の成長物語でもあるわけです。ブリンとレミー、二人のバディ感もなかなかよろしい。互いに立場は違えど命を守ろうという意思は一緒。これがまた、じんわりくるんですな。
それに、ジョセフやアンシュといった脇を固めるキャラクターにも人生がある。決してモブではなく、それぞれの立場と苦悩がにじんでくる。犯人側の正義も、警察側の葛藤も、それぞれが一本の線にまとまっていく構成力には感心いたしました。
いやあ、映画ってほんとうにすばらしいですね。娯楽として楽しみつつ、ちょっとだけ考えさせられる。そんな時間をくれる作品に出会えたことに、感謝を込めて――さよなら、さよなら、さよなら。
💡 教訓
真実を隠し続ければ、それはやがて正義という名の炎となって、社会を揺るがす火種となる。
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